「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

存在感

2008年07月09日 17時49分30秒 | Weblog
 
カミサンの子供の頃の話…


学芸会の配役を決める際
背景の森を誰がやるかが問題になった
目立たない森など
誰もやりたがらないのだ
その時、先生が幼い彼女に声をかけた

「森になれるのは ○ちゃんしかいないわ」と…

真剣な先生の視線が
幼い頃のカミサンに注がれた

「私しかいない…」

「先生に期待されている」

そう感じたカミサンは
先生の期待に応えようと
武者震いしながら

「はい、私、森をやります!」

当日、カミサンは見事に
背景の森を演じきった
“目立たない”という点では
アカデミー賞ものだった

学芸会を見学に来た両親さえ
森の役と知っていたにも関わらず
「何処にいるのか判らなかった…」と


それから数十年後
僕は彼女と知り合った
初めてのデートは
柴又の帝釈天だった

露店が並ぶ境内で
迂闊にもはぐれてしまった
携帯電話のない当時
僕は散々探し回った



1時間ほどして
ようやく見つけたのだが
カミサンがいたのは
有名な団子屋の前だった

「何処行ってたの!
 私、ずーっとここにいたのに」
と涙ぐみながら膨れっ面をしていた

カミサンを探している途中
僕は何度もその前を通ったのだが
全く見つけることが出来なかった
彼女は完全に風景に溶け込んでいたのだ

存在感がないという点で
カミサンは誰にも負けない

逆に僕は…
どんなに大人しくしていても
目立ってしまうのだが…

コメント (2)
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