広大な「富士スピードウエイ」の敷地の中には、当然ながら『イヴェント広場』と称する場所があり、このたびのようなGT300kmレース開催に伴って食べ物やレース関連グッズなどの小物を売る屋台店が出たり、この写真のようなステージを使っての各種イヴェントが開催される。
たまたまこのステージでは、GTレースに参加した有名レーサーのインタヴューが行なわれていた。いや、読者の誤解なきよう、このステージに立っているレーサーは優勝者でもなく上位3位のレーサー達ではないが、有名レーサーだそうだ。残念かな、我輩はレーサーの名前を常時記憶するほどのレースきちがい?ではないので奇しくも暗記していないこのステージの人物達の紹介ができない事、申し副えておく。
富士GT300kmレース観戦を終え、ちょうど一週間になるか、、、。
思い起こせば、脳裏に焼き付けられたエンジンの『音』と目の前を走り抜けていくマシーンの動きが『映像』となって残っている。
富士スピードウエイ全長6km強の距離を、わずか1分45秒前後のラップタイムで走り切るGTカーレーサー達の走行テクニックたるや絶対に普通ではなく、これぞ命知らずのきちがい沙汰といっても過言ではない。しかし、彼らプロドライバー達には天性の能力と日々のトレーニングによってこのきちがい沙汰が日常のものとして会得されているのだから、我輩を含む車好きのレースきちがいから見れば、彼らは英雄である。
英雄がこうしてステージに立つ。左端(レーシングスーツをまとっているが実はレーサーではなくただの司会者である)の男性以外の3人の男性はプロのレーサーで、左から2番目の外国人レーサーにスポットが当てられ司会者が会話を組み立てているが、聞けば聞くほどみっともなく、内容はたどたどしく、聞いていて観ていてまことに面白くないし、見ていて美しくない。
なぜ美しくないか?
勇ましくもレーシングスーツをまとったレーサーは、みれば見るほどに気の毒になる。なぜかレーサーを職業に持っている男子は、足が短くしたがって背は高くなく、短い足はそろって湾曲しているのであるから気の毒である。
そろって短足O脚。
もってこの体形はレーサーという職業的特長だから、短い足と背の低さをむしろ誇るべきであり、これ以上の議論は無用、体形的短所というより、むしろ長所という見方をすべきである。
カーレースに関連する大好きな古い映画を紹介したい。
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上は、ルマン24時間レースを、くまなく現実に即して再現された名画。
スティーヴマックイーンのアメリカ人にしては小男短足。
すなわち元からプロフェッショナルレーサーの役柄にぴったりだった。もちろん演技もよかった。最高によかったのはカメラワークである。ルマンの24時間耐久レースを見事に映しぬき、まるまる一昼夜も走りに走りぬく24時間耐久レースの移り変わりを、約1時間半のムーヴィーとして圧縮し、ヨーロッパいやフランスの名門レース場ルマンの現場のつれずれを、画像と音勢で切り取った!
見事という一言なり・・・
しかし今回は、公道を閉鎖して(貸切にして)運営されるルマン24時間レースとは全く違う、スピードサーキット内でのスピードレースなのだ。
さて、
富士スピードウエイの印象に即し、本日のメインテーマを喋りたい。
題名は『レーサー』
かのポールニューマン主演映画。
さしたる意識はなかったが、なぜかこの映画、1960年代の終わりごろか70年代初頭に、わざわざ映画館まで出向いて行って観ている。
ストーリーは、いたって単純、
夫婦で時に単身で、大平原の中の小さな町のモーテルに転々と投宿しながら、アメリカ大陸各地のいなかレースを巡業し転戦するプロレーサーの役柄を、ポールニューマンが淡々とこなす。最終的にインディー500マイルレース参加を目標としている危険な職業であるカーレーサーと、危険な職業から足を洗わせよう引退させようとする細君との愛情表現のあれこれと、旅先で出会う女との浮気、すべからく愛情のほつれ、夫婦の愛情の濃淡を背景に描いているが、所詮、男女の愛はストーリー進行における刺身のつま的存在でたいした意味はなく、荒々しいいなかレースの描写とポールニューマン演ずるプロレーサーの男性的単純演技が好い。
この映画で何が一番よいか?
音楽である。
これまた映画のイントロをつかさどる映画音楽がなんともすばらしい。
ステレオスピーカーの右から左へ、、、
レーシングマシーンのタイヤとエグゾーストノイズ(排気音)の移動がすばらしい。
ホン・ホン・ホオオ~~ン~・・ヒイ~~~ン、
最初は僅かに、右のスピーカーからかん高いタイヤノイズが聞こえてきて、
ヒイ~ン、ヒイ~ン、ヒイ~~ン、ヒイ~~ン、
そのノイズは百分の一秒単位で大きくなり、近くに聞こえ始め、
ウオオ~ン~・・・
突然エンジン音が聞こえ始め、
バオ・バオ~~バアオ~~~~~~ン~~~~
瞬間瞬時、左右両スピーカーから破れんばかりのエグゾーストノイズの爆音が鳴り響き、
次の瞬間、
ブオ~~~ン・・・
と、
左のスピーカーに排気音が移動したかと思うと、
ウオオオオ~~~ン・・・・
と、
左のスピーカーの音が小さくなり始め、
ヒュー~ウ~~ン・・・
と、左のスピーカーからタイヤの音だけが小さく聞こえ始め、
ステレオ全体から、音という音が全く消えていく。
この間、僅か、15秒足らずか?
まるで、まったく、このたび富士スピードウエイで体験した観客席前の直線コースを一気に通り抜けるGTカーの排出するタイヤの音とエンジンの爆音が相まって我輩の体全体を駆け抜けていった時間とリズムぴったりであった事、思い出した。
かくしてようやく映画音楽のイントロが始まるのである。
なんとも勇壮であった。
この映画音楽、映画を鑑賞し終えた後、数日たってドーナツ版レコードを買った。
タイヤノイズと排気音の録音の音が、ステレオスピーカーの右から左へ移動する音勢は、なんとも勇壮であり、聴くたびに我輩の脊髄に電流が奔って延髄を脅かし、脅かされた延髄の指令で目から涙が出た。出なくとも、目頭が熱くなったのを思い出す。
そう、
今に想えば当時若きサラリーマンだった我輩、ときどき出勤前にこの映画のサウンドトラック版のドーナツ版レコードを聴いて出社した。タイヤノイズとイントロの音楽を聴いた。
聴けば、今日も何かと仕事をすれば必ずお叱りをうける上司と顔を合わしたくなく当然行きたくもない会社に出社する元気がふつふつと沸きたぎりはじめ、
「ヨオーし、今日もイッチョウやってやろうぜ!ぐずぐず云わずに今日もまた、会社に行ってやろうじゃないか!上司の威圧に負けてたまるか、仕事に呑まれてたまるか!」
と、
我が戦闘出撃体制を整えつつ闘争精神にポジティヴに影響した。
高速走行中のタイヤの音と、エンジンからエグゾーストパイプを伝って排気される爆音轟音を聞いて勇気を貰った単純馬鹿的若輩者が、当時、まちがいなく存在していた。
ま~、とんでもなくすばらしいドーナツ版であった。
聴いてみたくなった。
今も倉庫を探せばあるかもしれないが、これまた長年倉庫にしまってあるステレオのレコードプレーヤーが動かないであろう、、、。
しかし、すでにその必要もなかろう。
なぜなら、
先週、富士東山麓にて、これと寸分違(すんぷんたが)わない、この生のサウンドを聞いたばかりである。
したがって今尚、生々しく且つ総合的にこれらの音勢(この際、けっして音声ではない。音勢ぞ!)が脳裏に焼きついているからだ・・・
<・・・続く・・・>
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ニコンのHDDまで故障してくれて、ベニスの3日間の写真が無くなりそうです。データが出てこないのです。ニコンに入院させていますが、、、、
レースの観戦記、ブログ掲載はもったいないですね。
原稿料とれる記事ですからね。
又拝読させて頂きます。
自身のブログを開き操作するのも久しぶりでして、何かとご無沙汰続きで恐縮です。
北イタリアのドライブ、すてきですね。
カメラトラブルとのこと、これは旅先では避けられない”つきもの”です。ご心痛お察しいたします。本当にお疲れさまです。
どんな高級(我輩のものは安物ですが)カメラでも、一旦その時機のメイン機種を決めたら、
「必ず同じ機種を、もう一台手に入れ持参しなければ使い物にならない、引いては仕事にならない!」という持論をもち、ひたすら高級機種を2台、確保し続けている小生の友人がいます。
悠悠さまもそうなさるべきでしょう・・・
さて、
FujiGT300kmレース観戦のこと、
目的がレース観戦でなかった分、観戦記と称しても実際はまともな記事になりません。雑感を殴り書きするのみでして、ゆめゆめ原稿料を頂ける記事に創作できるなんて、恐れ多くて、とても考えてもいません。
でも、カーレースそのものからかなり外れたブレた角度で書いていますので、レースに興味のないブログの読者さまにも興味をもって読んでいただければ幸いです。
悠悠さまのホームページにも、またお伺いさせていただきます。
遅くなりましたが、コメント頂き大変ありがとうございます。