たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

障がいを超えて <パラリンピック競泳の鈴木孝幸選手を見て>

2019-03-06 | 差別<人種、障がい、性差、格差など

190306 障がいを超えて <パラリンピック競泳の鈴木孝幸選手を見て>

 

どんよりした天候で、昨日からちょっと調子が落ちている体調で、今朝もぼやっとした感覚でしたが、NHKおはよう日本で登場した競泳選手を見て、俄然、元気を出さないとといった気持ちになりました。

 

初め顔だけがアップになり、パラリンピックの競泳選手と言うことで泳いでいる姿もちらっと見るとさすがにエネルギッシュでした。精悍な顔立ちで、自信たっぷりに話す感じを見て、いったいどんな障がいをお持ちかと一瞬、思ったくらいでした。

 

左手だけ普通の感じですが、四肢の残りは手足の先までないのです。実はTV画像ではしっかり見ていなかったので、ウェブ情報<アジアパラ競泳・鈴木孝幸「"自由形"に手応え」>で初めて確認できたのです。よく見ると、左手も3本の指だったのです。右手の方は肘までで、右足は太ももの付け根、左足がもう少しあるもの、膝の手前で途切れた感じです。こういった不自由な体で、あのエネルギッシュな泳ぎができるなんて信じられないと思ってしまいました。

 

そう鈴木孝幸選手は、堂々とパラリンピック金メダルを目指すべくイギリスでトレーニングを続けているのです。彼は、イングランド北東部のニューカッスル(正式には「・アポン・タイン」がつくようです)で数年前から滞在して、そこを拠点にトレーニングに励んでいるそうです。

 

イングランドは、障がい者に対する姿勢がわが国と大きく異なり、彼にとってはとても居心地がよいそうです。まず日常生活では、車イスで一人通りに出ても特別視されることなく、自由に移動できるそうです。周辺の必要なとき手助けしてくれますが、普通の人と同じ扱いだそうです。

 

むろん、車イス移動に支障をきたすような段差はほとんどないようです。道路上の通行も、電車の乗降も困らないそうです。実際、NHKの映像では、通りを一人で自由に移動したり、地下鉄でしたか乗り降りもしていました。わが国のように車両とホームの隙間や段差があって、駅員がブリッジ用の板を用意する必要もないわけですね。

 

それでカフェーなどで自動ドアでないところでは、鈴木氏に気づいただれかが、そういうときに限ってちゃっと前もってドアを開けて車イスで出入りできるように配慮するのですね。それぞれが個人として尊重され、その自由を脅かさない心配りがあるようです。それは最近、突然のようにいわれだした「おもてない」とは異なり、自然にイングランドの生活に根付いているものなんでしょう。私自身、なんどか短い滞在をしたことがありますが、その都度、感じたことでもありました。

 

障がい者の観点からも、そのことがよりいっそう明確になったように思います。そういった障がい者に対する心構えといったものが、日常生活だけではないそうです。

 

鈴木氏は、パラリンピックの代表選手を目指してトレーニングしているわけですが、そのトレーニング方法自体、わが国とは違うというのです。たとえばウェイトトレーニングでは、鈴木選手の場合左手は指があるものの、右手は肘までしかないので、バーベルなど掴むことができません。それであきらめるわけではないのです。彼の四肢の状態に合わせて、バーベルを掴む方法を考えて工夫するのです。障がいがあるからという理由で、いろいろな課題を初めからあきらめることをしないのです。

 

普通の人(こういうとおかしいかもしれませんがとりあえず呼称します)ができることは障がいがある人も、その意思があれば、できるだけそのような対応をしようとするのですね。

 

また鈴木選手の泳ぎ方についても、そういったトレーニングだけでなく、彼の障がいに応じた対策を考えるのです。競泳選手は誰もがターンの時、キックターンをしますね。彼もそれまで当然のようにキックターンをしていました。ところがここではコーチがキックしないで手をついてターンする方法を提案するのです。すると、キックターンよりたしか0.04秒?でしたか早くなったというのです。

 

それは鈴木選手の場合、両足が付け根か少しだけあるくらいですので、キックターンで有利な足の長さや蹴りの力が十分に出せないことから、手でターンする方が有利と考えたのでした。その障がいの程度に応じて、有利な方法を考えるのですね。合理的かと思います。

 

四肢が完全でなくとも、鈴木選手のように、元気で快活に生きるたくましさは、見ていてすがすがしいですし、勇気をもらえます。

 

彼の声はのびやかで春爛漫のように聞こえてきます。頑張って欲しいと思いつつ、私も高齢だとか、体調が悪いとか、ぐちをいっているばあいではないなと思った次第です。

 

今日も仕事で終日忙しくして、心が安らかとはいえないのですが、鈴木選手のたくましい姿を思い出しながら、いい一日であったと感じたいと思うのです。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


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