たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

金融危機の温床か? <リーマンショック10年 金融危機から何を学ぶか>などを見聞して

2018-09-14 | 金融経済と合理性・倫理性

180914 金融危機の温床か? <リーマンショック10年 金融危機から何を学ぶか>などを見聞して

 

リーマンショックは10年前の915日に起こったのですね。NHKはじめマスコミは、10年目を記念して?だいぶ以前からいろいろ取り上げています。

 

私なんかは田舎に住んでいますし、リーマンショックもその後の株式暴落を含め世界経済で起こった激震もほとんど体感できていないかもしれません。私がわずかな株式取引をしていたのはバブル前後で四半世紀以上前ですし、その後は何が起こっても蚊帳の外にいます。とはいえ、資本主義とか株式市場が好不況のサイクルをもち、その影響が社会全体に及ぶことを懸念しないわけには生きません。

 

市場は10年サイクルとも言われますが、そこには株式や不動産の価格が上昇一方のとき、いつか反転に回ることを多くが忘れる、あるいは思いたくないためか、「突然」起こりますね。でもその予兆もあれば、温床もあるはずです。

 

NHKおはよう日本で、ここのところ毎日、リーマンショック10年をテーマに放送していますが、とりあえず昨日の番組を取り上げようかと思います。

 

リーマンショック10年 金融危機から何を学ぶか>では、驚かされました。リーマンショックは、アメリカ人にはショックではなかったのかと思わざるを得ないような状況がもうすごい勢いで進んでいるように思えます。

 

トランプ政権の自国本意の経済貿易政策で株式も経済もおかしくなるのではと思っていたら、あに図らんや、どんどん好成績になっているようです。<ダウ平均株価は、今年(2018年)1月に記録した最高値に迫る勢いです。><「不動産市場も活性化しています・・ニューヨークで過去最大の再開発が進んでいます。」>ということのようです。

 

ところが、ある豪邸(日本ではといえるでしょう)の取引を見ると、こんなのあり?と驚いてしまうと同時に、これがアメリカ経済の絶好調の裏かと合点がいきました。

 

アトランタ郊外に住むヒックスさんが、去年、購入したのは、<プール付き、100坪をこえる豪邸。価格は1億4,000万円>(100坪は建坪だけで雰囲気からは敷地は510倍以上の広さでしょうね)

 

彼はリーマンショックで解雇され、住宅も差し押さえになったというのですから、融資基準が厳しくなった銀行から借入できず、<住宅ローンを提供したのは、銀行の免許を持たないノンバンク。購入価格の8割、1億円を超える融資を受けました。>というのです。

 

世界中の超金融緩和で金余りの中、従来の銀行は二の舞にならないように融資規制が厳しくなった一方、ノンバンクがその穴埋めに急速に拡大して、住宅ローンの50%を占めるようになったというのですから、なんと危うい砂上の楼閣のように思えてしまいます。

 

だいたい購入価格の8割も融資する、その審査基準が明らかでないとなると、まるでサブプライムローンの衣替えのように思えて仕方がありません。日本でもスルガ銀行がでたらめの融資申込者の資料を改ざんし、融資量を拡大してシェアハウス投資を促進させた事件が発覚しましたが、現行の金融秩序ではわが国でも超金融緩和体制の中で危うい企業がさらに出てきそうな気がします。

 

ともかくアメリカの株式投資や不動産投資は、その基盤に実質経済の裏付けがほんとうにあるのか疑問を持たざるを得ません。返済できる裏付があるかどうかといった慎重な手続を飛ばして、資本がババを引かないようにあらゆる市場を狙って動いているように感じてしまいます。

 

<ニューヨーク連銀総裁で、のちに財務長官も務めた、ガイトナー氏>の言葉は至言かもしれません。

 

<忘却は敵>という言葉は、現在のアメリカ市場にうごめいている人たちすべてにいえることでしょう。

 

<「金融システムは非常にもろい。破綻のリスクから人々を守るために強力な保護政策が必要だ。危機の記憶は永遠には残らない。忘却は敵なのだ。」>

 

株式も不動産も常にその価格が上下し、上がれば下がるわけですが、いま上がってる株式市場を前提に、これからも上がると期待、希望、信じ込み、さまざまな投資、費消に金を使っているアメリカ人は、トランプ政権と同様、どこに行き着くのかわからない橋を渡っているような気がしてなりません。

 

金融破綻の場合の対応策はあるのでしょうか。

ガイドナー氏は、リーマンショックによる大恐慌を回避した要因として、<当時、多くの金融機関を破綻の瀬戸際から救ったのは、FRB・連邦準備制度理事会が持っていた、緊急にお金を貸す仕組みでした。>と指摘しています。

ところが、現在は<その後の法律改正によって手続きが必要になり、迅速に対応することが難しくなったのです。いわば、「消火器」が「じょうろ」になったようなものです。>

 

と火事が拡大すること、大恐慌を起こすことを回避する手段を現在持ち得ていないというのですから、アメリカ経済の危うさは深刻です。

 

もう一つの放送<リーマンショック10年 ウォール街の教訓>は、リーマンショックの大激震をもたらした企業トップや社員たちの話です。

 

<リーマン破綻時のCEOリチャード・ファルド氏>は張本人として非難に晒されましたが、その部下であったコーエン氏は<彼は何が起きているか十分に把握していなかった。>と話しています。また、<「会社は大きくなると制御できなくなる。会社に経営者が振り回されてしまう」>とも。

 

同様に、同社の<エコノミストだった、イーサン・ハリス氏>は、目に見えないほど大きな機会の歯車の一つでしかなく、その歯車がどのような結果をもたらすかまったく理解できないでいたことを如実に語っています。

 

<「金融市場では理解できないことがたくさん起きていた。複雑な金融商品がすごいスピードで拡散されていった」>と。

 

<“ウォール街の大物”のコーエン氏は「地下のパイプ」と表現し>、<地下にある水脈がどこでどうつながっているのか。・・すごく複雑で分からない。ひとたびショックが加わればどこから水が噴出してくるのか、プロでもよく分からない状況です。>これは見えないで連鎖反応する時限爆弾があるとも言えるかもしれません。それがまさに教訓であると思うのですが、その教訓がいつの間にか忘れ去られてしまったように思えます。

 

ちょうど一時間となりました。今日はこれでおしまい。また明日。


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