1808620 お金の管理 <家族間と企業における財産管理をちょっと考えてみる>
今日は久しぶりの市役所での法律相談を担当しました。雨の降り方が激しいので、今日は結構キャンセルが多いと思っていたら、連続で次々とやってきました。見事に外れました。担当者の話だと、最近はいつも予定が満杯になるそうです。それに比べて弁護士会の有料法律相談だと激減して、時々予約がないということで担当日がキャンセルになる逆転現象が起こっています。
わたしが横須賀で仕事をしているときは、毎月県、横浜市、横須賀市、三浦市などの行政主催の法律相談で毎月数件というか毎週に近いくらいあったように思います。ところが、和歌山に移ってからは当初は毎月か隔月に一回くらいありましたが、最近は年何回くらいに減っています。弁護士の数が激増したからでしょうかね。あるいはネットで調べればだいたいわかることが多いということで相談しなくて済むようになった?とまではいえないのでしょうね。
ともかく、今日も忙しく法律相談に応じましたが、いつもあるのが金銭にまつわる相談です。企業の相談というのは市役所主催ですからありませんが、個人の場合、家族間ですね。とりわけ親の面倒を見た子がいた場合に、その親が亡くなった後、親の財産が思ったより残っていないということで、それをめぐってきょうだい間でトラブルになることが少なくないのです。
たいていは金銭管理について記録として残していないことが問題になります。預金取引の明細は最低でも5年間は残っていますので、入出金の一部は明らかになりますが、誰のために何に使ったかまではわかりません。そこから推測や憶測、妄想?まで入って、問題になることが少なくないのです。
ご本人が使っている場合は、所得税の確定申告でもしていれば別でしょうけど、その金銭出納帳のようなものは書きませんね。家計簿もさまざまなソフトがでてきているようですが、たいていは長続きしないようです。それはご本人であれば、当然でしょうし、それでいいのではないかと思うのです。しかし、これが家族といえども本人以外が管理するとなれば、別ですね。
やはり紛争を避けるため、あるいは公私混同を疑われないためにも、李下に冠を正さずのごとくに振る舞い、財産管理の記録は将来の紛争を回避したり、少なくするためにも必要かと思うのです。
こんな話をしたのは、このブログを書き始めた7時過ぎまで、法律相談をはさんで、その金銭管理に関わる作業をして疲れ果てたことから、ついこのことに言及してしまったのです。昨夜のサッカーワールドカップ・ロシア大会での、日本代表の快挙?を取り上げるほうがよっぽど面白いと思いますが、私が言及するまでもないので、これは外すことにしました。
さて、私が難渋したのは、家族間で本人以外の者が本人の財産を管理しているとき、多額の預金を引き出し、大半が使途不明となっている事案です。その人に何に使ったか、その使い道を裏付ける領収書その他代替する資料の提出を求めたところ、それがすごいのです。最初は段ボールを持参して、いろいろ雑多な資料が乱雑に入っている状況で、領収書等を探そうとするものですから、きちんと整理して使途明細を明らかにしてもらいたいと依頼して、再度来所してもらいました。
すると今度はたしかに使途明細が明らかにされ、また、領収書が白紙に貼付された状態で提出されました。やればできると思ったのですが、それは勘違いでした。使途明細はいい加減ですし、領収書は、押印のないもの、途中でカットして支払先も年月日もわからないもの、途中で継ぎ足された借用書など、その内容に驚くばかりでした。
昔、映画“Class Action”で、自動車事故により重傷を負った依頼人のためにメーカーを相手に車両欠陥を理由に起こされた訴訟がテーマとなって、原告側が有利な証拠得るため、大企業がもつ証拠の開示請求という有効な戦略を使うのですが、大企業側は有利な証拠を隠すために、見つからないように大量の段ボール箱に入った資料を原告代理人に送りつける場面があり、これはたしかburyという業界用語を使っていたかと思います。
なぜこの映画のメーカーの戦略を思い出したかというと、問題の相手は、まさに領収書を出しておきながら、上記のような工作をしたばかりか、年月日があるものもばらばらで、適当に貼り付けたりしているものですから、また、原本と写しを別のところに並べて貼り付けているものですから、一見すると、合計金額が相当な額になるのですが、ま、本当に工作する意図だったのか、あるいはいい加減な人だったのか、判断しかねますが、こちらは頭を抱えてしまいました。
とにかくすべての領収書(反対に張られたり、横に張られたり、欠けていたりと、それぞれ特徴のあるものです)にナンバーを振って、年月日順に並べて使途や支払先などを記載した一覧表にして、整理しました。言葉では簡単なのですが、時間がかかってしまいました。
相手はこちらをこまらせようとしているのかはわかりませんが、こまったものだと思いつつ、気長につきあうしかないかなと諦念の気持ちでようやく整理を終えたのでした。
ということで疲れましたから,この辺でおしまいとします。企業の財産管理に振れるつもりが力尽き、一時間という切りのいい頃合いとなりましたので、それは別の機会とします。
また明日。