白夜の炎

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日本の「村」社会がコーポ―レートガバナンスを無意味化する

2011-11-24 13:50:24 | EU
「オリンパス事件は例外か
【from Editor】


 「たとえばね、私は株主総会直前に、不正の事実をつかんだ企業に公開質問状を送りつけたりする。われわれが質問状を出すということは、つまりすべてをつかんで裏も取っている、内部資料も証言も全部そろっているということです。それなのに、シラを切る企業がある」

 今年7月。フジサンケイビジネスアイの新紙面スタートを記念して開催した経済ジャーナリストによる座談会で、月刊誌「ファクタ」発行人の阿部重夫氏がぼそぼそとこう話し出したときは、なんだろうと思った。

 「もしわれわれが総会に出席して不正を暴露したりすれば大騒ぎとなる。でもわれわれは総会屋ではないから、そんなことはしない。総会はシャンシャンで終わる。でもね、いずれは世の中の知るところになるんです」

 座談会の数日後に発行された同誌に出ていたのが、オリンパス疑惑。なるほど、と思うと同時に、あれはクールを絵に描いたような阿部氏がキャンペーン報道の開始前に見せたわずかな高ぶりだったのかと、興味深かった。

 その後、疑惑が事件に発展したのはご承知の通りだ。だから事件表面化の発端は、社長を解任された英国人のマイケル・ウッドフォード氏の内部告発などではなくてファクタの記事である。なにより、ウッドフォード氏は記事を知って愕然(がくぜん)とし、当時の菊川剛会長に問い合わせているのだから。

 日本の企業統治の改善をめざす「実践コーポレート・ガバナンス研究会」という団体がある。ウッドフォード氏が解任されてから、話を聞く機会があった。

 「日本のガバナンスの問題は、ムラ社会であること。いくら体裁や外見を整えても、たとえば社外取締役制度を導入してもそれが実質的に機能しない」

 日立製作所を振り出しにシティバンクや米国系証券会社などで要職を歴任した同会の安田正敏専務理事はそう指摘した。


 バブル崩壊後によく見たような光景が再現されたことに、「まだやっていたのか」という声が上がっている。だが、本当にこの手の話が昔話といえるほど、日本は進歩を遂げたのか。ひょっとしたら、それこそ「体裁や外見を整えた」にすぎなかったのではないか。「コーポレート・ガバナンス」という言葉が急にあちこちで聞こえるようになった今、そんなふうに思えてならないのである。(フジサンケイビジネスアイ 編集長 松尾理也)

2011年11月20日 産経新聞 東京朝刊

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 村社会であり、英語ではTribe Society だという表現もあった(クラーク元上智大学教授)。

 しかしもう一般社会ではまともに機能していない。「村」機能は大幅に低下している。

 社会学の宮本みち子氏(放送大学)は「村共同体は壊れたが、近代的市民社会は形成されていない」状態だと言っている。

 彼女はそれがフリーター・ニート問題の背後にあり、介護の困難さも同時に生んでいると指摘する。

 企業の中のそれは要するに経営者の人間関係を通じた閉ざされた世界に企業が落ち込んでいることを示している。

 いわば日本の企業全体がひきこもっているのだ。

 それが日本経済の停滞を招いている。

 企業の腐敗、暴力団の跋扈と経済の停滞は同じ穴のむじなだ。

 


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