王子様とパイロットとの話は、王子様の星にただ一本咲いていたバラの話になる。
王子様の星には、姿は美しいが、わがままで王子様に注文ばかりつけるバラの花が一本だけ咲いていた。そして、王子様はやがてそんなバラの花が嫌になってきた。
実はこのバラの花、サンテックの妻のコンスエロを表していたらしい。つまり、星での王子様とバラの花のやり取りは、実生活のサンテックとコンスエロのやり取りを表していたと考えられるだろう。
実際、コンスエロはかなりの浪費家だったらしく、サンテックを苦しめていたらしい。
サンテックも、小説家としての社会的な地位は築いていたが、冒険飛行家としての顔も持っていたため、お金はかなり必要だったと考えられる。実はサンテックは幾度も墜落を経験しながら、何機もの飛行機(彼が最も愛した飛行機”シムール”だけでも確か3機!)を買い換えていた。
本の中では、王子様はついにはバラの花の面倒を見ることをやめて、旅に出ることを決意する。そのときのバラの反応は、意外にも王子様を気遣い、王子様の好きなようにすることを薦める。その後、王子様は自分のとった行動について、おおいに後悔することとなる。
そして、このことがきっかけで、王子様は本当に大切なものとは何かについて気づき始めるのである。
このあたりの文面を客観的に見て見ると、実は、サンテックの実生活でもコンスエロとの関係が既に終わっていたようにも感じ取れる。そして、サンテックはそのことについて、「星の王子様」の内容と同じ様に、おおいに後悔すると共に、大切なものに気づいたようにも思える。
このあと、王子様はいよいよ星を巡る旅へと出て行くのである。