さてさて、いろいろと検討して本番の製作へと入った世界最高の車いすのシート。
いよいよ縫製へと入っていきます。
写真は縁取りのバイアステープを、バインダーという器具を使って縫い付けているところ。
縫製作業というのは、こういったツールでずいぶん仕上がりと作業効率が変わってしまうので、結構市販品を自分のアイデアで改造したりして使いやすくしています。
パパッと作業を終わらせれば‥。
でも、下準備にはずいぶん時間を使ってしまいました。
お客様であるO野氏が気に入ってくれれば幸いです。
ところで皆さん、障害者スポーツに使われている器具って、ものすごいテクノロジーが詰め込まれているってご存知ですか!
私は最初にそのことを知った時に、感動するとともに、障害者スポーツ用品の世界って、技術的にものすごく面白いものがあることに気づき、大変興味をそそられられました。
たとえば、陸上競技の義足を使っての中距離走などは、驚くことに健常者よりもタイムが速いそうで、いかに義足がすごいものかを知ることが出来ます。
また、今回仕事の依頼のあったO野氏は、以前チェアスキー(車いすスキー)の改造の依頼も私に願い出たことがあったのですが、この時初めて見たチェアスキーに私は驚嘆してしまいました。
全アルミフレーム(専門的にはおそらく7N01材)で美しく仕上げられており、もっとも驚嘆したのはサスペンション。
バイクのプログレシップ効果(簡単にいうと、細かな動きで小さなショックを吸収しながらも、大きな力が加わるとサスペンションが固くなり、しっかりと踏ん張ってくれる)を狙って、複雑なリンク機構が使われていたことです。
私も思わずそのチェアスキーに座ってその効果を確かめてみましたが、とても動きが良く、素晴らしい感触に仕上げられていました。
このチェアスキーで私が改造したのは、より空気抵抗を下げることと防寒の目的で、ネオプレーン生地でフェアリングを作ること、そして、人間を固定する固定具を、スカイスポーツ用の軽量高強度のものに変更して、チェアスキーのポテンシャルをあげることでした。
しかし、私はその仕事以来、障害者のスポーツ用品の開発はとても奥が深くて面白い分野であることに気づき、そして、私がもつスカイスポーツ用品に要求される、軽量高強度につくるノウハウがそのまま応用できることにも気づき、今はとてもこの分野に興味を持っています。
そのうちうっかりすると、パラリンピックでウチの「EXE」のエンブレムのついた製品を目にするかもしれませんよ(笑)
数年後にはNHKなどでこの車イスの設計についてなどでみっちゃんさんが出演されてかもですね(笑)
そうなるとうれしいですね!
スカイスポーツで得たノウハウが、思わぬところで生きてきました。
薪ストーブもそうですが、今は興味のあることだらけで楽しいです!