日々の出来事

当院の出来事を紹介します

脂肪肝細胞移植の治験

2012-09-11 16:38:24 | Weblog
医療は日進月歩です。

診断が困難だった病気が一発で簡単に診断できるようになったり、
よい治療方法がなかった病気に、新しい薬がでてきたりもします。

つい最近まで、手だてなしと考えられていた病気で急にブレイクスルーが起きることがあります。

 「再生医療」

このトレンドはどんどん進歩していくのでありましょう。

先月、治験の一環として脂肪から取れる幹細胞を投与する治験を
うちの患者さんが受けられました。

有償治験なので、一回の治療費が63000円!、毎週の投与でそれを四回行います。
脊髄の麻痺がある患者さんに投与して、回復の状況を確認しました。
この治療法はまだ治験段階ですが、安全性が高く、高い効果が期待されています。

治験は無事に終了し、リハビリをかねて入院していました。
麻痺していた後肢は、かなり力が入るようになり、びっくりしました。
従来の医療では、回復は期待できなかったからです。

無事に退院して経過をみていましたが、先日ご自宅で食べ物を穴違いしてしまったらしく、
急にお亡くなりになったようです・・・。
残念な結果になってしまいました。

このワンちゃんのご家族には、MRIやCTによる病変の確認をさせていただき、
まして実験的な治療である脂肪幹細胞の治験に同意して参加していただきました。
費用も半端ではなかったわけで、未知の治療に臨んでいただき、
強い愛情を感じないわけにはいきませんでした。


いっぱいお金をかけたから偉いのではなく、そこまでしてくれるんだ・・・、
と獣医さんから見ても、すごいがんばりだなと痛感しました。
東京だから高度な動物医療ができて新潟ではできないんだ・・・、
それが思い込みであったことは、こういう実例が証明しています。
本当に、とことんやって(やらして)くれました。