日々の出来事

当院の出来事を紹介します

避難所巡り

2011-03-20 23:24:38 | Weblog
本日、新潟市体育館の避難所を回ってきました。

体育館内への入り口の外(室内のトイレ手前)にケージがあり、避難して来た犬がいました。ストーブの前で抱いている飼い主さんも数人いました。一様に、新潟の方々が親切にしてくれてうれしい、とおっしゃっていました。前日にトリミングの無料サービスがあったようで、寒いからとチワワに服をくれたと感激しておられました。ペットショップでは、被災して避難してきたと話したら大幅な割引をしてくれてしまい、かえって恐縮してしまった・・・とのお話もありました。

私がお話した飼い主さんの中に、特定の治療食を食べているとか、甲状腺製剤を継続しているが無くなってきている、混合ワクチンを打つ時期が来ている、というような話もありました。吠えるワンちゃんで、車の中に毛布をひいて体育館からは放しているケースも見受けられました。寒さは大丈夫でしょうか?

連絡ノートがあるので、そこに緊急事は動物病院へ連絡するように記入してきました。

腹膜炎の犬の手術

2011-03-20 00:09:46 | Weblog
16日に書いた胆汁性腹膜炎のワンちゃん、がんばってくれています。

まだ入院中です

でも今日、急な容体の変化があり、再度お腹を開けることになりました・・・。
先ほどまで手術していて、今は術後管理の最中です。
覚醒まちです。

元々は胆汁が漏れたことによる腹膜炎で、転院していらしたケースでした。
東北関東大震災のあった時に手術中で、お腹を洗い、胆嚢と十二指腸を吻合し、
お腹は半閉鎖にして毎日洗浄して、腹腔内をキレイにしていました。

皮膚のかぶれがありましたが、排液がきれいになってきたためドレーンという軟らかいチューブに変更し、
経過は比較的良好でした。
今朝も自分で食事をとって、けっこう元気でありました。

しかし夕方に包帯を交換したら、ドレーンからなにやら胃液状の液体がでてきました。
昨日まではなかったことです。
つい最近、胃か腸に穿孔が生じたと判断されました。
飼い主さんは、朝お見舞いにいらして、その後は県外に出張とのことでした。
お電話して状態を説明、緊急手術のご理解を得ました。

開けてみたら、胆嚢と十二指腸の吻合部ではなく、胃に穴が開いていました・・・。
腹膜炎が重度で、腹膜だけでなく胃や腸の漿膜面も変性して変色していました。
胃の漿膜面(表面)がボロボロで、縫い合わせようにも裂けてしまう、そういう状態でした。
腹腔内臓器の癒着も重度なため、穿孔部へのアプローチも困難を極めました。

結局縫い合わせても裂けてしまうため、パッチといわれる布状のシートを貼付けてなんとかしました。
今日、膵臓の近くにできていたおでき(腫瘤)は「肉芽腫」と診断されました。
肉芽腫は「腫」と書きますが、腫瘍ではないものです。
生体側が何かを封じ込めようとして、固まってしまいしこりになってしまったものです。
ダックスフントに多い、無菌性結節性脂肪織炎かと思いましたが、病理医の判断では典型例ではない、との意見でありました。

腹膜や漿膜の変性が重度なので、内科治療でがんばらなければいけません。
「元気になって欲しい」、祈るような気持ちで、寄り添っています。
できる限りのことはしたつもりです。
本人(犬)の体力・回復力・生命力に期待して、するべきことをやりきるまでです。
お互いに、ちょっとしんどくなってきています。