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ヒトは血管とともに老いる アンチエイジング・ミニ講座 1

2009-12-20 16:46:20 | アンチエイジング・ミニ講座

アンチエイジング・ミニ講座 1 

ヒトは血管とともに老いる




「医学はサイエンスに基づいたアート」であるという

全人医療の考え方を提唱されたウィリアム・オスラー博士の有名な言葉に、


「ヒトは血管とともに老いる」があります。



ヒトは年齢を重ねるとともに、血管が硬くなり老化していきます。

ヒトの老化現象とは、血管壁が硬くなり弾力性を失うことで現れる。

すなわち、「動脈硬化」と言うわけです。

逆に言うならば、若々しく健康を保つには、

血管を柔らかく保つことが重要ということになります。



現在のサイエンスにおいては、


血管の老化は、その内皮細胞に始まり、血管のしなやかさを低下させ、

 それは次第に臓器の器質的変化に置き換わっていく



と考えられています。



血管老化の引き金を引く部位は、


    血管内皮細胞です。



すなわち、われわれの血管の一番内側を覆っている細胞のことです。



これは血管の内壁となる一層の扁平な細胞ですが、

単に血管の内張りとして存在しているだけではなく、

プロスタグランディンI2 (PGI2) を産生し放出することによって、

血小板の凝集を抑制し、血管を拡張させ、血管に血栓ができにくくします。



また、トロンボモジュリン(TM)という物質を産生することによって、

トロンビンを血液凝集酵素から抗凝集酵素に変換することが判りました。


さらに、一酸化窒素(NO)を産生放出して、

血小板の凝集抑制と血管拡張の作用を行っていることも判ってきました。



つまり血管内皮細胞は、


血小板の凝集を抑制し、血液凝固をも抑制することで、


積極的に血管内での血栓形成を防いでいる細胞であることが判ってきたのです。



血液凝固以外にも、循環制御、炎症・免疫制御、血管新生制御など、

われわれの身体の機能に重要な役割を果たす諸々のシステムを制御して、

刻々と変動するわれわれの身体を一定の状態に維持するために、

血管内皮細胞は重要な役割を果たしていることが

次々と明らかになってきたのです。



血管内皮細胞は、常に血液と接しています。

血液の変化を時々刻々に感知し、反応することで、

これらの働きが可能となります。



たとえば、血管の中を流れる血液が増加すれば、

血管の壁面に加わるズリ応力が変化します。

その物理的なストレス変化を生化学的なシグナルに置き換えることで、

血管内皮細胞からのNOの産生が高まります。

NOは血管の平滑筋細胞を弛緩させ、血管は拡張し、

増加した血液の流れに対応できるというわけです。



血管内皮細胞は、常にさまざまなストレスに曝されていることになります。

ストレスが一定レベル以下であれば、血管内皮細胞は活性化し、反応します。

しかし、ストレスが強過ぎると、血管内皮細胞は障害を受けてしまいます



現代の日本において血管内皮細胞を障害する因子として重要なのは


酸化変化低比重リポタンパク (酸化されて変化したLDL-コレステロール)


あるいは、糖化タンパク質 (AGEs) などです。



これらの因子は、TM(トロンボモジュリン)の発現を低下させ、

TMと正反対の働きをするトロンビン受容体(PAR-1)の発現を

促進してしまいます。


また、これらの因子は、NOの活性を妨げてしまいます。


つまり、血液の流れが障害されてしまうということです。




ところで、

わたしたちの身体の中に、血管内皮細胞とはどれくらいあるのでしょうか?


70Kgの成人男性では、

総重量約1Kg、表面積としては70㎡にもなるといわれています。

(推定内皮細胞総面積 Wolinsky,1980による)



その表面には、LDL受容体AGE受容体 (RAGE) が存在します。



血液内のAGEsがAGE受容体 (RAGE) に結合すると、


細胞内にシグナルが伝達されて転写因子であるNF-κBが活性化し


血栓形成傾向炎症悪玉アディポサイトカイン増加させ


血管障害から動脈硬化へと病的状態の進行が始まってしまいます



たしかに、

「ヒトは血管とともに老いる」のです。



 アンチエイジング・ミニ講座 2  AGEsは血管平滑筋細胞に石灰化を誘導する



創立2周年記念、AGE Readerによる皮膚AGEs測定の実際は こちらから


当ブログの重要点『抗糖化』等に関してはこちらにまとめてあります。
なお、図表および内容の引用は固くお断りいたします。


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