低炭水化物ダイエットは低脂肪ダイエットよりも、体重減少と心血管危険因子の改善効果が有意に高いことが、ランダム化比較試験(RCT)の結果として示された。米国Tulane大学のLydia A. Bazzano氏らが、Annals of Internal Medicine誌2014年9月2日号に報告した。
低炭水化物ダイエットは減量法としてよく知られているが、心血管系に対する影響は十分に研究されていなかった。そこで著者らは、ルイジアナ州のTulane大学医療センターで、心血管疾患と糖尿病には罹患していないと自己申告している、BMIが30~45で、22~75歳の男女148人(平均年齢46.8歳、88%が女性)を登録。
1日の炭水化物の摂取量を40g未満とする低炭水化物ダイエット群(75人)、または1日の摂取熱量に占める脂肪の割合を30%未満、飽和脂肪比率を7%未満とし、熱量の55%は炭水化物から摂取する低脂肪ダイエット群(73人)のいずれかに割り付けた。いずれも、摂取熱量の目標値は設定しなかった。
試験期間中は両群に対して、食事に関するカウンセリング(当初1カ月は週1回の個別セッションを、それ以降はグループセッションを定期的に実施)を行った。また、ベースラインで、1週間のサンプルメニューやレシピ、炭水化物、脂質、たんぱく質の摂取量の計算法などを掲載したハンドブックを提供。さらに、1日当たり1食分の置き換えダイエット用食品(バーまたはシェイク)を継続的に支給した。試験期間中は身体活動量を変えないよう依頼した。
体重、心血管危険因子、食事の内容に関する情報をベースラインと3カ月後、6カ月後、12カ月後に収集した。
ベースラインでは、両群の食事内容に差はなかった。介入を完了したのは、低脂肪ダイエット群の60人(82.2%)、低炭水化物ダイエット群の59人(78.7%)だった。試験期間中に両群が摂取した総熱量と身体活動量には有意差はなかった。
12カ月時点の体重減少は、低炭水化物ダイエット群の方が有意に大きかった。ベースラインからの変化量は、低炭水化物ダイエット群が-5.3kg(95%信頼区間 -6.8から-3.8)、低脂肪ダイエット群は-1.8kg(-3.3から-0.3)で、両群の差は-3.5kg(-5.6から-1.4、P=0.002)だった。同様に、体脂肪率の変化は-1.2%(-2.0から-0.4)、0.3%(-0.5から1.0)で、両群の差は-1.5%(-2.6から-0.4)だった。腹囲の変化量には有意差は見られなかった。
総コレステロール/HLD-C比の変化量の差は-0.44(-0.71から-0.16、P=0.002)、トリグリセリド値の変化量の差は-14.1mg/dL(-27.4から-0.8、P=0.038)、HDL-C値の変化量の差は7.0mg/dL(3.0-11.0、P<0.001)で、全て低炭水化物ダイエット群において有意に改善していた。なお、LDL-C値の変化量には有意差は見られなかった。
両群ともに血圧と血糖値の変化は有意ではなかったが、C反応性蛋白(CRP)値は、低炭水化物ダイエット群で低下が大きく、両群の変化量の差は-15.2nmol/L(-27.6から-1.9)だった。
フラミンガム・リスクスコアの変化は、低炭水化物ダイエット群で-1.0%(-1.6から-0.5)と有意な低下を示したが、低脂肪ダイエット群では0.4%(-0.2から0.9)で、両群の変化量の差は-1.4%(-2.1から-0.6、P
<0.001)と有意だった。
試験期間中に重症有害事象の報告はなく、便秘、疲労、口渇、多尿、下痢、胸焼け、悪心などの有害事象の発生率に差はなかった。ただし、頭痛は低脂肪ダイエット群に多く認められ、3カ月時点では低炭水化物ダイエット群との発生率の差は有意だった(P=0.030)。
低炭水化物ダイエットは、体重減少と心血管危険因子の改善において、低脂肪ダイエットより有効だった。「減量に加え心血管危険因子の改善も望む人々には、低炭水化物ダイエットが適している」と著者らは述べている。
原題は「Effects of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets: A Randomized Trial」、概要は、 Ann Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。
低炭水化物ダイエットは減量法としてよく知られているが、心血管系に対する影響は十分に研究されていなかった。そこで著者らは、ルイジアナ州のTulane大学医療センターで、心血管疾患と糖尿病には罹患していないと自己申告している、BMIが30~45で、22~75歳の男女148人(平均年齢46.8歳、88%が女性)を登録。
1日の炭水化物の摂取量を40g未満とする低炭水化物ダイエット群(75人)、または1日の摂取熱量に占める脂肪の割合を30%未満、飽和脂肪比率を7%未満とし、熱量の55%は炭水化物から摂取する低脂肪ダイエット群(73人)のいずれかに割り付けた。いずれも、摂取熱量の目標値は設定しなかった。
試験期間中は両群に対して、食事に関するカウンセリング(当初1カ月は週1回の個別セッションを、それ以降はグループセッションを定期的に実施)を行った。また、ベースラインで、1週間のサンプルメニューやレシピ、炭水化物、脂質、たんぱく質の摂取量の計算法などを掲載したハンドブックを提供。さらに、1日当たり1食分の置き換えダイエット用食品(バーまたはシェイク)を継続的に支給した。試験期間中は身体活動量を変えないよう依頼した。
体重、心血管危険因子、食事の内容に関する情報をベースラインと3カ月後、6カ月後、12カ月後に収集した。
ベースラインでは、両群の食事内容に差はなかった。介入を完了したのは、低脂肪ダイエット群の60人(82.2%)、低炭水化物ダイエット群の59人(78.7%)だった。試験期間中に両群が摂取した総熱量と身体活動量には有意差はなかった。
12カ月時点の体重減少は、低炭水化物ダイエット群の方が有意に大きかった。ベースラインからの変化量は、低炭水化物ダイエット群が-5.3kg(95%信頼区間 -6.8から-3.8)、低脂肪ダイエット群は-1.8kg(-3.3から-0.3)で、両群の差は-3.5kg(-5.6から-1.4、P=0.002)だった。同様に、体脂肪率の変化は-1.2%(-2.0から-0.4)、0.3%(-0.5から1.0)で、両群の差は-1.5%(-2.6から-0.4)だった。腹囲の変化量には有意差は見られなかった。
総コレステロール/HLD-C比の変化量の差は-0.44(-0.71から-0.16、P=0.002)、トリグリセリド値の変化量の差は-14.1mg/dL(-27.4から-0.8、P=0.038)、HDL-C値の変化量の差は7.0mg/dL(3.0-11.0、P<0.001)で、全て低炭水化物ダイエット群において有意に改善していた。なお、LDL-C値の変化量には有意差は見られなかった。
両群ともに血圧と血糖値の変化は有意ではなかったが、C反応性蛋白(CRP)値は、低炭水化物ダイエット群で低下が大きく、両群の変化量の差は-15.2nmol/L(-27.6から-1.9)だった。
フラミンガム・リスクスコアの変化は、低炭水化物ダイエット群で-1.0%(-1.6から-0.5)と有意な低下を示したが、低脂肪ダイエット群では0.4%(-0.2から0.9)で、両群の変化量の差は-1.4%(-2.1から-0.6、P
<0.001)と有意だった。
試験期間中に重症有害事象の報告はなく、便秘、疲労、口渇、多尿、下痢、胸焼け、悪心などの有害事象の発生率に差はなかった。ただし、頭痛は低脂肪ダイエット群に多く認められ、3カ月時点では低炭水化物ダイエット群との発生率の差は有意だった(P=0.030)。
低炭水化物ダイエットは、体重減少と心血管危険因子の改善において、低脂肪ダイエットより有効だった。「減量に加え心血管危険因子の改善も望む人々には、低炭水化物ダイエットが適している」と著者らは述べている。
原題は「Effects of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets: A Randomized Trial」、概要は、 Ann Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。