ベイエリア独身日本式サラリーマン生活

駐在で米国ベイエリアへやってきた独身日本式サラリーマンによる独身日本式サラリーマンのための日々の記録

サンタ・フェ

2016-12-10 23:29:41 | 生活
 サンタ・フェは、ニュー・メキシコ州の州都だ。独身日本式サラリーマン諸氏の中には、年に数回の大型連休時に何をすればいいのか決めきれず、せっかく新大陸に居るというのに無駄に時間を費やしていることがあるに違いない。この大陸には日本に居ては決して見られない風景があり、文化がある。いつ命ぜられてもおかしくない帰任の辞令を貰う前にできるだけ沢山味わうことが重要で、さもないと日本に帰ってから、友人や将来の伴侶や、その両親に対して偉そうな自慢話ができなくて困る。そんなときにこのサンタ・フェと、そこへたどり着くまでの道のりは大いに自慢できる内容になること間違いないので、ここで諸氏に紹介しておこう。


この旅の特長は以下のとおりだ。参考にしてもらいたい。


①旅の出発点
ユタ州アーチーズ国立公園の章でも述べたが、アメリカでの、孤独な日本式独身サラリーマンの旅の基本は目的地ではなく、その道程にある。サンタ・フェ市にも空港があり、サン・フランシスコから直行で簡単にたどり着くが、そんな面白くない不毛な旅は家族ができてからするといいだろう。しかも航空券の価格が他の都市に比べて非常に高い。ここでは出発地点をコロラド州デンバー市の空港にする。サンタ・フェまで7~8時間のドライブ、ちょうどいい距離だ。もしも愛聴盤CDを忘れてしまったら、コロラド州内ではラジオのチャンネルをFMの105.5に合わせるといいだろう。


②デンバーからサンタ・フェへ
デンバー国際空港でレンタルした車で出発だ。標高1600mのマイル・ハイ・シティの低い空を感じながら南へと進む。国道はBNSF鉄道と平行に走り、時折長大な貨物列車とすれ違ったりしながら行く。しばらくは西側に雪山を見ながらのドライブとなるが、コロラド・スプリングス市を過ぎると、点在する都市間は完全な荒野で、地平線が四方に見え、視界の彼方まで国道25線が続いている。トリニダートという町を過ぎた辺りからは、岩山が目立ち始め、そしてラートン市を過ぎたところで65号線を経由し、タオスという町を見てから向かうことを薦める。タオスで一泊するのもいいだろう。この道も遠い雪山や、河川により削られた深い谷、赤い山々、それに点在するアドビ風建築家屋が、自分たちの描くアメリカのイメージとは異なる世界を見せてくれる。


③サンタ・フェ
サンタ・フェについては詳細は述べないが、ダウンタウンの街並みは美しく、人気のある町だから、一人で歩くと強い孤独を感じる。よって当時の篠山紀信氏さながらに大きなカメラでも抱えてそれっぽく歩いていれば、「寂しい孤独な人ではなく、写真家の人なんだな」と思ってもらえるだろう。夕暮れ時の街並みは特に美しく、夜はこ洒落たレストランが賑わう。


④帰路
時間がない場合はレンタカーをサンタ・フェ空港や、少し南のアルバカーキ空港で車を返す手筈にして、空の便で帰路につくといいだろう。いくら道程が大事と言えども、来た道を戻るのは迷ったとき以外にはしたくないものだ。


 孤独な旅の目的地にメジャーな場所を設定すると、日本人観光客を見かけることがある。そのとき同族嫌悪の作用なのか、やけに気恥ずかしくなって距離をとってしまい、そしてその距離を取る自分にも気恥ずかしくなって感情の持って行き場がなくなり混乱することがあるのは筆者のみならず、独身日本式サラリーマン諸氏に共通する性質だろう。そんなときには気弱に「どうも、こんにちわー」と言い、その後のコミュニケーションの進展は相手方に委ねておくのがいい。快活に挨拶して相手に無下にされた場合傷つくし、スカして無視していると思われるのも本意ではないからだ。

生計

2016-12-10 09:46:09 | 生活
 生計は、ベイエリアでそこそこ広く展開しているベーカリーショップだ。この国のパン屋はドーナツ屋や、クッキー屋の親戚みたいな位置づけにあるようで、たまに“ベーカリー”と銘打ったお店に入ってみても、ご婦人や小児の嗜好品のようなパンばかりが並ぶ場合が多いのは、独身日本式サラリーマン諸氏もお気づきのことであろう。諸氏も、イースト菌の匂いが漂う店内に、丁寧に陳列された惣菜パンを、好きなだけトングでつかみ、トレーに載せた幸せな記憶ははるか昔になっているだろう。そして大抵の場合、パン屋のバイトの女性は白いコック風のコスチュームに身を包み、赤いネッカチーフを巻いていたりして、可愛かったりもするものだ。ここで紹介する生計では、ほんの少しその記憶を蘇らせることができるのだ。


このお店の特長は以下のとおりだ。


①場所
上述したように、ベイエリアではちょくちょく見かけるお店だが、ここではフォスター・シティの店舗について記述する。101号線をヒルズデイルで下りて、少し東へ向かうとデニーズやチェイス・バンクの看板が目立つ小さな商業エリアがあり、生計はそこにある。居酒屋の“印象”や、マリーナスーパーマーケット、韓国料理屋等もこのエリアに入っている比較的ディープなエリアといっていい。少しウロウロしたならすぐに、“生計”と書かれた看板を見つけるだろう。


②生計
生計は立派なホームページが製作されており、それによると“Sheng Kee ”と発音する台湾系のパン屋ということだ。“生計”とは中国語で“生ケーキ”などという意味なのかと推理し調べてみたが、日本語の“生計”と同じ意味しか出てこず、ホームページにもwhich means “For a Living”とあったのでまさに生計だ。同じエリアに“印象”という名の日本居酒屋もあるので、お店のネーミングにこのような語句を用いることは普通なのかも知れない。


③スタイル、雰囲気
決して大きくない店内には多くの種類のパンが並び、トングを使ってプレートに載せるスタイルだ。プレートに敷くための紙シートもあり、パンを買い求める人々はプレートの上にシートを敷き、その上に思い思いのパンを載せている。筆者の田舎のパン屋にはこの紙シートははなったような気がする。小ぎれいなパン屋だ。ケーキにも力を入れているようだ。


④惣菜パン
種類は少ないが、ソーセージパンや中華風な肉まん風パン等が売られていて、どれも普通に食べられる程度には美味しい。休日の昼や、朝ごはんにもってこいだ。



 そして店員は、白いコック風のコスチュームに身を包み、赤いネッカチーフを巻いた非常に不愛想な中華系の男性である場合が多いので、そこは持ち前の想像力でカバーしよう。イノベーションの基本は想像力であり、筆者は想像力を鍛えに鍛えたので、生計へ行ったこともないのにこんなブログが書けてしまった。諸氏には、是非とも実際に足を運んで真偽を確かめてみてもらいたい。