午後1時頃には鳥島が見えてきました。
7階のスポーツデッキでは、
「鳥島を見ましょう」のイベント。
鳥島の簡単な説明をしていただきました。

東京の南、都庁から約582kmに位置する、
伊豆諸島の島である鳥島(無人島)。
全島が国の天然記念物(天然保護区域)に指定、
ほぼ円形に近い二重式成層火山島です。

鳥島は、日本の領域外の無人島でしたが、
幕末には、中濱万次郎など漂流者の奇跡的な
生還によって知られるようになり、
明治10年代には、小笠原航路が通り、
充分に認識される島となりました。

「遠目で見ると白雪が堆積するようであり、
近くで眺めれば、欧米でも類を見ない規模の
一大養鶏場のようである」という記述が残るほど
多くのアホウドリが生息していたのです。

しかし、アホウドリの乱獲が行われて絶命危機に。
現在、鳥島に飛来するアホウドリは
40年以上に渡る保護活動によるもので、
絶滅が免れ順調に個体数を6000羽と伸ばしています。
望遠レンズで見ると白い個体が見えています。

鳥島が火山島であることを懸念し、
小笠原諸島・聟島へひなを移動させ、
繁殖を分散させる活動も行われました。
アホウドリの繁殖に合わせ、
10月~5月までを鳥島で過ごし、
ひなの巣立ちに合わせ、5月後半に旅立つとか。
飛来の季節でもあり、その姿を確認。

海上保安庁の飛行機も飛んでいました。
何か災害が起きたのでなければ良いですね。

ジョン万次郎こと中濱万次郎は足摺岬の沖合で操業中、
突然の強風に船ごと吹き流され、難破。
漂流した後、鳥島に漂着、この島でわずかな溜水と
海藻や海鳥を口にしながら143日間を生き延びました。

日本は明治8年に小笠原諸島を回収、
政府は官吏を含む27人を小笠原に派遣。
その中に八丈島の大工、玉置半右衛門がおり、
アホウドリの乱獲などで巨万の富を築きました。

アホウドリの羽毛は真っ白なため、
大変高額で取引され、横浜港を経由し、
被服や寝具などに需要がある海外へ輸出。
アホウドリは、出稼ぎ労働者の鳥島初上陸から
半年で4万羽、明治35年8月鳥島大噴火で
労働者125人が全滅するまでの15年間で
約60万羽が撲殺されただけでなく、
その後も乱獲を続けた玉置半右衛門。

当時の年収は現在の貨幣価値に換算すると約10億円。
帝国ホテル近くに「アホウドリ御殿」と呼ばれた
大邸宅を建て、成り上がったとか。
現在は保護活動の懸命な努力で
次世代にその命をつないでいます。
無人島にもこのような歴史があったのです。
にっぽん丸は、鳥島を一周して
小笠原諸島を目指しました。
2023.3.18
