読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

元共産党員にして右翼フィクサー、「田中清玄自伝」(田中清玄、大須賀瑞夫著/文芸春秋社)

2008-03-05 18:39:44 | 本;ノンフィクション一般
第1章 会津武士と武装共産党
第2章 昭和天皇と玄峰老師
第3章 オットー大公と田岡一雄
第4章 世界の石油と小平
第5章 ハイエク教授と今西錦司教授

「ソ連女スパイの接近、岸・児玉一派との死闘、山口組組長との交遊、国際石油資本の内情、天皇訪中根回し──初めて明かす秘話が満載」なのです。1993年の初版ですから15年前。私が読んだのもきっとこの頃。

「田中清玄とは如何なる人ぞ。日本史において未経験の敗戦という危機に、その時代を導くために激しい修行に打ち込み終戦の道筋を山本玄峰老師指導の下に、胆力・腹を練っていたのが田中清玄氏である」。(「霊的探求の道を巡って」(http://space.geocities.jp/afptrsnk/index.html))

松岡正剛さんの「千夜千冊」(http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1112.html)には、次のように引用されています。

~最後に「田中さんは右翼だと思っていましたが」と尋ねられると、こう答えた。〔あんた、なんだと聞かれたら、本物の右翼だとはっきり言いますよ。右翼の元祖のようにいわれる頭山満と、左翼の家元のようにいわれる中江兆民が、個人的には実に深い親交を結んだことをご存じですか。一つの思想、根源を極めると、立場を越えて響き合うものが生まれるんです。中途半端で、ああだ、こうだと言っている人間に限って、人を排除したり、自分たちだけでちんまりと固まったりする〕。
 また、こう、続けた。〔政治家なら国になりきる、油屋なら油田になりきる、医者ならバクテリアになりきる。それが神の境地であり、仏の境地だ〕と~。

とにもかくにも昭和の混乱期に、国際的にも思想的にも左から右へ、縦横無尽に駆けずり回った一人の男の自伝は、これほどのスケールの大きな日本人が昭和という時代に必要だったことを後世の我々に燦然と示すのです。

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