読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

限りなくノンフィクション近いフィクション、「闇の子供にたち」(日本/2008年)

2009-03-13 05:44:19 | 映画;邦画
~日本新聞社バンコク支局で、幼児人身売買を取材する記者、南部は、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得る。知人に金を握らせ、臓器密売の元仲介者に接触した南部は、提供者の幼児は、生きたまま臓器をえぐり取られるという衝撃の事実を知る。取材を続ける南部は、ボランティアの少女、恵子と知り合う。純粋すぎてすぐ感情的になる恵子に苛立つ南部だが、善悪に対する感覚が麻痺している自分を恥じてもいた。~(goo映画)

原作:梁石日
監督:阪本順治
音楽:岩代太郎
主題歌:桑田佳祐「現代東京奇譚」
撮影:笠松則通
出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市、鈴木砂羽、豊原功補

この映画はきっと日本では撮れないと思います。幼児人身売買、臓器密売を扱ったものだからではなく、大人が買春で児童を犯すシーンを冷徹なアングルで撮るというようなという意味で。臓器移植、日本に立ち塞ぐ医療の壁、海外への救い、需要を満たすための人身売買、それに加担する大人たち。本作のエンディングは、こうしたプロセスを象徴するもので衝撃的でもあります。

梁石日(ヤン・ソクイル)さんのデビュー作「狂躁曲」(単行本出版時の題名は『タクシー狂躁曲』)は、1993年に崔洋一監督が映画化した「月はどっちに出ている」だったと今回知りました。さらに同じく崔監督の「血と骨」(幻冬舎、1998年)もそうだったんですね。梁さんの著作を改めて見ると、ほとんど読んではいませんが、これらか手にとってみたくなりました。

<梁石日>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%81%E7%9F%B3%E6%97%A5

阪本監督の作品では、「トカレフ」(1994年)、「顔」(2000年)、「亡国のイージス」(2005年)を観ています。今回プロフィールを見ると、私と同じ歳でありました。

阪本順治(さかもと じゅんじ、1958年10月1日 - )は、「大阪府堺市生まれ。家業は仏具商で、生家の向かいが東映の映画館であったことから幼少期より映画に親しむ。大阪府立三国丘高校を経て、横浜国立大学教育学部中退。在学中から石井聰互、井筒和幸、川島透などの現場に美術助手や助監督として参加するかたわら、自主映画を制作していた」。

「1989年、赤井英和主演の『どついたるねん』で監督デビューを果たし、芸術選奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞など数々の映画賞を受賞。男の世界を描いた作品が多いが、2000年の『顔』では主演に藤山直美を迎えて女の内面を描き、各方面から賞賛され、キネマ旬報ベストワンや2001年度日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した」。

<闇の子供たち : 阪本順治監督が語る人身売買、臓器密売の闇>
http://eiga.com/movie/53595/special

さて、俳優陣。日本映画なので、あえてこのブログにいちいち取り上げる必要はありませんが、彼らに敬意を表して記すことにします。まずは主演の江口洋介さん。「白い巨塔」(2003年10月-2004年3月)の里見脩二役、「逃亡者 RUNAWAY」(2004年7月~9月 TBS系日曜劇場)の永井徹生役が印象的でした。

<江口洋介>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E5%8F%A3%E6%B4%8B%E4%BB%8B

まさに今が旬という女優さんが、宮崎あおいさんですね。詳細はウィキペディアで。

<宮 あおい>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E3%81%82%E3%81%8A%E3%81%84

この映画が因果になったのでしょうか。NHKの大河ドラマの主役でもある妻夫木聡さん。それにしても凄い苗字ですね。

<妻夫木聡>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A6%BB%E5%A4%AB%E6%9C%A8%E8%81%A1

次に、なんと言っても「相棒」(2000年~)の亀山(奥寺)美和子役がはまり役となったのが鈴木砂羽さん。「愛の新世界」(1994年)でのレイ役は衝撃でした。一方、「力道山」(2004年)での沖浜子役も印象的でした。本作では息子の命を救うために生きる母親の演技が光りました。

<鈴木砂羽>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E7%A0%82%E7%BE%BD

「亡国のイージス」(2005年)、NHK土曜ドラマ『監査法人』(2008年)の小野寺直人役が印象的だったのが豊原功補さん。本作では登場の機会は少なかったですが、存在感がありました。

<豊原功補>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%8A%E5%8E%9F%E5%8A%9F%E8%A3%9C


本作を観ながら、確かアメリカ映画でアジアの旅先で娘を誘拐され、母親が一人孤高に捜索するという作品のことを思い出しましたが、題名とキャストが出てきません。残念。


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