ここ数年に詠んできた短歌の中から

その時その時の感覚が蘇り
風のように今を吹き過ぎる。
風のように今を吹き過ぎる。
風のうた・・・
風吹いて白いページが開くごと春の出逢いを髪切りて待つ
柔らかき光を浴びて山笑い春うららかに雲流れ行く
輝ける命見つめし三十年を今宵の桜に写しおきたり
洗い髪ほのかな香り戯れて星降る夜に甘き風吹く
潮の香と日焼けし笑顔目張り寿司友住む里に柔らかき月
また一つ星は流れて湧き上がる声も大地も温かき夜
夏空に心の住処失いし人の狂気を救う道有りや
待ちわびて待ちわびて今開きたる月下美人の芳しきかな
秋茄子を差し出す腕は日焼けして老いはねかえし父は微笑む
二月空水色に浮く満月に届けよ甘き水仙の香
日常を詠むことはない。増して生活も歌わない。
吹きぬける風のように一こまをただ切り取るだけ。
写生とも言いがたい。
でも三十一文字に切り取れば
その時その時が鮮やかに蘇ってくる。
その時の空気すらも。何とも不思議!
「いとをかし」である・・・



吹きぬける風のように一こまをただ切り取るだけ。
写生とも言いがたい。
でも三十一文字に切り取れば
その時その時が鮮やかに蘇ってくる。
その時の空気すらも。何とも不思議!
「いとをかし」である・・・



