☆フェアリーベルの暖輪室☆・・・♪京都風日和♪

時空のキラメキのなかで、感性を研ぎ澄ませ、
吹く風のままに・・・ちょっと不思議な話も・・・ 

東大寺・お水取り2024<2>・・・響く声明・法螺貝の音

2024-03-19 00:00:07 | 徒然・・・お水取り

火の粉が高く舞い上がり「お松明」が終わる
毎回、初めはお松明の本数を数えているのだが
「お松明」を眺めていると途中で意識がどこかに行ってしまうようで
いつも何本行ったかわからなくなる

今年で1273回目の東大寺・修二会
正式名称は「十一面悔過法要」
「十一面悔過」とは我々が日常に犯している様々な過ちを
二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で
悔過(罪や過ちを懺悔し悔い改めること)することを意味する
1273年間、毎年一度も途切れることなく行われてきた
「悔過の行」は
すべての衆生の罪や汚れを、練行衆が担って
身をもって悔過・懺悔するという「行」なのだ

一気に人の波が引いていく
「これからが本番なのにね!」とMさん…
二月堂の中では練行衆11人による今夜の「行」が粛々と行われている

帰っていく人々の混雑を避けて「お松明」の余韻に浸っていると
いつも違う場所に多くの人たちが並んでいた
前回までの二月堂へ向かう正面の急な階段は閉鎖され
(模様が掘り込まれた多分二月堂造成当時からの幅が狭い階段だが
一気に多くの人が上るので毎回ヒヤヒヤものだった)
脇の2か所の上りやすい階段から上ることになったらしい

警備会社がすべて取り仕切っていて
最後尾に並んだ時には300人目くらい(警備会社の人が数えていた)
後には100人から150人くらいは続いていた
「昨日は、お松明に来た人もこんなもんじゃなかった!」
「何倍かの人でいっぱいだった…」と後ろに並んだ人たちが話していた
今日でも2000人くらいは入っていたと思うけど…他の日はどんなだろう
昨日は寒さももっと厳しかったらしい

「準備が整っていない」と
舞台に水を撒いてある程度水が引くまで入れないようにしているのか
かなりの時間待ってやっと少人数ごとに二月堂へ向かう
              

辺りの店は閉まり休憩所等は閉鎖され通行止めになっていた
いつも帰りに降りていた練行衆の上られた階段も通行止めに…
舞台も一方通行で規制がかかる
まだ正面の局は閉まっていて鐘も止められ
燭台に蝋燭の一本も灯されていない
今夜はこのままなのだろうか

戻ることは許されずもう一周回って、出る時間を決めて
家人は頂いた「許可書」を見せて内陣へ
我々3人はいつも私が入る横の局へ

局はより整備されていて
注意書きを映す?ほんの小さい2つ明りのためかいつもより明るい

それでも暗き局は別世界
瞬く間に引き寄せられる

美しく重なる声明の響き
薄っすらと垣間見える練行衆のお姿
うねるように吹き鳴らされる法螺貝の音
悔過のために身体を投げ出して打ちつける五体投地の
ダーンという高らかな音…
「南無観世音菩薩」「南無観世音菩薩」
「南無観世音」「南無観世音」
「南無観」「南無観」「南無観」「南無観」…

瞬く間に時間は過ぎて…これはいつものことだ
約束の時間が過ぎて、思いを残しながら局を出て舞台へ…
「お願い!あと10分だけ…」とKさんが家人に言って
我々3人は今度は開いていた正面の局へ
ここは真っ暗で静かだ
(きっと今日のこの時間は多くは「通」の人たちだろう)
高まりゆく「行」の何とも言えない清々しさと心地よさが沁みていく

思いを断ち切って舞台へ…(それでも合わせて1時間くらいは入っていた)
真っ暗な局から出て澄み渡る冷気が流れる舞台から
仰ぎ見る夜空は格別だ
「一晩中でも聞いていたかった!!」とはMさんの感想 
 
澄み切った大気の中を浄化の息吹を身に纏って
石畳の参道を下りていく
毎回この時間も何とも言えないくらいいいのだ

清々しい「気」が満ち満ちて
梅の香りがかすかに…
振り返り見上げると「行」の続く二月堂が
美しく光っていた…
(口絵写真)
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東大寺お水取り2024<1>・・・お松明・浄化の炎

2024-03-15 00:00:09 | 徒然・・・お水取り

京都から車で平城山を越え「東大寺・お水取り」に向かう

4年ぶりの今回は東京から古代史を研究し講座もされている
友人のMさん(我が短歌会の主宰でもある)と
その生徒さんで「旅友」のKさんとご一緒に…

東大寺にご縁を得て22年間、毎年「お水取り」に出かけていたが
コロナ禍の中、覚悟を持って厳戒態勢で行われている「修二会」
「行」なので遠慮すべきという家人の考えもあって、この3年は控えていた

昨年秋の木屋町三条での家人の個展に
6年勤められた東大寺管長を退かれたS師が来て下さった時
その話をして「来年は大丈夫でしょうからまた是非!」
と言ってもらっていた

Mさんから1月末に「お水取りに行ってみたい」と連絡が入り
4年ぶりにご一緒することに…
籠松明の12日、満願の14日はもちろん
土日も避けてできるだけ「人が少ない日」を設定した

途中、宇治川・木津川・桂川の三川合流地が見渡せる展望台へ…
以前Mさんを案内した時とっても興奮して感動していたのを思い出し
Kさんも「是非、行ってみたいです!」と言われるので上ってみた
ちょっと霞んではいるけれど早春の柔らかい見事な風景が広がっていた
三川の流れや合流地点はもちろん
周囲の山々、はるか遠くの生駒山まで見渡せる
目立つ建物等々家人の解説付きで興奮気味のお二人…
大いに楽しんでもらった

「できるだけ旧街道を…」との要望に応え
八幡から京田辺、精華町から平城山へ向かう
古地図や現在の地図を見ながらの二人、土地の高低差や川の位置
平地の開け具合等、はるか古代を思い起こし想像を巡らしながらの道中…
この辺りの「普通では読めないよね」という地名も
やっぱり渡来系だったんだ…とか
土地の高低差で開拓具合等々を見るなんて見方も
「面白いな…」「こんな感じならどこへ行っても楽しめるな」等々
新しい見方にちょっと刺激を受けて面白かった

奈良町で「薬膳料理」を説明を受けながらゆっくり頂き
ご配慮頂いた東大寺の駐車場へ…
土手にはマスコミか?もうカメラがいっぱい立っていた
何処からか梅の香りがかすかに漂ってきて気持ちが高まる

両脇に独特の土塀も見事な塔頭が立ち並ぶ二月堂へ向かう石畳の参道
赤白桃の梅の花の香りもゆかしいこの道を行くのも
毎回の楽しみのひとつなのだが
「もう芝生はいっぱいになったので」とすでに封鎖されていた
かなり遠回りの初めての道を行くことに…
初めは「5時には」と思っていたのだが30分伸ばし…
結局「今日は大丈夫だろう」「ずっと立って待つのも寒いし」と
6時少し前になってしまったのが間違いのもと?!

もうすでに芝生内はもちろん境内周辺もかなりの人で埋まっていた…
芝生内も周辺も竹垣で囲まれ4年前までとは違った厳戒態勢?が
引かれている感じ…
警備も奉賛会の人や奈良県警が中心だったが警備会社の役割が大きい感じ
いつも見ていた場所は封鎖されていた
ここからでは階段を上って行かれる練行衆のお姿やお松明
舞台での最初のお松明回しは見られない
27年前はほんとに小さかった、閼伽井(お水取りのゆわれとなっている
「お水」はこの井戸からくみ出される)の前の杉の木がどんどん育って
今や天を突くような大木になって舞台を隠している
たくさんの人に囲まれているせいもあるのか思っていたよりも
冷え込んでこないのがありがたい

               

1時間余り…小さい松明が上って降りていよいよ
今年で1273回目の東大寺・修二会
通称「お水取り」の「お松明」が始まる
遠く離れたここにも燃える「お松明」の香りが漂ってくる
澄み切った「気」がより一段と清々しく感じられる

燃え盛る「お松明」がゆっくりと登っていく
堂内から差掛(高下駄)の音が響てくる
練行衆(籠りの僧)は11人
うち一人が先に堂内に入って準備をするという

童子が、お松明を掲げお堂への階段を上っていく練行衆10人の
一人ひとりの足元を照らすのが「お松明」
階段を登り僧をお堂に導いた後、舞台の角の所で
お松明を天に向け勢いよく振り回す
(今回のこの場所からは見ることはできない)
約40キロ(籠松明は60キロ)というお松明を担ぎ舞台を走って
(歩く人もいるけど)次の角のところでまたお松明を振り回す
それぞれの童子さんの見せ場だ

火の粉が高く舞い上がり赤い炎が天に向かって燃え盛る
冷たく澄んだ「気」が沁みてくる
赤々と燃えるお松明の香りが辺りを包む
堂内を駆け回る差掛けの音がだんだん大きく響いてくる
次々とお松明が舞台を巡る

     
                


今夜の炎も勢いがいい
二月堂から「浄化の炎」が広がっていく…
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祈り・浄化の波を・・・東大寺お水取り

2020-03-14 16:34:10 | 徒然・・・お水取り

今年もこの時が来た
1269回目の東大寺修二会
私たちは22年目
お松明の浄化の炎との燃える香りに包まれるとき・・・

今年は特例として管長のS師も和上として参籠されているので
久方ぶりに参籠お見舞いにも出かけた

時節柄ご無理なら御託だけで…と思っていた…
やはり参篭所への立ち入りは禁止で
名前を伝えて了承された人のみ篭りの僧に出てきてもらい
門前で少しお話しされている感じだ
私たちは「門内」に入れてもらい少しお話もできた
「いつものように上がってもらうこともお茶も差し上げられませんけど」
「お顔を拝見できただけで…」
S師はとてもお元気そうで年末に参篭に備えて再手術されたという
膝の加減もよさそうだった
女子は参篭所へは上がれないのでいつもは外には焚火があり
そこで童子さんよりお茶等を頂く
外の設えとして竹筒に綺麗に花や南天等が飾ってあったり
するのだが今年は何もなし…
しかし「行」が順調に進んでいるのが何よりだ

今回「お松明」には年間200日も滝行をされているという
ピアニストのご夫妻とご一緒した
二人でリラクゼーションミュージックのユニットも展開されている
人出はいつもの4分の1程度
久しぶりにかなり内側に入ることができた

澄み渡った青い空が綺麗だ
金星が輝き始める
スーパームーンに向かう月が力強い月光を放つ
童子が階段を上って降りてお松明が始まる
          
日が沈んだ空にお松明の炎が火の粉をまき散らし
香りを放ちながら燃え上がる
大気は張り詰め辺りに独特の高揚感が広がっていく
内陣では差懸の音が響き渡る
階段を上りゆく僧の姿がお松明の灯かりに浮かぶ…
練行衆の役職名が次々に呼びだされる
お松明は練行衆の上りゆく灯かりとして10本
僧を導いた後舞台の端で勢い良くかざし思い切り回す
二月堂の舞台を担いでよく走りまた回す
火の粉が舞い上がり松明が燃え落ちるほどに勢いよく
担ぎ手の童子さんの見せ場
今日のお松明は40キロ、朝に担ぎ手が組み立てるという
今夜はことに勢いが良かった

人の静まりを待ってゆっくり二月堂へ
澄み切った気が満ちる舞台からの眺めをしばし味わう
男子組は許可書を見せて堂内へ
女子組は局へ
声明の響きが心地よくことにソロの方の声が美しい
波打つように引いては返す…
差懸の響き ほら貝の音 鐘の音…
時間が不思議なほど瞬く間に過ぎていく これは毎年のこと
五体投地の音が響き渡る
今年は特に美しい
「これは見なくては」と慌てて局を出て舞台正面へ
何の躊躇もなくすごい勢いで飛び上がり
板に五体を打ち付ける
ことに美しく清い若き練行衆(と思う)の姿を目にすることができた
最後の1回だったけれど…

一方で修験の道を行くピアニストの方もいたく感動され
内によみがえる深い感覚も覚えられたという

「20年以上毎年出かけてくる気持ちわかるでしょう…」
今回お二人をお連れした甲斐があったし
共に感じる何かが伝わった気がした

ことに世界を揺るがす世情の中
浄化の波が一人一人の内を打ち寄せ洗い清め
そして世界中に広がっていきますように
唯々祈る…
      
          

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お水取り・・・春を呼ぶ声2019

2019-03-14 16:27:35 | 徒然・・・お水取り

    
ミニ雛は陶雛2つ、縮緬雛2つ、貝雛1つ
玄関からリビング階段等々に飾って迎えた弥生3月
  
入って早々今年も房総からポピー40本の春だよりが届きいっしょに届いた見事な
ストックが辺りに清々しい香りを振りまいて春を呼んでいる

東大寺の修二会も今日14日で満願を迎える
先日、今年も「お水取り」に出かけた
今年で連続21年目!なんとも感慨深い!!
  
「行」の高まる清々しい「気」があたり一体に漂い広がっていく
炎と水と燃え盛る杉の香り
声明とさまざまな音が織りなすの神聖な響き
五感を震わし第六感をも呼び覚ます懺悔・浄化の「行」に
長い年月ほんの少しでも直に触れ立ち会えていることに深く 感謝!!
  
まだ細く小さかった舞台前の杉の木が今や大木となり堂々とそびえる
お陰でお松明はすっかり見えにくくなったけれど…
  
昨年は友人夫妻を誘って…年々にぎやかになる奈良町界隈散策をプラス
今年は我々だけ…長い年月で様々な場所から「お松明」を体感させてもらい
今はもう「気」を頂くだけで…と言う感じ

1時間前に着いた時には舞台前はすでに入場禁止に…
年々辺りはすっかり整備され柵が張り巡らされ舞台前も見違えるほどきれいに
安全にもかなり配慮されている
その分規制も年々厳しくなっているが当然のこと
これは「行」なのだ!今年は奈良県警がそれのことをしっかり放送していた  
奈良県警、消防署、お寺側の協力がより強まっている感じ
平日にもかかわらずどんどん人が増えてきた

オリオン座が、プロキオンが、輝き始める
杉やヒノキの燃える香りが漂い内陣から差懸(木沓)の響きが…
童子が階段を2回登って降りていよいよお松明が始まる
階段を上って内陣に向かう練行衆(籠りの僧)のひとりひとりの足元を
照らす松明、その後舞台の端から端へ回転させながら炎を巻き上げ移動する…
それが修二会の「お松明」…
  
杉やヒノキの香りと共に炎が大きく燃え盛り天高く火の粉が舞う
この日は10本どのお松明も見事に燃え舞い火の粉を巻き上げ美しかった!
舞台から遠く離れた我々の肩にも帽子にも灰がたくさん舞い落ちていた…

人の流れが落ち着くのを待って先導されながら階段を上り二月堂へ
ここで9割の人は帰っていくのだけれどそれでも舞台は押し合いへし合い
休憩所にたどり着いた時には「お松明の燃え残り」を入れた箱は
ほとんど殻になっていた( 昨年は全く無かった)
残りを少し頂く
香りはしっかり残っている
1年はこの香りは十分持つ感じだ

家人は送って頂いた名前
と日付入りのカードを持って(年々かなり厳しく
なっている)内陣へ
今年はいつも入る局も他もいっぱいで一か所だけあいていて何とか…
五体投地の音、「南無観」の声、ほら貝の音、鐘の音…
独特のリズムで繰り返し重なり気が高まっていく… 
フリークとしては今日はまだ日程は進んでいないこともあろうか
経験の少ない参篭者が多いのかまだ声明他が「若い」感じがした

「S師が入られると声明が違う」と言われていたけれど
管長になられて3年参篭はかなっていない
(「官長になっても参篭したい」と言われてたけれどお忙しく
なかなか難しいのだろう)
晋山式 と祝賀会にお招き頂いてから早3年、次期も決まった
清水公照師以来の2期目
参篭はあるだろうか 
そしたらまた「参篭見舞い」に行けるだろう…

人気の少ない舞台から夜空を眺める
内陣からは「行」の熱気の波が漏れ出てくる
  
お松明が通った階段を下りていたら家人が結構大きなお松明の燃え残りを
見つけて
「大きなのが落ちてるよ」
後ろからいらした消防署の人が「取りましょうか」とヒョイと柵を越えて
取って下さった
香りいっぱいで脂のようなものがついていた
お松明に火をつける前に燃えやすいように何か吹き付けるのかしら
これで1年家に飾ることができる
さっき頂いたのは友人にプレゼントしよう

「春を呼ぶ」東大寺お水取り
1267年、途切れることなく続いてきた「十一面悔過」
今年もこの地から浄化の波と平和への祈りが世界へ届けられている


                

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お水取りのうた・・・差懸の響時空を駆ける

2017-03-11 00:04:30 | 徒然・・・お水取り


今年も東大寺のお水取りの本行が始まっている
寒の戻りも例年通り…
 

東大寺お水取り(修二会)のはじまりは天平勝宝四年 (752) で
十一面観音に罪過を懺悔して罪の消滅とともに

天下泰平 (せかいへいわ)、風雨順次、五酷豊穣、
万民の幸せを祈るというもので
約1か月にわたり行われる

今日まで1266回(1266年間)
1年たりとも休まずにおこなわれていることに
深く感じるものがある
 

子供のころから大仏殿等には幾度となく訪れていたが
20数年前に「ご縁」を頂いてから今年で19年
お水取り「東大寺修二会」のお松明に毎年
通わせて頂いている

長い長い時を翔けて連面と続く修二会の
今年へ続く「行」の何とも張り詰めた清々しい大気の流れ
浄化の波の流れの中に身を置く幸せを
身の引き締まる思いで深く深く感じる時…

お水取りに寄せて詠んだ短歌を少し…

     紅花とくちなし染の和紙椿花ごしらえも水取の行
        
      京都の工房で毎年様々な工程で丁寧に染め上げられた

        紅花の鮮やかな赤とクチナシの実の黄色を使って
        籠りの僧(練行衆)によって作られる「東大寺椿」
        「花ごしらえ」の雅な響きもいい…

      
       参籠の僧を守りし白紙衣(かみこ)繕い張りて成就の日まで

             行の一番の大敵は寒さより暑さとか
          激しい行に耐えるには紙衣しかないと言う
          これも練行衆自身が作られるらしい、繕いも…
         「 行」の厳しさを物語るように満願の日が近づくころに

         「参篭お見舞」に伺うとかなり痛みが…

     
            天頂の輝く月とオリオンに届けとばかり松明は燃ゆ

            今年の本行4日目はとても良いお天気で空は晴れ渡り暖かく
            三日月より少し膨らんだ月も星座も美しく見え、どのお松明も
            勢いよく燃え上がり火の粉をまき散らせて…


      松明の残り香清し二月堂差懸の響時空を駆ける

        修二会の行は火と水の行、お松明の香りと声明に

           鐘、ほら貝、差懸の響きが重なり合って
          堂内の「気」が高まっていく…


      ほら貝と差懸の音轟きて南無観自在気は高まりぬ

      
無観自在菩薩から南無観自在、南無観、南無観、南無観…

        次第に声明は響きを増していく
        満願成就の日に近づくにつれて堂内外に気は高まり
        満ちていく…
     


     声明の内なる宙に響き居り暗き局に星降るごとく

      局で行に接していると時間のたつのが本当に早い
        沁みる声明、ほら貝鐘の音、差懸の響き…

       1260年以上の続く歴史の重み…
        永遠へと続く時空が広がっている

               

                                                                                           

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お水取り・お松明・・・清き炎

2014-03-14 00:55:27 | 徒然・・・お水取り

 
しい冷え込みと春らしい日差しが繰り返す3月
今年も東大寺・二月堂のお松明へ


お水取り(修二会)は今年で途切れることなく続き1263回目
私たちは今年で16
回目だ
あの震災から3年いろいろな思いが交錯する

石畳の参道を上っていくと梅のいい香りがした
あちらこちらに白・赤・ピンクの梅の花が今は盛りと咲いている 

お松明は12日と14日を除き午後7時に始まる
近年はすごい人出でその日によって違うようだが、だいたいは平日でも
5時半前には着いてないと舞台下の芝生に入れない

2年ほど舞台の上で真近で見せてもらったので今年は練行衆が

お松明のもと上って行かれる
階段のすぐそばの芝生の下辺りで待つことにした
ここなら練行衆の方々の姿も見えるしさして火の粉もかからない
今年は練行衆のトップ「和上
勤められているS師のお姿も拝見できるだろう

着いたときにはまだ薄日が柔らかく辺りを照らしていたが

太陽が沈むと、とたんに冷え込んでくる

「お松明」は参籠宿所から二月堂に夜の行に入られる練行衆(籠もりの僧)
の足元を照らすかがり火で、先に堂入りされている一人を除く練行衆
十人分10本のお松明で進められる

 6時になると童子が一人階段を駆け上がりまた駆け下りてくる

この頃になると舞台下の芝生には入場できず
境内一面は びっくりするほどの人の海だ
空には上弦の月から少し膨らんだ月が美しく輝いている

立って待つこと1時間40分
7時、童子が今度は2回階段を駆け上り駆け下りて
大鐘がなりいよいよお松明が始まる
堂内には差しかけ(高下駄)の音が響いている

お松明が夜を照らして燃える中籠りの僧が一人ひとり役職を呼ばれ

上っていかれる
舞台の両端でお松明が振り上げられ回され火の粉とともに

炎が赤々と夜空高く舞い上がる
舞台を松明が駆け抜ける・・・
清められ、はりつめた冷たい夜の「気」の中で火の行が続く
辺りに杉やヒノキの燃え上がる「香り」が立ち込める

辺りを埋める人々から歓声があがる
火の粉が降り注ぐあたりは悲鳴に近い声も・・・
私には燃え上がるお松明が吼えるお獅子の顔(獅子舞の)に見えた

久しぶりに舞台下から見上げるお松明の動きはすごく臨場感があった
炎の中にほのかに映し出される階段を上り行く

練行衆のお姿も見ることができた
若い僧も結構含まれているように思ったがどうだろう

お松明が終わると人の波は一斉に引いて

辺りには張り詰めた空気と静けさが戻ってくる
舞台見学の団体が引くのを待つために休憩所に行くと

箱の中に、お松明の燃え残りがたくさん入れてあり
持ち帰りようの新聞紙まで切って用意されていた
まだ燃えた杉の香りがしている

お松明の火の粉を浴びれば1年の無病息災につながり

その燃え残りも無病息災のご利益があるとされる
拾い集める人もたくさんいるが毎年はほんの少しは見つかるので

拾って半紙で包み壁にとめている
せっかくだから今日来れなかった友人のお土産に少し多めに戴いた

いつものように内陣に入る家人と別れて待ち合わせ時間を決めて局に入る
向こうの局の前では童子の方が

「10分もしないで出てくるなら入らないでください!
ここは修行の場ですから・・・!」と言っていた

その通りだ!

外では人払いをして舞台一面に水を撒いているらしく騒がしい声が聞こえる

中での「行」が高まっていくにつれてそれらの声も気にならなくなり
内に静けさが広がっていく

「南無観世音菩薩・・・」
声明は歌で言えば斉唱から輪唱、独唱・・・と様々に
響きあい重なり合って高く低く次第に高まっていく・・・
独唱担当の声明のお声、バリトンの響きがすばらしい
差しかけで走り回る音も高らかに座ったり立ったり・・・
鐘やほら貝が響きわたる
激しい五体投地の音も聞こえる・・・

  声明の内なる宇宙(そら)に響きおり暗き局に星降るごとく

瞬く間に時が過ぎていくこれもいつものごとく・・・
視覚と嗅覚と聴覚が研ぎ澄まされ

局を出ると夜の大気の清らかな冷気が沁みる

舞台を一回りして礼堂からの階段を下りると鹿が近づいてきた
鹿と向き合い大きな目で見つめられるといつも話しかけられそうな気がする
これからねぐらへ帰るのだろうか

何とも言えない清々しさの中、石畳を降りていく

「このとき毎年感じるこの高揚感・満足感・充実感
そして清涼感は何なのだろう・・・」
と話しながら・・・

修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」
われわれが日常に犯しているさまざまな過ちを二月堂の本尊である
十一面観世音菩薩の宝前で懺悔(さんげ)することを意味する

1263年間毎年まいとしここ東大寺・二月堂から「浄化」の波が
世界へ送られている・・・
 


    
                          

 

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お水取り「参籠お見舞い」…奈良の風

2014-03-10 14:01:31 | 徒然・・・お水取り

 
 
今年も千葉・房総から50本あまりの「ポピー」の花便りが届いた
 
今年のポピーは届くまでに咲く準備が整っていたようで
水切りして活けたその夜から次々に開き始めた
大輪の満開のポピーが玄関やリビングで華やかに春を告げる

しかし今年は「
一雨ごとに暖かく」とはなかなかいかない模様
寒の戻りもなかなかのものだ
ポピーも満開のまましばらくもってくれるだろうか

 
雪模様を覚悟して起きた朝
きれいに太陽が顔を見せ、東大寺・お水取りの「参籠見舞い」に出発
京奈和自動車道に乗り10時前には二月堂前に着いた

ほぼ1ヶ月に及ぶ「修二会」(お水取り)の本行の中日
あたりの空気は清くはりつめ気持ちのよい引き締まった気が流れている

参籠宿所は二つに分かれていて今年は「和上」の所に伺うので上の門を入る
庭には日が差し込み火も焚かれているので暖かい

手向け山の神社の神主さんご一行と一緒になった
男性陣は参籠所内に入ることが許されているので中で和上のS師と歓談のもよう

名古屋からいらした方(S師は教祖様と呼んでいたが)とあれこれ

お水取りについて話しながら
焚き火にあたり童子の入れてくださったおお煎茶と和菓子を頂く
なんと言うこともないのだがここの気の流れにふれるのがいいのだ

見上げれば紅梅と白梅が満開で美しい
童子(聖域に入ることを許された神に近い子の資格を持った大人)や

仲間(ちゅうげん)等々も一緒に籠って
籠りの僧(練行衆11名)のお世話をする

他の僧やS師の紙子にかなり痛みが見える
気温の高い日もあったし「行」の激しさも伺える・・・ 

調べてみると紙子は手漉きの白石和紙が
使われ練行衆の手によって
手作りされるという
「厚手の紙衣紙を揉、絞り棒に巻き付けて押し縮めて柔らかくし
 寒天を刷毛で塗った紙を何枚も貼り合わせ
 寒天を刷毛で塗り木綿の裏地を付けて着物に仕立てていく」
作って奉納されるものとばかり思っていたのだが・・・びっくりした
今度聞いてみよう

古い紙子も大切に取っておき、破れたらその大きさに切り取って
「スプレー糊でぺたぺたっと貼り付けてますんやわ・・・」
とS師から今年初めて聞いた
手漉きの和紙なのでその年の出来具合によって丈夫なものや

破れやすいもの等いろいろらしい
「紙子」ひとつとってもいわれや歴史がいろいろあって興味深い

二月堂の舞台から眺める早春の風景は格別
1260年以上毎年まいとし行われてきた「行」には深い歴史と

宇宙的な時が流れている・・・

                          

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お水取り・・・声明の内なる宙(そら)に響き居り

2013-03-11 01:25:45 | 徒然・・・お水取り

 
    今年も南房総から届いた50本のポピー
 この暖かさの中、一斉に帽子を脱ぎ捨て見事に開いている
 オレンジ、黄色、橙、ピンク、赤、白・・・
 艶やかに華やかに可憐に、春を告げる

 今日は奈良へドライブ
 奈良町の陶器の二人展に寄って備前焼きに織部の緑を合わせた湯飲みを2つ買う
 主な目的は東大寺二月堂・お水取りのお松明!
 例年は参籠見舞いで訪れるが今年はS師が籠もられなかったので

    今年初めての東大寺

 去年と一昨年は二月堂の舞台の上でお松明を見せて貰ったので
 今年は舞台がよく見えるちょっと遠い場所から見ることにした
 指折り数えてみるとお水取りにはもう15年連続で来ていることになる

 奈良町のちょっとコダワリの「塩」で食べるとんかつ屋さんでお食事をして
 いつもよりだいぶ遅い時間についたのでもう廻りは人で埋め尽くされている

 それでも始まるまで40分ぐらい
 その間に今年はマイクでお水取りの歴史や行の簡単な説明等があり
 北河原別当の御挨拶と東日本大震災への追悼や復興への思い等
 お参りについての心得やお願いがあった

 思えば1昨年お水取りの本行中に東日本大震災が起こり
 東大寺は色々な形で支援に取組んで来ている
 (私もお松明に参加してお水取りのブログを書いている

   最中に大きな揺れが来たのだ・・)

 童子が階段を2回往復していよいよお松明が始まる
 練行衆(籠もりの僧)が一人ずつ階段を登り二月堂の

   礼堂に入られる足元を照らすのが10本のお松明
 (11人の練行衆のうち1人は先に入られているので)
 先に入られた一人の差懸(サシカケ)と呼ばれる木下駄の音が高らかに響く

 今夜は上空の風が強いらしく松明の炎は高く強く燃えさかり

   容赦なく火の粉の舞い落ちる
 近くに陣取った人たちから小さな悲鳴があがる
 野趣溢れる火と水の遠い昔の行を感じるちょっとハラハラドキドキのお松明だ

 広場にいても練行衆のサシカケの音が高らかに響いてくる
 次々とお松明が登って来て舞台を駆ける・・・
 それにしても今迄で一番の暖かさ
 寒いのは大丈夫だが暑いのは堪えると聞いたことがある修二会の行
 この暖かさではもう紙衣も破れているだろう

 波のごとく人の引いていく境内から階段を登り舞台に上る
 それでも団体客らしい人たちが何組か毎年より多くの人が残っていて
 舞台から夜景を眺めまだ局も騒がしい

 しばらく待って局へ
 礼堂では次々と行が繰り広げられ徐々に気が高まっていく
 時が経つにつれて熱い気の波がこちらにダイレクトに伝わってくる

 声明は勿論のこと鐘の音や法螺貝の響きが今年はことに内に響く
 毎夜528Hzの音叉を響かせているからより敏感になっているのだろうか

 瞬く間に時が過ぎ待ち合わせの時間に・・・
 余波を残しながら清々しい大気に包まれて二月堂を跡にした  

 
   声明の内なる宙(そら)に
響き居り暗き局に星降るごとく 

   踏み鳴らす差懸の音高らかに幕内の僧清く美し

   響き合う声明高く木魂して修二会の熱気波打ち来る



                   

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水取りや氷の僧の・・・

2012-03-13 01:03:33 | 徒然・・・お水取り

 差懸(さしかけ)の音が二月堂に高らかに響く
 今年も「お水取り」の季節

 ブログをはじめてから毎年書いているが・・・
 去年はそのことを書いている最中に大きな揺れが来た

   この遠く離れた京都にも・・・1年の時の流れを思う

 お松明の炎と杉とヒノキの燃え盛る香りと「行」中の引き締まった「気」と

    声明の響きのなかに身をおきたくて
 今年も奈良・東大寺・二月堂に足を運ぶ

 数日前に今年は大導師としてS師がお籠もりされているので

   参籠のお見舞いに東大寺を訪ねたけれど
   あいにくの雨とその日は二月堂で行が始まる時間がいつもより早く

   迫っていてわずか5分ほどになってしまったこと等
   毎年と勝手が違ってちょっと心が残った・・・

 満月のこの日に出かけると決めていたが見上げた空に雲は厚く

   満月は顔を見せてくれない
 昨年に続いて二月堂の舞台で「お松明」を見せて頂くことにした
 5時過ぎには舞台へ、

   気持ちよい清々しい気が漂い曇り空とはいえ素晴らしい眺めだ
   「6時になったら降りてもらいます」と言われるが

   それと知ったものが残る・・・

 今年もお松明のもと上って来られる籠りの僧が見えるように

    舞台の際で待つことにする
 しかし去年よりさらに厳しくなり今年は童子ではなく、

    ガードマンがいろいろと注意を・・・
 30分ぐらい前になると舞台に太いトラロープが張られた
 去年は舞台を多少動くことができたが全く身動きが取れず

    舞台の正面がどうなっているのかさえわからない

  そこへ東大寺のM師が来られて
 「去年不都合なことが起こりかけたので今年からはロープを張らせて

      貰いました。すみませんねー」 と話され
     ロープが首の所まで来て返って危ないと文句を言ってた人たちの
     雰囲気が一気に和んだ
 

  ここぞとばかり隣にいた話好きらしいご婦人が「韃靼帽」について
  質問をされたことからロープをはさんでM師との話が始まる
  M師はまだ少しお若く中堅と言ったところか・・・

 参籠見舞いの時、高校生らしい一団がのグループに分かれて参籠所に入り
 M師が話をされていたのを見かけた
 不思議に思ったのだが、地元の学校らしく東大寺と連携をとられて

 いろいろな取組みをされていることがわかった

 14年前、「行」の最終日の14日から15日にかけてに

  一晩二月堂で過ごした時「韃靼」を見た
 お水取りのハイライト的行法で13・14・15日のみ行われる。
 韃靼帽を被った練行衆(籠もりの僧)二人一組で内陣をかけ回り
 ひとりが燃え盛るお松明を激しく床に打ちつけひとりが箒のようなもので

 消していく・・・
   そのとき被った韃靼帽を修二会の行を終えた15日

 幼児に被せると健康に育つと言われている
 韃靼帽は8人くらいの僧が被られるという

 昨年は修二会の篭りの最中にニュージーランドの地震や東日本大震災がおこり
 非常なショックをうけ

 被災され人たちに思いを馳せ
 修二会を絶えることなく1260年続けてきた意味や
 色々なことを行中であるが上なお深く考えさせられたとM師は話された
 

 「もうすぐニュージーランドにホームステイに行くのでそのお気持ち伝えて
 おきますね!」とかのご婦人・・・

 東大寺は同じ気持ちで歩んでいきたいと1000万円の義捐金を

 借金をして出されたと新聞で読んだ
 大導師を務められているS師はこの1年被災地度々訪ね

 その思いを今年の「行」に込められているという
 機会があればその辺りのお話を直接聞けるだろう

 1181年12月平重衡が火をつけ東大寺が炎上した時、

 当時の管長が今年の修二会はとても無理なので中止を言い渡したが
 有志の僧が「行」を慣行した話や女人禁制の意味
 若狭井から湧き出る水について等々
 M師との「
話「」は盛り上がりお松明を待つ間の30分は
 瞬く間に過ぎた…        
 とってもラッキーなことであった

 修二会は始まりからして不思議であり

 今年で1261年絶えることなく続いてきたこと
 行の内容や言い伝え等々
 論理を超えた超自然的な「大いなる世界」であるということだ 

 

 童子が叫びながら階段を駆け下りいよいよお松明が始まる
 真剣な表情で神々しく練行衆が燃え盛り揺らめく炎に照らせれ上がってこられる
 先に入られた一人の差懸(木の下駄)の音が堂内に響き渡っている

 この場所に立つと芭蕉の「水取りや氷の僧の沓の音」の句が浮かぶ
 「氷の僧」とは冷え冷えとした中で寒々と行に勤しむ練行衆のことを
 そのように表現したと一般的に言われているが
 「籠もりの僧」を芭蕉が聞き違えたという説もあり

 「こもりの僧」と表記されているものもあるという
  私は文字で見るまでてっきり「籠もりの僧」だと思い込んでいた

 それにしても沓(差懸)の音・響は印象深い
 一人で走る音、練行衆みんなで内陣を歩き回る音…修二会の「音」「響」だ

 童子がお松明を抱え見せ場とばかりに力いっぱいまわす
 炎が上がり火の粉が飛ぶ
 大きな歓声が上がる
 練行衆を内陣に送った後は舞台を走るのも歩くのも回し方も

 童子に任せられているらしい

 10本のお松明が終わった
  いぶされた杉の残り香が漂い研ぎ済ませれた清々しい気が満ちて

  心地よい風が吹きぬける
  舞台からの夜景が美しい

 真っ暗な局に入って「行の気」と声明に浸る
  時間が瞬く間に過ぎる

  心残りもすっきりと晴れ
  新しい清らかな「気」を頂いて

  新たな今日を生きたいとおもう

                        

              

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東大寺お水取り

2011-03-13 00:32:01 | 徒然・・・お水取り

幼い頃この季節になると祖母が「東大寺のお水取り」の話をよくしていた
「お水取りが始まると寒の戻りがあってすごーく寒くなる・・・」
「今頃、お水取りやってはるんやろなあ・・・」
毎年聞かされる奈良の「お水取り」と言う言葉、お松明の写真・・・
幼い身には奈良はずっと遠く思いを馳せるだけだった
 
出かけるようになって13年目
1260年目の観音悔過(かんのんけか)東大寺修二会
今年は初めて「お松明を二月堂の舞台で」見せて頂こうと出かけた
7時から始まるお松明6時少し前に着き

ぎりぎりガードマンに止められることなく
練行衆が通られる二月堂の石の階段を上って

舞台に上がることができた
人は少なく(少ない日を選んで来たのだが)ほっとした
 
舞台は大きなカメラを抱えた人が多かったが、
お寺のご好意でここでの見学が赦されるようになったが
 あくまでも「行」であることをしっかり認識した上で
注意事項をしっかりと守って頂くこと
守らないとカメラの即没収や即退場等があること」などなど
童子の方々から再三再四注意を受けた

規制があるので舞台上は人は増えず
今年は良く整備されている舞台下の芝生や
広場は見る見る人であふれ

もういっぱいになっていた(少ないどころではない・・・)
 
舞台では
童子の方から
「お水取り」の起こりや行についてまたエピソード等
要点よく分かりやすいお話を聞くこともできた 
お水取りフリーク!?の我々にとっても改めての説明はとてもよかったし
一般の人たちにとってもこの上ないものだっただろう

童子が大きな声を張り上げながら階段を駆け下り
お松明が始まる
松明は練行衆が内陣に入られる足元を照らす灯り

1人がすでに内陣で行の準備を始めてられるらしい 
内陣から差懸(さしかけ・木沓)の音が聞こえる

燃える木の香りとともに赤々とお松明が上がってくる
童子に抱えられたお松明は
目の前で大きく赤々と燃え上がり舞台を流れて行く
歓声が上がる
お松明に導かれた練行衆は舞台正面の局の前から

タッタッタッタッタタタタタと
差懸の音を歌舞伎の拍子木のようなに高らかに響かせて

幕を開け内陣に入られる
幕に映る僧の姿・所作がとても美しい
 
舞台は燃え上がる炎と火の粉、杉の燃える香り、差懸の音・・・
静かな冷気の中で視覚・聴覚・嗅覚を刺激され

厳粛な行の真っ只中にいる興奮を味わう
 
10本のお松明の後局に入って行法に接する
声明の声が合わさると一気にあたりの「気」が高まる
内陣からは練行衆の激しい動きが伝わってくる
五体投地の音が聞こえる
時が瞬く間に過ぎていく・・・

   悔過の行内なる宙(そら)に響き居り

これを書いているときに揺れが来た!
京都でも揺れた!身近な阪神大震災の時より堪えている・・・
何ができるのか今・・・いろいろな意味で・・・
感じながら・・・考えている・・・


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