☆フェアリーベルの暖輪室☆・・・♪京都風日和♪

時空のキラメキのなかで、感性を研ぎ澄ませ、
吹く風のままに・・・ちょっと不思議な話も・・・ 

東大寺・お水取り2024<2>・・・響く声明・法螺貝の音

2024-03-19 00:00:07 | 徒然・・・お水取り

火の粉が高く舞い上がり「お松明」が終わる
毎回、初めはお松明の本数を数えているのだが
「お松明」を眺めていると途中で意識がどこかに行ってしまうようで
いつも何本行ったかわからなくなる

今年で1273回目の東大寺・修二会
正式名称は「十一面悔過法要」
「十一面悔過」とは我々が日常に犯している様々な過ちを
二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で
悔過(罪や過ちを懺悔し悔い改めること)することを意味する
1273年間、毎年一度も途切れることなく行われてきた
「悔過の行」は
すべての衆生の罪や汚れを、練行衆が担って
身をもって悔過・懺悔するという「行」なのだ

一気に人の波が引いていく
「これからが本番なのにね!」とMさん…
二月堂の中では練行衆11人による今夜の「行」が粛々と行われている

帰っていく人々の混雑を避けて「お松明」の余韻に浸っていると
いつも違う場所に多くの人たちが並んでいた
前回までの二月堂へ向かう正面の急な階段は閉鎖され
(模様が掘り込まれた多分二月堂造成当時からの幅が狭い階段だが
一気に多くの人が上るので毎回ヒヤヒヤものだった)
脇の2か所の上りやすい階段から上ることになったらしい

警備会社がすべて取り仕切っていて
最後尾に並んだ時には300人目くらい(警備会社の人が数えていた)
後には100人から150人くらいは続いていた
「昨日は、お松明に来た人もこんなもんじゃなかった!」
「何倍かの人でいっぱいだった…」と後ろに並んだ人たちが話していた
今日でも2000人くらいは入っていたと思うけど…他の日はどんなだろう
昨日は寒さももっと厳しかったらしい

「準備が整っていない」と
舞台に水を撒いてある程度水が引くまで入れないようにしているのか
かなりの時間待ってやっと少人数ごとに二月堂へ向かう
              

辺りの店は閉まり休憩所等は閉鎖され通行止めになっていた
いつも帰りに降りていた練行衆の上られた階段も通行止めに…
舞台も一方通行で規制がかかる
まだ正面の局は閉まっていて鐘も止められ
燭台に蝋燭の一本も灯されていない
今夜はこのままなのだろうか

戻ることは許されずもう一周回って、出る時間を決めて
家人は頂いた「許可書」を見せて内陣へ
我々3人はいつも私が入る横の局へ

局はより整備されていて
注意書きを映す?ほんの小さい2つ明りのためかいつもより明るい

それでも暗き局は別世界
瞬く間に引き寄せられる

美しく重なる声明の響き
薄っすらと垣間見える練行衆のお姿
うねるように吹き鳴らされる法螺貝の音
悔過のために身体を投げ出して打ちつける五体投地の
ダーンという高らかな音…
「南無観世音菩薩」「南無観世音菩薩」
「南無観世音」「南無観世音」
「南無観」「南無観」「南無観」「南無観」…

瞬く間に時間は過ぎて…これはいつものことだ
約束の時間が過ぎて、思いを残しながら局を出て舞台へ…
「お願い!あと10分だけ…」とKさんが家人に言って
我々3人は今度は開いていた正面の局へ
ここは真っ暗で静かだ
(きっと今日のこの時間は多くは「通」の人たちだろう)
高まりゆく「行」の何とも言えない清々しさと心地よさが沁みていく

思いを断ち切って舞台へ…(それでも合わせて1時間くらいは入っていた)
真っ暗な局から出て澄み渡る冷気が流れる舞台から
仰ぎ見る夜空は格別だ
「一晩中でも聞いていたかった!!」とはMさんの感想 
 
澄み切った大気の中を浄化の息吹を身に纏って
石畳の参道を下りていく
毎回この時間も何とも言えないくらいいいのだ

清々しい「気」が満ち満ちて
梅の香りがかすかに…
振り返り見上げると「行」の続く二月堂が
美しく光っていた…
(口絵写真)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東大寺お水取り2024<1>・・・お松明・浄化の炎

2024-03-15 00:00:09 | 徒然・・・お水取り

京都から車で平城山を越え「東大寺・お水取り」に向かう

4年ぶりの今回は東京から古代史を研究し講座もされている
友人のMさん(我が短歌会の主宰でもある)と
その生徒さんで「旅友」のKさんとご一緒に…

東大寺にご縁を得て22年間、毎年「お水取り」に出かけていたが
コロナ禍の中、覚悟を持って厳戒態勢で行われている「修二会」
「行」なので遠慮すべきという家人の考えもあって、この3年は控えていた

昨年秋の木屋町三条での家人の個展に
6年勤められた東大寺管長を退かれたS師が来て下さった時
その話をして「来年は大丈夫でしょうからまた是非!」
と言ってもらっていた

Mさんから1月末に「お水取りに行ってみたい」と連絡が入り
4年ぶりにご一緒することに…
籠松明の12日、満願の14日はもちろん
土日も避けてできるだけ「人が少ない日」を設定した

途中、宇治川・木津川・桂川の三川合流地が見渡せる展望台へ…
以前Mさんを案内した時とっても興奮して感動していたのを思い出し
Kさんも「是非、行ってみたいです!」と言われるので上ってみた
ちょっと霞んではいるけれど早春の柔らかい見事な風景が広がっていた
三川の流れや合流地点はもちろん
周囲の山々、はるか遠くの生駒山まで見渡せる
目立つ建物等々家人の解説付きで興奮気味のお二人…
大いに楽しんでもらった

「できるだけ旧街道を…」との要望に応え
八幡から京田辺、精華町から平城山へ向かう
古地図や現在の地図を見ながらの二人、土地の高低差や川の位置
平地の開け具合等、はるか古代を思い起こし想像を巡らしながらの道中…
この辺りの「普通では読めないよね」という地名も
やっぱり渡来系だったんだ…とか
土地の高低差で開拓具合等々を見るなんて見方も
「面白いな…」「こんな感じならどこへ行っても楽しめるな」等々
新しい見方にちょっと刺激を受けて面白かった

奈良町で「薬膳料理」を説明を受けながらゆっくり頂き
ご配慮頂いた東大寺の駐車場へ…
土手にはマスコミか?もうカメラがいっぱい立っていた
何処からか梅の香りがかすかに漂ってきて気持ちが高まる

両脇に独特の土塀も見事な塔頭が立ち並ぶ二月堂へ向かう石畳の参道
赤白桃の梅の花の香りもゆかしいこの道を行くのも
毎回の楽しみのひとつなのだが
「もう芝生はいっぱいになったので」とすでに封鎖されていた
かなり遠回りの初めての道を行くことに…
初めは「5時には」と思っていたのだが30分伸ばし…
結局「今日は大丈夫だろう」「ずっと立って待つのも寒いし」と
6時少し前になってしまったのが間違いのもと?!

もうすでに芝生内はもちろん境内周辺もかなりの人で埋まっていた…
芝生内も周辺も竹垣で囲まれ4年前までとは違った厳戒態勢?が
引かれている感じ…
警備も奉賛会の人や奈良県警が中心だったが警備会社の役割が大きい感じ
いつも見ていた場所は封鎖されていた
ここからでは階段を上って行かれる練行衆のお姿やお松明
舞台での最初のお松明回しは見られない
27年前はほんとに小さかった、閼伽井(お水取りのゆわれとなっている
「お水」はこの井戸からくみ出される)の前の杉の木がどんどん育って
今や天を突くような大木になって舞台を隠している
たくさんの人に囲まれているせいもあるのか思っていたよりも
冷え込んでこないのがありがたい

               

1時間余り…小さい松明が上って降りていよいよ
今年で1273回目の東大寺・修二会
通称「お水取り」の「お松明」が始まる
遠く離れたここにも燃える「お松明」の香りが漂ってくる
澄み切った「気」がより一段と清々しく感じられる

燃え盛る「お松明」がゆっくりと登っていく
堂内から差掛(高下駄)の音が響てくる
練行衆(籠りの僧)は11人
うち一人が先に堂内に入って準備をするという

童子が、お松明を掲げお堂への階段を上っていく練行衆10人の
一人ひとりの足元を照らすのが「お松明」
階段を登り僧をお堂に導いた後、舞台の角の所で
お松明を天に向け勢いよく振り回す
(今回のこの場所からは見ることはできない)
約40キロ(籠松明は60キロ)というお松明を担ぎ舞台を走って
(歩く人もいるけど)次の角のところでまたお松明を振り回す
それぞれの童子さんの見せ場だ

火の粉が高く舞い上がり赤い炎が天に向かって燃え盛る
冷たく澄んだ「気」が沁みてくる
赤々と燃えるお松明の香りが辺りを包む
堂内を駆け回る差掛けの音がだんだん大きく響いてくる
次々とお松明が舞台を巡る

     
                


今夜の炎も勢いがいい
二月堂から「浄化の炎」が広がっていく…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ほのかなる梅の香りの漂いて・・・わが冬のうた2024<2>

2024-03-03 00:00:51 | 風歌

激動の2024年も早や2か月が過ぎた

1月後半より光は例年より少し早めに明るさをを増して
一足先を進んいる感じで花々の開花は早い

けれど「季節」は小刻みに行きつ戻りつで寒暖の差は激しく
天候の移り変わりの予想もつかない
いろんな面で調整が難しすぎるけれど…

何かにつけて「今まで通り」にはいかない
大きな変化の波が押し寄せ激変・激動へ
「変わり目の時」なのだろう

<逃げる2月>は過ぎてしまったので
取り急ぎ「わが冬のうた(短歌)」<2>を…

ほのかなる梅の香りの漂いてほっと息つく天神の牛

いろんな梅の名所へ友人たちが出かけているらしい声が届く
遅ればせながらやっと出かけた「天神さん」
ここは菅原道真が大宰府へ流される前に立ち寄って
「東風吹かば匂いよこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」
と詠んだところと言われる(意外と知られていない気がする)
梅の香りが辺りに漂う…
撫でられて黒光りしている境内の牛たち
初詣、受験シーズンも一段落して「ほっーと一息」のお顔に見えた


薄桃の満開誇る枝垂れ梅顔を寄せれど匂い無しとは

あまりに美しい枝ぶりも色も見事な満開の梅の木
思わず顔を寄せてみるも「香り」がしない
残念!梅は香りがあってこそ…なのに…


出遅れて紅梅散りし梅園の名残の花も香りもゆかし

今年は梅の開花もこの辺りでは早かった
いろんな品種が植えられた梅園
紅梅をはじめ花は終わりかけている
咲き残った白梅たちのほのかな優しい匂いと
その枝先に残る花々のたたずまいが何ともいいのだ…


雛月の声聞こえども寒戻り白き比良山近江は雪か

「奈良でお水取りが始まると寒の戻りが来る」と
子供のころ毎年のようにおばあちゃんが言っていた
お水取りの本行は3月1日からだがもう行は始まっている
お堂の飾る「椿」を作る「花拵え」の行は既に…
京都市から見える比良山は今日は雪化粧…


満開のクリスマスローズ華やいでひとあし早い春の陽だまり

「頬を打つ風も冷たき二月空光は先へもう春の色 」
と旧作に詠んだごとく光は日々明るさを増している
(今年は雨が多く曇って光の射す日は少ないけれど)
見事に咲いたクリスマスローズが春を運んで来るような…

 
               
   
                               

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする