☆フェアリーベルの暖輪室☆・・・♪京都風日和♪

時空のキラメキのなかで、感性を研ぎ澄ませ、
吹く風のままに・・・ちょっと不思議な話も・・・ 

「・・・守り人」シリーズ…異世界ファンタジー

2015-05-16 01:21:59 | 読書ライフ

 
「国際アンデルセン賞」や「本屋大賞」受賞で今話題の上橋菜穂子氏の
「守り人シリーズ」をほぼ読み終えた
弱り目に祟り目の風邪が長引いているおかげだ

「精霊の守り人」を友人の医者にプレゼントされて初めて読んだのは

10年ほど前・・・
テレビのアニメの「獣の奏者」を偶然見て

珍しく面白い感覚だなあと原作者の名前は記憶のどこかに残っていた

読み進めるととても壮大な異世界ファンタジー 
星読みの世界もとてもファンタスティックで
女用心棒バルサの活躍するハードボイルドな現実世界のワクワク感
それとあいまって同じ地に同時に存在するサグとユナグ・・・

パレレルワールドの存在感が実に上手く巧妙に描かれていて
とっても興味深かく面白かった

日本に「児童文学」の形を取ったこんなしっかりとした

大きな作品が生まれていたことにビックリもしたしとても嬉しかった

バルサやチャグム、タンダ、トロガイ、シュガ・・・
それに加えそれぞれの物語でまた魅力的な人々が様々な地が次々に登場し現れ
織物のように彩り豊かな模様を織りこんで絵を成し世界を広げ

創り出していく影響しあう平行宇宙の自然現象や天変地異等々
・・・守り人のシリーズはどれもワクワクドキドキ感とともに

心に沁み内なる世界を広げ充分に満たしてくれた 

ケストナーも言っているように「8才から80才まで」が

楽しんで読める世界がこれも壮大な真の児童文学の世界
この年になっても惹かれ続ける世界観だ
本来はジャンルなんてどうでもいいのだが所謂大人のための

「文学」との違いは何かと言えば
子どもも対象としているだけに様々な制約や独特の手法もあるが
いちばんの根本は「生・生きることへの肯定感」が底流にある

と言うことだと思う
私が惹かれるのもそこなのだと感じる
 

「天と地の守り人」の3部作は文庫で読んだのだが
荻原規子氏と佐藤多佳子氏と上橋氏の対談が掲載されていて
その辺りにも当然ふれられていて興味深かった
対談が東日本大震災の直後に行われたこともあって作家としての真摯さや
今自分に問うているだろう姿勢等、緊迫感と共に伝わってくる気がした

「肯定を必死に考えて物語を紡いでいるような感覚が

きっと、私たちの共通点なのでしょうね」
上橋氏の言葉が子どもの頃からずーっとこの世界に

惹かれててきた私の心に沁みた

来し道に積み重なりし本の数幾万冊か共に歩みて

   

幾多のジャンルを超えてたくさんの本を読んできたが
文学作品において惹かれたり好きだったりする作家や作品の原点は
やっぱりそこにあったのだなあとあらためて感じた

国際アンデルセン賞・作家賞に充分値する作家や作品群が

この国に生まれていることはとても嬉しいしわくわくする
これからもこの国生まれの作品に注目していけること
その世界が広がったことが素直に嬉しい

                    
                       


 

 
 
 

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万城目ワールド・・・

2011-06-10 00:06:54 | 読書ライフ

エンタテーメント作品として万城目学の小説世界は面白い
舞台が関西というのも親しみがある
デビューの頃より注目はしていたものの作品を読むまでには

ちょっと時間がかかったけど

デビュー作の「鴨川ホルモー」は京都が舞台なだけに

すごく親近感がわいた
何といっても数千という見える人には見える小型の「オニ」が

人間の指揮のもと、都大路で戦いを繰り広げるなんて
それも4つの大学対抗で・・・
奇想天外・奇妙奇天烈な世界が何とも言えない
 

学生感覚や恋愛模様も、古き良き時代のノスタルジーが漂う
京都市が「学生の街」だった頃の・・・
今は市外や滋賀県にキャンパスが広がり

繁華街の学生の姿がめっきり減った気がする
 

大学(本館)の位置から京都大学・青龍会(東)、立命館・白虎隊(西)、
龍谷大・フェニックス(朱雀)(南)、京産大・玄武組(北)
深く馴染んだ地名や伝統行事(祭り)等がふんだんに盛り込まれ、
その描写が忠実丁寧なだけに疾風怒涛のドラマに臨場感が出る・・・

今も「さだまさし」の歌等を聞くと
主人公安部が今時?の友人にはなかなか理解されない
「さだフリーク」だったことを思い出して笑ってしまう・・・

「鹿男あおによし」は奈良が舞台・・・

これもお馴染みの地
テレビドラマでもしっかり見た・・・

京都や大阪も関連するけど・・・
日本全体が揺れていた・・・なまずのせいだ・・・

なまずを鎮めるために物語が展開する
鹿に見込まれた「鹿男」・・・
臨時教員として赴任した奈良の私立女子高校で話は展開する
サンカク・・・狐と鼠と鹿・・・

三角縁神獣鏡・・・卑弥呼の鏡・・・  
 
「奈良公園の鹿は「挨拶したら(首をこっくりする)

鹿も挨拶を返してくれる(鹿もこっくりする)」
というのを聞いて半信半疑でやってみた・・・
鹿の正面でしっかり目を見てこっくりすると

何とどの鹿もしっかり返してくれた・・・

それが結構楽しみで、奈良公園へ行く機会があると鹿に挨拶をしていた
ところが去年の今頃、ひとり奈良公園を散歩していて

人がいないのを見計らって(1人ではやっぱり恥ずかしい)
久しぶりに鹿の目をまっすぐ見て挨拶したのに
鹿は知らん顔だった・・・

何回か挑戦してみたけど無視・・・
かなりショックだった!
小説にも奈良の鹿は餌をもらうために人間に頭を下げる・・・

世界中で奈良のの鹿だけだ
というのが何回か出てくる・・・
いつから奈良の鹿は挨拶しなくなったのか!?

もう一度試してみなくては・・・
 
そんなこんなで鹿と間近で対峙する経験が豊富?!なので
鹿がまっすぐ近づいてきて目をみて話しかけてくる

なんていうのもすごく臨場感があった 
大地がまだまだ揺れてるこの頃、「なまず鎮め」ができたなら・・・

なんてふと思う 

映画「プリンセストヨトミ」
あまり気がなかったのだが

キャストがなかなか良いので観ることにした
奇想天外万城目ワールド、今度の舞台は大阪・・・

原作は読んでないんだけど
大阪には実は「冬の陣」以降400年も連綿と豊臣の直系を守るための
「大阪国」が続いていた・・・
なんてまたまた摩訶不思議な世界
お好み焼きが食べたくなった・・・
大阪人の心意気も・・・親子(父と息子)の情も絆も・・・
どんなことでもありな世界が面白い
やはり設定には無理もあるが
それぞれの演技が作品を味のある楽しいものにしていた

「万城目ワールド」ならではの 
意表をつく面白く生き生きした作品世界を楽しみたい・・・
                               

                    

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「1Q84」!・・・

2010-09-14 00:47:39 | 読書ライフ

 続きすぎる夏の終わり
 長-い猛暑の中でなかなか始まらない秋を待つ。

 いつもなら盂蘭盆会を過ぎた頃から吹きすぎる風に
 秋の気配を感じると名残の夏を愛おしむちょっと
 もの寂しいような感覚が沸き起こるものだが・・・

 「1Q84」をBOOK3まで読み終えた。
 結構長い道のりだった。
 「ねじまき鳥クロニクル」ほど重い話ではないのに・・・
 話題になってから随分時間がたっている。
 なかなか面白かった!のは言うまでもない。

 BOOK1・2の同時発売の前
 販売戦略とやらで内容が全く伏せられていた。
 私はしっかり読み違えて「IQ84」と思っていた。
 知能指数84?かなり低いではないか?
 それが関係してる話だろうか?
 誰にも内緒にしていたが同じように思ってた人も結構いたらしい。

 「1Q84」とは「1984」年のもう一つの世界のことだった。
 月が二つ見える世界・・・黄色い月と少し小さい緑の月。
 リトルピープルが「空気さなぎ」を創る世界・・・
 青豆と天吾。二人の恋愛物語でもある・・・
 ハルキ的世界がちょっとサスペンス風に展開していく。

 BOOK2で終わっていたら大きな余韻と
 欲求不満を残していただろう。
 BOOK3で青豆と天吾は「1Q84」を抜け出すわけだが
 さて「1984」に戻ってきたのか?
 それともまた別のパラレルワールドなのか・・・
 なんて書いてくるとなんか普通?っぽいが・・・

 フカエリが繋いだと思われる青豆のおなかの子は
 どんな意味を持つ子なのか
 天吾が書き継いだ「空気さなぎ」に続く話はどんな内容なのか
 「空気さなぎ」を語ったフカエリは
 「マザ」なのか「ドウダ」なのか
 リーダーの周りにいる「空気さなぎ」から生まれた
 「ドウダ」の役割は?
 「さきがけ」のリーダーってまさか天吾の父!?
 そうするとフカエリと天吾は兄妹?!
 リトルピープルって何のための存在?・・・
 
 BOOK4への可能性はどんどん広がって行く。

 ハルキ的世界にしては随分社会的要素が構成の中に入っていて
 過去のいろいろな出来事(オーム事件関係・ヤマギシ会っていう
 のもあったなー・証人会のモデルになってる団体の子供たちや
 その親たちとのかかわり・・・等々)を思い出したりもした。
 「アンダーグラウンド」等々の取材や
 「カフカ以降」の世界の出来事も関係しているんだろうな・・・

 でもやっぱりわたしは
 「海辺のカフカ」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
 「羊をめぐる冒険」の方が好きかも・・・
         

                          

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海辺のカフカ

2010-06-27 00:35:23 | 読書ライフ

遅れに遅ればせながら読んだ!
一言で言えば「とても面白かった!」
久しぶりに味わったどんどん先を読みたくなる感覚!
何とも言えない静かなわくわく感!「さすが」である。

隠れ「ハルキスト」(どこかの大学の先生も
「私は超ハルキスト・・・」とこの間新聞に書いてたので
まだまだ「ハルキスト」と言う言葉は生きてるもよう)を
自認している私なのだが、
あまりの超人気ぶりに何故か「読む気」にならなかったのだ。
「IQ84]とて同じ・・・

1ヶ月半ほど前、本屋さんに「IQ84」の第3巻の発売に合わせて
シリーズ全巻と「海辺のカフカ」2巻が売っていたので
やっと読む時期が来たのかなーとまとめて購入。

エッセイ等は読んでいたが、村上さんの「小説」としては
「ねじまき鳥クロニクル」以来だ。
長ーい時間がたったような気がするが何年ぶりだろう。
 
随分面白くなっっている!
展開も内容も言葉遣いも文体も「大衆的」になってる気がする。
悪い意味ではないけど・・・
分かりやすく読みやすくなってる。
くすっと笑いを誘うような文章や流れが
これまでの村上作品ではあまりなかったような気がする。
安西水丸さんと組んだ「村上朝日堂」のシリーズ等では
よく見られたけれど・・・
短編・長編合わせても今までの作品と比べて
小説としての硬質感が少ないように思う。
ちょっと物足りないかも・・・の感じもある・・・
 
しかし特に「星野くん」と「ナカノさん」のかけあいの部分は
とても楽しく面白かったし分かりやすい大衆的な言葉の使い方も
面白いと言えば面白い。
 
そういう意味でも一般的により広がりやすく
多くの読者に支持される要因にもなっているのだろう。
書かれていることの本質やテーマは
あまり変わってはいないと思うのだが。

世界の読者を惹き付けていること
ハルキストとしてはとても嬉しいことだ。
「書くことの意味において」時間の流れの中で
何か変化したものがあったのかしら・・・

「ねじまき鳥・・・」の当時から
読者である私の「時」も「内部」も随分変化した!
奥深い読みの部分でも読み手として
今までとはかなり異なってきているだろう。

さらっと読んだだけで、「全て?!」が
理解!?できているわけではないが
触発される何かが自分の中で膨らんだ気がしている。
他では中々得られない感覚のものだ。
優れた「文学の力」?!かなーと思っている・・・
そのアタリを少し深く読み込むと共に
自分の中に探ってみよう・・・遅ればせながら・・・

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ハルキスト

2009-08-07 14:06:34 | 読書ライフ

久し振りに文学談議をした。
近頃読んで面白い本の中で「平家物語」を原文で読みながら
井上靖や村上龍の「北朝鮮が日本を占拠する?!」話が
とても面白く引き込まれたという話を聞いた。
 
その話の中で「龍(村上)は面白いけど、
春樹(村上)はかったるいからあまり読まない、、、」と
言うような話が出て
思わず「私はハルキストですから
逆に村上龍は読むには読むけどいちょっときつ過ぎるところもあるし…」と
言ってしまった。
(村上龍は「注目すべき作家ではあるけれど」
 私からすると「ちょっと荒くて品性に欠けるところがあるし」
 でもそれは言わなかった。)
お話のお相手は、「それは失礼しました!」と。

今は世界でも大人気で「ノーベル文学賞」候補と騒がれ本は売れに売れ
すごい「村上春樹」現象が起こってるけど
そんな中で「ハルキスト」なんて言葉はまだ生きているのかしら!?
 
デビュー作の「風の歌を聴け」で注目し
「羊をめぐる冒険」で大好きに、、、。
面白かった。
「作家を読む」タイプなので読める作品は小説からエッセイ、
翻訳本のいくつか、対談本等、
多くを長年にわたって読んできた。
今では死語となっている「純文学嗜好」だった
当時の私にとっても十分な力があり魅力的な
日本を代表する作家だと当初から思っていた。

村上春樹が最初に大ブレークしたのは「ノールウェイの森」だった。
その頃「ハルキスト」とか「春樹マニア」だとか言う
言葉がよく使われていた気がする。

「ノールウェイの森」はそれまでの作品群と比べて
「春樹ワールド」を色濃く残しながらも
「ロマン的」で一般の読者にとっても理解しやすく
共感度の強い思い入れしやすい作品だ。
 
その頃友人たちが親しくしていた
「色彩学」の末永さんがプロジュースしたと言う
(そういう話を聞いていた)
美しい緑と赤の「上巻」「下巻」の組み合わせの
ハードカバーもインパクトがあり爆発的に売れた。
にわかファンが急増し若かった私はちょっと
一線を画したい気がしていたのを思い出す。
今でも本来の春樹ワールドの方が好きだしレベル的に見ても・・・
と思っている。
 
「ノールウェイの森」は来年映画化されるという話も決ったらしく
近頃の春樹ブームと相まってまた売れ出し
1000万部を超えたときのうの新聞に出ていた。 

しかし現在の私は村上さんが
「オーム信者に取材して廻るドキュメント本」は読んだというのに
「海辺のカフカ」は何故か読む気にならなくて
未だに読んでいない。
当然「1Q 84」もまだ手に入れていない。

この間の東京の短歌会で、
友人が重そうなハードカバーをバックに入れていたので覗いたら
「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」だった。
友人は仕事の必要性から初めて「海辺のカフカ」を読み面白かったと言う。
「1Q 84」も友人に借りてもう読んでいた。
そこで「世界の終りと、、、」を図書館で借りてきたらしい。
 
私は「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」が
村上作品の最高傑作だと思っていると話した。
「そう、楽しみだわ!」「次は羊をめぐる冒険を読むといいよ」
「わかった!羊をめぐる、、、ね!」

そのあくる日に会った、審美眼についてかなり信頼できる人に
その話をしたら自分も「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」
について私と同意見だというのでちょっと嬉しかった。
 
もちろん「海辺のカフカ」はもちろんのこと
「IQ 84」もアマゾンの予約販売で手に入れて読んでいた。
思ったほどのことはなかったと言う。
「両方とも話の進め方は世界の終りと、、、と一緒だよ。」
「暇してるんだから読んでみたら、、、」と言っていた。
 
何はともあれ世界の若者に「春樹作品」が注目され
読まれているのはもっともなことだし嬉しいことだ。
「エルサレム賞」の対応の仕方だって
私はきちんとしていたと思う。
 
男性の友人たちはいろいろ言うけれど
昔から読んできた私としては
「作品として本当に読み込めてるのかしら」なんて思ってしまう。
 
もう少しブームが落ち着いたら
「海辺のカフカ」と「I・Q 84」を手に入れて
じっくり読んで見よう。
一味違った「ハルキスト」を目指して、、、。

                    
 

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