アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

フランシス・ベーコンについて(展覧会の予習)

2013-07-10 | メディア情報

 

愛知県の豊田市美術館で始まっている「フランシス・ベーコン展」。7月中には訪ねるつもりなので、そろそろ予習スタートです。

フランシス・ベーコンの作品は、1点は実物にお目にかかっている。10年以上前、確か東京で見た展覧会の出口近くに突然現れたその作品が、あまりに負のイメージ(恐怖なんだろうか?)に満ちた暗い作品で、人物の顔が判然とせず(つぶれているのか?)、ちょっと衝撃を受けた覚えがあります。哲学者にも同じ名前の方がいらっしゃるから、名前と印象は深く刻まれたのだけど、その後滅多と出会う事はありませんでした。そのベーコンの作品がこれだけまとまって国内で見ることのできるめったにない機会。

まずは録画していた日曜美術館を見ることに。噂には聞いていたが、大江健三郎さん、デヴィッド・リンチ監督、浅田彰さんと、ゲスト陣がいつになく豪華だな~。デヴィッド・リンチが人間の深く暗い内面を描くベーコンの魅力を語るのに対し、大江さんはすごく前向きなメッセージをベーコンの絵から受け止めておられ、全く両極な捉え方に、やはり見る人にさまざまなイメージを与えるのだなあと感じました。

フランシス・ベーコンの作品は、本当に今まで見たことのない、唯一無二の絵だと改めて思います。

さすが、テレビ番組だ、とおもしろかったのは、フランシス・ベーコンがモデルにしていた若き恋人のジョージ・ダイアーを、映像で見れたこと。動くダイアーの顔は、まさしくベーコンの描く肖像画そのものでした。あの歪んだ感じこそが、生きている彼をあらわしているというのには、深く同意。

あと、ベーコンの描く絵具には、砂や繊維などいろいろなものが混ぜて独特の質感をもたらしている、また、キャンバスの表面処理のされていない裏側を使用することで、やり直しのきかない筆の運びにスピード感とエネルギーがあふれている、という情報も大変興味深かったです。実際に絵の表面をじっくり眺めるのもとても楽しみ。たぶん、印刷物ではその作品の迫力と美しさは半分も伝わらないんじゃないかな。

それにしても、1992年まで生きてらしたというのに、テレビ番組に映像や肉声がひとつもない、というのも不思議に思えますが、ベーコンは生前はバイオグラフィーも徹底して出すことをせず、セルフイメージをコントロールしていたというのです。

これは、『美術手帖』3月号のフランシス・ベーコン特集で語られていました。いろいろな記事がある中で、一番おもしろかったのは、ベーコンを研究されていて、今回の展覧会の企画者でもある東京国立近代美術館の学芸員である保坂さん、桝田さん、それから美術ジャーナリストの藤原さんの鼎談。皆さん、ベーコンの作品、ベーコンというアーティストに深い思い入れがあるようで、何というか表面的ではない本当によく知った親しみ深い人について語り合っているようで、読んでいてすっごく楽しかったです。

早く作品たちに対面したいです。楽しみだな~!!


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