あらっ、この展覧会、会期短かったんだ~。この前始まったとこなのに、あと2週間ですわ。
ただいま、滋賀県立近代美術館では、『ポップの目 The Eyes Of Pop Art』と題し、館の所蔵品の柱であるアメリカ20世紀美術、わけてもポップアートの作品を一堂に見ることのできる展覧会を開催しています。
先般の記事でも取り上げましたが、やっぱポップアートといえば、まずはアンディ・ウォーホル。おなじみのマリリン・モンロー、フラワー、キャンベルスープも展示されています。当館は、けっこうジム・ダイン持ってるんだ~というのが今回の驚き。他にも、トム・ウェッセルマン、クレス・オルデンバーグ、ジェームズ・ローゼンクイストなど、たくさんではありませんが、ポップアートを代表する作家の作品たちを見ることができます。
ポップアートは、やはりそれ以前の抽象表現主義の作品と実際に見比べると、その反骨精神がいっそう際立ちます。「な~にが、色と形が崇高なんだよ!」と画面が言っているかのように、これでもかと日常アイテムが作品の主役です。とは言っても、大量生産・大量消費、豊かなアメリカの市民生活の象徴…というのも、もはや古典な気もします。
チラシにもなっているロイ・リキテンスタインの「泣く女」は、そんなに大きい作品ではないのですが、漫画のひとコマを切り取って絵にするという秀逸なアイデア(前掲の宮下先生の本では、ウォーホルが同じアイデアを先を越されてあきらめたとありました)、印刷のドットまで細かく絵として描き込む手技の感覚が、他の作家と比べても、大変良い作品であるという印象を受けました。同じく出品されている「積みわら」の連作もおもしろいです。そう、あのモネの「積みわら」を下敷きに大きなドットで描かれた作品です。
そして、今回の展覧会のひとつの目玉は、展示会場の中央あたりに設けられた「ネオ・ダダ」のコーナー。ここでは、ジャスパー・ジョーンズとロバート・ラウシェンバーグの作品が展示されています。特にラウシェンバーグは、立体作品やでっかい陶製の作品(1982年に来日したラウシェンバーグが、滋賀県信楽で制作。当館では20年ぶりの展示)などがあり、興味深かったです。
抽象表現主義に反旗を翻し、ポップアートの先駆けとなった「ネオ・ダダ」ですが、ラウシェンバーグの作品たちを見てると、案外、自分の思うがままに自由奔放の作品を作っている気もするなあ(晩年だから?)。きょう買った美術手帖10月号では、ラウシェンバーグと大竹伸朗の衝動的に作品を作る、という共通点が論じらていたが、さて。
ポップアートが隆盛した60年代の空気ってどんなだったんだろう?今でもそうであるように、美術は映像や舞台や音楽や、その他時代のカルチャーと無縁なはずはないから、その関係性の中で、もっと作品や作家をとらえてみたいなあと思います。今、けっこうポップアートの展覧会が多いのも、何か時代が呼応しているのかしら?
思いの外いろいろな作品が楽しめる本展は、10月6日(日)まで。同時に「カオスとコスモス」というテーマの常設展では、抽象表現主義の代表ともいえるマーク・ロスコの作品が拝めます。この崇高性とポップアートの対比をぜひ楽しんでみてください!