アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

日曜美術館 5/17

2009-05-23 | メディア情報
 4月からリニューアルしたこの番組は、取り上げられるテーマが多彩であり、かつさすがNHKの幅広いソースを用いているので、以前から私の定番お気に入りで、毎週録画しておりますが、1度見てもなかなか消去し難いのが悩みのタネです。
 
 さて、今回のテーマは、「だまされて“見える” 錯視芸術の快楽」です。ゲストには何とIKKOさんが!今回のゲスト3名は、それぞれの立場からなかなか興味深いコメントをしていて面白かったです。特にだまし絵を制作しているという木津文哉さんは、作品もすごかった(本物そっくりだった)けど、作家らしからぬお話のうまさでした。
 
 今、名古屋市美術館では、特別展『視覚の魔術 だまし絵』が開催されていて、有名なアルチンボルドの果物とか魚とかで組み合わされた肖像画他、視覚を混乱させられる楽しい作品が見られるようです。番組では、16世紀ヨーロッパのだまし絵を作るにいたる時代背景や、視覚を盲信することの恐さとか、いろいろ語られていましたが、何といっても視覚で騙すためには、すごい技術と精緻な計算が必要で、その質の高さに驚いてしまいます。
 似ているんだけどアルチンボルドより歌川国芳の「みかけはこはゐが とんだいゝ人だ」の方が、かなり面白い!!裸の男衆が重なり合って人の顔になっているのだけど、なんかみんなすごくボヤンとした表情で、あんたらナニやってんねん!と突っ込みたい感じ。
 この展覧会は6/7(日)までですが、その後東京と兵庫県立美術館に巡回、絶対見に行こう。
 
 日曜美術館の司会の姜尚中さんペアは昨年度までの壇ふみさんペアより、何やら物静かですが、ゲストを引き立てる絶妙な感じもして、今後も楽しみにしています。来週はわれらがヴォーリズさんの特集です!
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別府の芸術祭「混浴温泉世界」

2009-05-21 | メディア情報
5月17日の日経新聞より。
 湯けむりの街、大分県別府市で、各国からアーティストを招聘し、現代美術を中心とした「混浴温泉世界」というアート・イベントが6/14まで開かれているらしい。何やら怪しくて楽しそうだ!

 街に昔からある見慣れた家屋とアート作品が組み合わさって、あちらこちらに不思議な空間が現れているようだ。特に外国人アーティストが新しい感覚を触発されている。街に住む人の反応はどんなかしら?
 また、一過性の作品展示だけでなく、廃屋アパートを利用した「わくわく混浴アパート」には、若手作家が全国から100人以上集まり、アートを生み出していくといったことにも取り組んでいるようだ。この土地や人との交わりから得られるインスピレーションも多々あるのだろう。

 美術だけでなく、音楽イベントも満載、なかなかの大規模だ。こういうのって、体験する楽しさだから、とても行ってみたいけどちょっと遠いな~。5/31の日曜美術館で特集するようなので、楽しみにしていよう。
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『芸術起業論』 村上隆

2009-05-16 | 
『芸術起業論』 村上隆(幻冬舎 2006年)

 作品のオークション価格が億単位となったのが話題となり、六本木ヒルズのキャラクターや、ルイ・ヴィトンとのコラボでも知られる村上隆は、いまや日本を代表するアーティストです。
 その作品を感覚的な「好き」「嫌い」という目でみると、意見は分かれるところでしょうが、アート的な体験と捉えると、同時代を生きるものとしては、とても興奮するものがあります。ルイ・ヴィトンのバッグは興味なかったけど、店頭で飾られていた風船は欲しかった…。
 
 この本を読むと、彼が美術の「日本的」な枠を飛び越え、世界と勝負するために、ビジネスとして成り立たせる努力をいかにしてきたか、ということがよく理解できます。その姿勢は、「日本国内」では、批判の対象にもなるのでしょうが、実際、彼の作品は高値で取引され、その価値は「それが、どうした!」とばかりに、世界で十分評価されているのです。
 彼は、世界と勝負するためにそうした戦略を取ってきたのですが、私は逆に日本で「世界に通用する」と認められる唯一の方法だったとも思います。評価軸は「金額」か「外国の目」か、という…。

 美術、芸術って何て難しく(難解という意味じゃなく)、それなのに魅惑的な存在なのでしょう…。
 こんなに成功してもいまだに「怒り」を抱き、とても冷静な客観的な眼を持っている村上隆さんの仕事を、これからもアートファンとして見定めたいと思いました。
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『ラグジュアリー ファッションの欲望』

2009-05-15 | 展覧会
 京都国立近代美術館で、シリーズで開催されているファッション展。
 『モードのジャポニズム』『身体の夢』『COLORSファッションと色彩』と続き、今回のテーマは「ラグジュアリー」だ。エリザベス1世時代のボディス(胴着)から始まる本展来会は、17~18世紀の絢爛な宮廷ファッションから20世紀のシャネルや川久保玲、そして現代のマルタン・マルジェラのアーティスティックなファッションまで、“ラグジュアリー”を様々な視点で切り取り、斬新に呈示している。
 セクション1 着飾ることは自分の力を示すこと Ostentation
 セクション2 削ぎ落とす事は飾ること Less is more
 セクション3 冒険する精神 Clothes are free-spirited
 セクション4 ひとつだけの服 Uniqueness

このシリーズをほとんど制覇している一緒に出かけた友人には、少々物足りなかったようだが、私はシャネルの新しさに、改めてビックリして感心した。やっぱ天才だ!
 ファッションって、誰しも(普通は)身に纏わねばならない不可欠なのものであり、でも実用だけじゃなく自己表現の手段にもなり、こうして自分が着用するのとは別世界の鑑賞物にもなり得る不思議なものだ。
 5月24日(日)まで。東京にも巡回。
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マイ・ホーム・ミュージアム

2009-05-13 | 美術館
 JR琵琶湖線瀬田駅からバスで約10分、緑豊かな文化ゾーンの中にあるのがマイ・ホーム・ミュージアムである「滋賀県立近代美術館」です。
 ちょっと交通は不便ですが、公園に一歩足を踏み入れると、今だったら木々の緑のシャワーを浴びるような、四季それぞれの自然が満喫できる癒しの空間が広がっています。美術館に向かうそんな道のりは、まさに至福のひととき。

 さて、この美術館は1984年(昭和57年)に開館。コレクションの方針としては、開館当時としては珍しい戦後アメリカの現代美術、大津出身の郷土が誇る女流画家・小倉遊亀さんの作品、そして院展系の近代日本画が3つの大きな柱となっています。
 それぞれのコレクションの魅力については、また後日紹介させていただくとして…。この美術館は、早くから教育普及活動に取り組んでいたことでも知られています。
 美術館を単に作品を見せるだけの場所とせず、来館者・鑑賞者を作品や作家や美術館という「場」にもっと惹きつけ、良い関係をもってもらう橋渡しの役目を果たすこの活動は、これからの美術館にとって大切な役割になってくるのではないでしょうか。

 ただいま『森口華弘・邦彦展―父子 友禅人間国宝―』を開催中。二代にわたって人間国宝となったおふたりの、眼を見張るような染色の技の競演が楽しめます。
 5月31日(日)まで。
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