アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

没後10年『小倉遊亀展』 兵庫県立美術館

2010-02-26 | 展覧会
わがホーム・ミュージアムである滋賀県立近代美術館にまとまったコレクションを持ち、常設展示室の1室で紹介している小倉遊亀さんの没後10年の回顧展が、(なぜか?)兵庫県立近代美術館で始まりましたので、2月とは思えない暖かい日差しのなか、神戸まで行ってきました。
この展覧会は、滋賀県立近代美術館と兵庫県立美術館の相互協力による事業の一環とのこと、ということはこの先、兵庫のコレクションをまとまって借りる事もあり??

それはさておき、ポスターやチラシなども、おなじみの遊亀さんの作品。展示作品の半分くらいは当館所蔵の作品で、遠征に出ている親戚の子の様子を見に行くような、初めてのフシギな感覚。
それでも、いつもは15点前後程度の作品で遊亀さんの画業を駆け足で見ているのを、さすがに100点もの作品があると見応えがすごくあって、作品の背景や遊亀さんの人となり等もある程度わかっているので、これまでになく堪能できる展覧会となりました。

今までに図版でしか見たことのなかった「径」に出会えて感激だ!この何ともいえない明るい空気感よ、見ていると心が柔らかくなるようでした。他にも、見たことのない作品に、あ、こんな色使いもするのか~、とか、こんな表情の女性も描くのね、とかいろいろと発見もあり、また違う遊亀さんに出会えたような気持ちになりました。

自分の信じた画業の道を、ひたすら真面目に追求し、変化をおそれず新しい試みも大胆に取り入れて、また、結婚もしてお子さんも持って、同じ女性として貪欲ともいえるその生き方にはすごく尊敬するところがあります。そして、私は遊亀さんの作品を見るときに、どうしても何歳の時の作品か、というのを見てしまうのですが、60歳(世間では定年退職)を過ぎて、どんどん新しい境地を開いて、70歳とか80歳を過ぎても、すごく生き生きと描いていおられるのを見ると、自分の人生もまだまだこれからだ!と元気をもらうように感じるのです。

4月4日(日)まで。けっこう辺鄙な場所なのに、午後6時までやっているのはエライ!
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『絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から』 国立国際美術館

2010-02-14 | 展覧会
始まる前からとても気になっていた展覧会に行ってきました。(チラシは奈良さん!)国立国際美術館が中之島に移ってきてもう5年なんですね!移転5周年記念の冠つきです。
草間彌生といった大御所から、今や先行世代と言われるようになった奈良美智、そして未だ学生さんの新進作家まで総勢28名。具象画を中心とした今の日本の美術の「今」を知ることができる、とても楽しい展覧会でした。

それぞれの作家のために展示ブースが設けられ、その中に作家独特の個性的な空間が繰り広げられています。展示の仕方も工夫されてたり、キャプションも個別につけずに、こっそりまとめて壁の陰につけているものあったり…きっとこだわりなのね。
28人も作家がいれば、やっぱ好みもあるしいくつかは飛ばせるかな…と考えていましたがすべての作家に魅力や面白みや興味を惹くものがあり、つい長居してしまいました。

美術手帳で、名前は拝見してるけど、なかなか実物に出会えなかった作家の作品もありまして、やはり印刷物を見ているのとは、スケール感といい質感といい作品から受ける迫力が全く違いますね!!スゴかったのは、加藤美佳、ちょっと現実味のない少女の顔は、実はスーパーリアリズムでした。肌の感じとか、ほくろとかもいっぱい描き込まれていて、睫毛や髪の毛の描写の細かいこと!!これはびっくりの作品でした。会田誠もスゴかったなあ、ちょっと気持ち悪かったけど。

若手で、注目したのは栗田咲子と厚地朋子。こういう絵が私は好きなんだ…とつくづく感じた。色彩が明るくわりと骨太な感じ、ちょっと平面的で装飾的な画面というか。栗田咲子さんは、心斎橋のギャラリーで個展をやっていて、先日興味を持って見に行ったのだけど、アメ村にあるくせに日曜に閉まってたのでプンプン。(アメ村だからこそ日曜に閉まってたのかもね)再チャレンジしたくなったけど、もう終わってました(泣)。

最後にもう一度見てみようと、展示会場を歩いていると、ホントに絵画の咲き乱れる素敵なお庭を歩いている気分になりました。ちょっと最近ない新鮮さですごくおもしろかった!!4月4日までやってます!
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「怖い絵」で人間を読む(NHK知る楽)

2010-02-11 | メディア情報
愛読しているブログ「弐代目・青い日記帳」で紹介されていて、早速書店でテキストをゲット。

2月から始まったこのシリーズは、書籍の『怖い絵』シリーズの作者、中野京子さんがテキストを書き、そして出演している番組です。『怖い絵』、本屋でよく見ますが、何となく手に取るのをためらっていました。だってマジで怖そうで…。
テキストには、「19世紀以前の絵は、「見て感じる」より「読む」のが先…、その時代特有の常識や文化、長い歴史が絡み、注文主の思惑や画家の計算、さらには意図的なシンボルに満ち満ちています。現代の眼や感性だけではどうにもならない部分が多すぎる…」との中野さんのメッセージがあります。
そこで「怖い」を切り口に選ぶところがスゴイ、と思うわけですが、取り上げられている作品は、見るからに怖いものもあれば、一見美しい肖像画の背景の怖さも取り上げられていて、バラエティに富んでいて大変面白そうです。

中野さんが番組に出演している裏話も、ご本人のブログに記されていて、それも興味深し。京博で開催中の「ハプスブルク展」にも関連しているので、展覧会に行く楽しみも増します。第2回から見始めましたが、充実のテキストをあらかじめ読んでおくと、いっそう深く楽しめるように思いました。
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