秋晴れの少しばかり汗ばむ陽気の日、マグリット展に行ってきました。会場は、いつも人気大型展覧会を並行して開催しちゃう京都市美術館。最終日で長い列をつくっているルーブル展に対し、マグリット展はすぐに入場できました。それでも、けっこう混んでいましたヨ!
非現実の不思議なイメージに彩られた作品を生み出したベルギー出身の芸術家、ルネ・マグリット。初期作品から晩年まで、年代を追って展示された約130点は大ボリューム!見れば見るほど、マグリットの世界にどっぷりはまってしまうようで、改めて唯一無二の世界観を堪能できました。
描かれているモチーフとかシチュエーションも不思議なら、それを増幅させるのが作品のタイトル。「これは何が描かれているんだろう?」と意味をさぐりながらタイトルを見ると、全く予期しないものだったり。時々、哲学的?なマグリットの言葉が一緒に展示されているのだけど、読めばよけいにわからなくなる~。
この不思議な世界は、独特なのだけれど、よく見ると風景などはめちゃくちゃリアルで驚きます。チラシの作品と一連の岩の表現なんて、一瞬写真なのかと思ったほど。白い雲の浮かぶ青い空は、マグリットの作品の代表的なイメージだが、その青色(いや水色?)の無垢な美しさはとても印象的。幻想的な虚構の風景の中にあって、この空と雲も、めっちゃリアル。
でも想像する…。何か、とっても信じられない現実の中で、見上げた空の青と雲の白はぽっかりと虚構の背景のようにあるものなのかもしれない、と。
さて、今回、初めて知ったのは、マグリットの「ルノワールの時代」。ちょうど第二次世界大戦の頃、まさにルノワールを思わせるような色遣い、筆遣いで、印象派的な薔薇色の作品群を描きましたが、これはナチスがもたらす暗黒や恐怖へのアンチテーゼであったということです。静謐でどちらかというと寒色系のマグリットの作品のイメージからはかけ離れていて、とっても意外でした。
マグリットという人物像については謎多きままでした。作品を見る限り、既成概念にとらわれない、フツーの人の発想を飛び越えている方のように思いますが、日常はあくまでも「小市民」だったとか…(by ウィキペディア)。実際どんな人だったのでしょうか?興味深いです。
人は目に見えるものだけを絵に描くのではない。言葉にならない混沌かもしれないし、目に見えるものや発せられる言葉の幻想をあばいた真実かもしれない…。絵っておもしろいですね!
このせっかくの機会にマグリット・ワールドにどっぷりハマろう!10月12日(月)まで。