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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

伊藤若冲の名宝展@相国寺承天閣美術館

2014-07-13 | 展覧会

人知れず、名作を取り揃えた展覧会をやっている相国寺承天閣美術館、一度訪ねてみようとずっと思っていました。

さて、京都今出川・同志社大学の隣に位置する相国寺は、夢窓疎石を開山とし、室町幕府第三代将軍足利義満によって創建された臨済宗の立派なお寺です。実は観光名所である金閣寺・銀閣寺は、この相国寺の塔頭寺院であるというのは、あまり知られていません。

この承天閣美術館は、昭和59年に相国寺創建600年記念事業の一環として相国寺・金閣寺・銀閣寺その他寺院に伝わる美術品を受託し、保存及び展示公開、修理、研究調査、禅文化の普及を目的として建設されたとのことです。

若冲は、相国寺の住持大典(だいてん)和尚を生涯の師と仰ぎ、深い親交を結んでいました。後に宮内庁に献上された有名な「動植綵絵」30幅も、もとは相国寺に寄進されたもの。そして、今回の展覧会で50面すべてが展示されている「鹿苑寺(金閣寺)大書院旧障壁画」は、まだキャリアのない若冲の才能を見抜き、大典が若冲一人に委ねて制作されたといいます。たいした眼力です!

大書院の間取りとともに、若冲の素晴らしい作品に囲まれたお部屋の様子を思い浮かべると、興奮します。特に、常設展示になっている床を飾る「芭蕉月夜図」と「葡萄小禽図」はすごい迫力だなあと思いました。床の間って、お軸とか花を飾るところだから、あのように絵画で装飾されたのは初めて見た気がします。すごい装飾的じゃないですか?!また、芭蕉という植物は、日本でもポピュラーだとは思うのですが、何となく異国っぽさもあって、月の光の輝きといい、なんだかすごい重量感があったんですよね~。まだ経験の少ない若冲の、意欲があふれているようにも思います。

他にもおなじみの鶏の絵もたくさん見れました。若冲の描く鳥の絵って、ホント、全く類型化されていない、実際の鳥をカメラで一瞬で捉えたような姿態を描き出していてとても興味深いです。観察し尽くしていたんでしょうね~。また青物商らしく、野菜が特別な思いをもって描かれているという解説にもうなずくものがあり、微笑ましく思いました。

久しぶりに若冲を堪能できる展覧会、お客様であふれ返っているわけでもないので、ゆっくりと作品と対峙できる、この贅沢な時間よ!京都に来られる機会があれば、ぜひ訪ねてみていただきたいと思います。

展覧会は9月23日(火)まで。会期中は無休とのこと。

さて、京都はいよいよ祇園祭の季節となりました。帰りに四条まで出て見ると、道のあちらこちらで山鉾の建て込みが行われていました。写真は船鉾。前の方はちゃんと船の形だった!今年は前祭と後祭の2回に分かれて行われるとのこと。夏本番です~。


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