アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「色と墨のいざない 出光美術館コレクション展」@滋賀県立近代美術館

2010-09-25 | 展覧会

9月11日より、滋賀県立近代美術館にて、新しい企画展が始まりました。

東京の出光美術館の日本画のコレクションより、鎌倉~江戸時代のやまと絵や水墨画、文人画の秀品が一堂に展観できる展覧会となっております。あまりお客様が押し寄せる展覧会ではありませんが、わりと日本画に詳しいレベルの高いお客様がいらしているように見受けました。

絵巻物とか屏風絵には、「群像」が描かれています。表情はあまり多彩ではないのですが、なんか体の動きとか見ていると、イキイキしていて思わず凝視してしまいます。いろいろな場面がふわふわした雲で仕切られて、同じ画面に同時に描かれているのが、日本画独特でおもしろいですよね。ある意味、構図がすごく自由だなあと思ったりします。細かい人物がいっぱい描かれてますんで、もっと近くで見たいわ~と思ったり。

そんななかで、ひとりの人物が私を魅せます。重要美術品でもある岩佐又兵衛の「在原業平図」。見返り美人を彷彿とさせる流麗な体の動き、振り向くさまにとっても気品があります。(ちらしの中ほどに優雅におられますね?)
このような古い絵は、やはり歴史的背景とか描かれている物語の中身などをよく知っておくことで、理解が深まるのでしょう。私たち解説サポーターがそのへんをお手伝いできればいいなあと思っています。

出光美術館は有楽町にあります。一時大阪の心斎橋にもありましたけれども、今はありません。出光興産の創始者である出光佐三が70年におよび蒐集したコレクションはなんと1万点!日本や中国の書画や陶磁器がコレクションの中心ですが、一方サム・フランシスやルオーのまとまったコレクションもお持ちだそうです。なんと、サム・フランシスが娘婿らしいです。当美術館にも素敵なブルーのサム・フランシスの作品が1点ありますが、そんな展覧会もやってほしいな~と思ったりします。
本展は、10/11(月祝)までの開催です。

さて、今年の秋は、日本美術の展覧会が続きます。10/19からは、生誕100年を記念し、「白洲正子 神と仏、自然への祈り」が開催されます。白洲正子さんが感銘を受けた数々の仏神仏や宝物が展示されるとのこと、白洲さんの視線を通し、展示品がどのように料理されるかが非常に楽しみです。

ようやく秋を迎えて、美術館を取り巻く文化ゾーンは、本当に自然にまみれることのできる素晴らしいところです。ぜひぜひ一度足をお運びくださいませ~。

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「路上観察」事始め

2010-09-12 | 作品
このブログ、『アートの周辺』といいながら、けっこうアートど真ん中の記事ばかり書いていることに、若干心に引っかかるものがありました。しかしながら、ここでついに、いわゆるアートの常識とか既成概念の枠から飛び出していける…!!そんな予感を感じる本に出会いました。

『路上観察学入門』 赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊編(ちくま文庫)

といいますか、これもずいぶんと前に買っていたのですが、中の写真などをペラペラ見てると、急に読む気になって一気に読んだわけです。

「路上観察」。この言葉には聞き覚えがありました。トマソンなるものの意味も存じあげていました。しかし、路上観察「学」がこれほど奥深い学問であることは知りませんでした!

路上観察学は、今和次郎、吉田謙吉という方が創始した「考現学」に端を発します。時代は関東大震災の直後、破壊のあとにやってくる創造を、彼らは民俗学、考古学さながらに「観察」し「記録」する。しかも大それた街の記録などではなく、町の「看板」とか「茶碗のカケ方」とか「丸ビル・モダンガールの散歩コース」とか「犬の破いた障子」とか。そういうのを、赤瀬川さんらが思いっ切り面白がり、そして「路上観察学」が始まったのです。

この中のメンバーでは、最高に崇められているのは林丈二さん。本職はデザイナーらしいけど子供のときから調査マニアで、マンホールの蓋にはじまり、都内各駅切符のパンチ屑(時代を感じる…)、旅行先で靴底に挟まった小石の採集など、あらゆる瑣末な事に探求の視線を向け丹念にデータを取るのです。彼が書いている「路上の正しい歩き方」はすごーくオモシロイです。自ら視野窄狭を称する彼の視点、目の付けどころとその記録や考察は、まさしく路上に目を向けんとするフォロワーのお手本となるものです。またマメなイラストがいいんですよ!

マンホールについても、そんなにいろいろな種類があったなんて!…と最近マンホールって見かけないよな~なんて思っていたのですが、自宅から一歩外へ出て視線を下に向けて見ると、マンホールあるある!!全く気に止めないと見えなくなるんですね~。
そういうわけで、珍しい(のか?)絵入りマンホールがありましたので掲載します。なんと大津らしく琵琶湖大橋や今は動かない大観覧車や花火などが描かれております。これは下水用でしょうか?
マンホール再発見以来、道路のマンホールをついじっと見つめたりしてしまうのですが、きょうはこのブログのために写真撮影をいたしました。じっと見るのも写真撮るのも、それを他人に見られるとちょっと気恥ずかしいですね。そこを素知らぬ感じでやるってのも路上観察者の第一歩なのでは、とそれが嬉しかったりもする残暑厳しい午後でありました。

路上観察学の大発見である「トマソン」については、また後日。
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瀬戸内国際芸術祭2010(日曜美術館9/5)

2010-09-06 | メディア情報
ヨヨッ!俄然盛り上がってきました。瀬戸内国際芸術祭2010

昨日の日曜美術館では、瀬戸内海の7つの島を舞台に行われるこの芸術祭が取り上げられていました。姜さんや中條アナウンサー、そしてゲストの宮本亜門さんが、実際に島々を巡り、豊島・小豆島・直島・犬島・大島のバラエティ豊かなアート作品たちが紹介されておりました。
いろいろな地域の芸術祭ってあるけれど、これは「島」が舞台というのが、特別なシチュエーションを演出しているように思いました。
となれば、やっぱり船で巡らないと!

というわけで、俄然行く気が盛り上がってきたわけです。新潟とか別府とかは遠くて足を運べないけど、瀬戸内なら近いじゃないか!地図で見ればますますすぐそこじゃないか!なかなか秋らしい凌ぎやすさは訪れそうにないですが、秋の休日に訪ねてみようと思っとります。

番組で興味をそそられたのは豊島でした。時間を割いて紹介されていたからかもしれませんが、いろいろな作品を見てみたいを思ったし、スー・ペドレーさんの作品づくりを通して地元の人たちと心を通わせている姿には、なぜかえらく感動して涙が出そうになりました。
越後妻有の時の番組でもそうでしたけど、地元にすっかり溶け込んでいる制作した作家、そして関わった人々たちの誇らしげな表情というのが非常に印象的です。それを取り持つのが一見わけのわからないと思われがちな現代アートであるのも、いいなあ~と思うわけです。

美術館というハコモノを飛び出したアートを自分自身で体感し、アートのもたらす力ってものをじっくり考えてみたいものです。
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