アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

さようなら、滋賀会館シネマホール

2010-03-28 | 映画
私は、滋賀の地に越して来てから、近所に映画館のある環境がとっても嬉しくて、しかも好みの映画が満載で、その上だいたい1000円の格安で見れるという、お気に入りだった「滋賀会館シネマホール」。7年前に県営であったので一旦廃止となったのが、公設民営のミニシアターとして復活、映画館を存続させるには自分自身がしょっちゅう通うことだ、と強く思い知ったのですが、ついにこの3月末で閉館となってしまいました。

ラストの日は、仕事で行けませんので、きょうの最終鑑賞となったのはカウリスマキの『浮き雲』。一度見たことあったのですが、しみじみとした良い映画だったので、ラストの一本に選びました。部屋のインテリアや人物の服の色などが、北欧らしいブルーや渋いエンジなど、色が美しく印象的でした。カウリスマキの役者たちは、表情が読めない!その表情でそのセリフ??ってのも頻繁にあって、気が抜けません。同じ映画を見るのも、その時々の心持ちで見えたり感じたりするものが違うものだな、と思いました。



いつもはホント10名いたら多いくらいの映画館、きょうは20名以上はいたかな~。お店の閉店セールもそうですが、なくなるとなると人がやってくる。閉めざるを得ない大きな理由は、人が来なかったからなのに。
このように私たちに素晴らしい作品を提供してくれている側は、本当に苦労しながらやっていて(例えば安い給料、少ない休み)、結局存続できない場合もたくさんあるって、こういう状況って、本当にどういうんだろう…。客の立場を超えてもっと何かできることがあったのではないかと、とても哀しい気分です。
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シュウゾウ・アヅチ・ガリバー EX-SIGN(エクス・サイン)

2010-03-22 | 展覧会
滋賀県立近代美術館で、ただいま開催中の展覧会、『シュウゾウ・アヅチ・ガリバーEX-SIGN展』を紹介したいと思います。

シュウゾウ・アヅチ・ガリバーさんは大津市出身で、高校時代よりハプニングのような美術活動を始めておられたとのこと、その後マルセル・デュシャンの影響を受けて東京でアーティストとして活動を始めました。あまり広く名の知れた方ではないと思いますが、出身の滋賀県で初期から現在まで活動を一望できる展覧会を見られるのは、とても素敵なことだと思います。
さて、作品たちはけっこうワカラナイものも多いのですが、(作家自身が意味を多く語らない、と学芸員さんが言ってました。言葉で説明できるなら作品の意味がないそうです)いろいろ見ていると、自身の肉体や生物としての存在にとても興味を抱いているように思えます。

70年代の代表作ともいえる「肉体契約」。自身の死後、肉体を80の部位に分割し、80人に保管を委ねようというプロジェクトで、ガリバーさんが委ねた人と正式に交わした契約書もあるのですが、それを美術作品として残したのは、その契約者が一同に会し飲み食いしたテーブルの後。契約者のネームプレートとコップやワインの瓶や煙草の吸殻などが残されたテーブル。まことに奇妙な怪しい集まりの残り香が漂ってくるようです(照明が暗いともっとよかった)。契約者には沢田研二や寺山修司(すでに亡くなっていたので花が置かれていました)などの名前もありました。

90年代にはDNAを構成する4つの塩基の頭文字「ATCG」を用いた作品を多く制作しました。乱れたベッドの横に置かれている「ATCG」の巨大なハンコは、重ねて押すとちょっと意味深…。その他、自身の体の一部、例えば目を単位にしたお札をつくったり。(目は充血)
展覧会準備には、作家本人が美術館に詰めておられたとのこと、途中のお庭を望む休憩スペースのガラスには、ガリバーさんが直筆で描かれた作品もあります。(消すのはモッタイナイ)

考えすぎるとワカラナクナルんだけど、解説の途中に子どもの集団がやってきて、走り回って楽しそうに見てました。そうそう、無邪気に楽しめばいいのか~なって思ったり。
とにかく、作家が展示に残した痕跡も多く感じられ、今を生きる作家のライブ感がたっぷり楽しめる展覧会です。思ったよりお客様も多くて嬉しい限り。

4月11日(日)まで。3月28日(日)14時からは作家本人のアーティスト・トークがあります!
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THE ハプスブルク

2010-03-06 | 展覧会
しばらくお天気で暖かかったのに、生憎の小雨で肌寒く、京都国立博物館のお庭の梅もまだ寒そうに身を縮めていました。
さて、訪れたのは『THE ハプスブルク』でございます~。日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国の国交樹立140年だそうです!
2年前東欧に旅行してシェーンブルン宮殿を訪ね、そこにシシィの肖像画がないことにガッカリ(土産物には満載でしたが)、ついに対面を果たす日が来たのです!!

展示会場に入っていきなり里帰りの日本画や浮世絵があるのに少し驚きましたが、どれも保存状態がきわめて良く色が美しい。こーんな日本の風俗に、ヨーロッパの人々もびっくりしたろうな~と思ったり。

そしていよいよ始まる重厚なヨーロッパの絵画群。イタリア、スペイン、ドイツ、フランドル・オランダというように国別にお部屋が分かれていましたが、圧巻は館中央の「ハプスブルク家の肖像画」。そこにいました!誠に美しい皇妃エリザベート(シシィ)が!思ったより大きな絵で何ともいえない美貌ぶり。見ている人の目が老若男女みなハートになってた気がする…。また衣裳のレースの質感が素晴らしく美しいこと!また向かいの壁には、ベラスケスの幼いマルガリータとフェリペ皇太子、それに若き日のマリア・テレジアが並んでいて、何だか歴史の重みをドッシリと感じました。NHKテキストで予習していたので、フランツ・ヨーゼフ1世の深い皺にしみじみと見入ってしまいまいました。
意外でしたが、私好みはドイツ絵画でした。デューラーやクラナッハの妙にぽっかりと明るく人物がユニーク(に見える)宗教画がすごく気に入りました。

ハプスブルク家の略系図をもらいましたが、ホント何国もの王を輩出していてすごい家ですなあ。ヨーロッパの成り立ちの複雑さを改めて思ったりします。もっといろいろ知りたくなりました。

3月14日まで。もう少しで終わりですよ~。
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