この展覧会、昨年の東京での開催が話題になっていたのを承知していたのですが、新鮮な出会いを求めて(?)、あまりにも予備知識なしに出かけたため、いきなり「何だ、こりゃ?!これは、写真なのか??」と、不必要に驚愕してしまいました。
作家の意図なのか、会場には作品解説が一切なく、キャプションも作品からとっても離れたところに付けられていたりして、壁も含めた作品世界を構築しているようでした。そして、あんなにも目を近づけて、よ~く見てみたい作品なのに、作品の前60~70㎝の床にに引かれたラインを越えると警告のピンポンが…。まるで作品のまわりにバリアを張っているかのよう。
すごく不思議な作品体験。いったアナタは、写真をどこへ導こうとしているの?
入口で渡されたわずかな解説をたよりに、この不思議な作品たちは、デジタル加工の可能性を極限まで追求し、複数の視点から撮られた写真を合成したり、不必要なものは消したり、果ては衛星写真を使ったりして制作されていることがわかり、いったい「写真」とは何なのだろう?と考え込んでしまいました。
この作家の作品は、やはり展覧会場で見なければ、本当の凄さはわからないと思いました。2m、3mと大きな画面を前に、想像を超える不思議な視点を「体験する」ことが醍醐味じゃないでしょうか。1点、2点とかじゃなく、これだけのまとまった作品をじっくり見ることで、どんどんジワジワとその凄みを感じます。
「カミオカンデ」は美しかったですね~。右下の人物が、まるで黄金を探す探検隊のように見えます。グルスキーさんの多くの作品には、圧倒的な無機質な人工物を撮影しながらも、そこにわずかに人の気配が感じられるのも特徴のように思いました。私は、ジャクソン・ポロックの作品を撮った写真が気に入りました。遠くから見ると、ポロックの作品を取り巻く空気のようなものも含めて、すごく立体感があるように見えて、ビックリしたんですよね~。
私はカメラのことも写真のこともよく知らないのですが、詳しい方には、その凄さがいっそうよくわかるのでしょうね!畑の畝を真上から撮っている「ベーリッツ」とか、実際どのように撮ったのか、ホント知りたいと思いました。
とにかく、凄い!作品体験が楽しめます。大阪ではまだ始まったばかり!見逃すな!!
5月11日(日)まで。あ~、もう1回行きたい!