アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

美術手帖「特集・世界のアートスポット」(2014年6月号)

2014-05-25 | 

 美術手帖 2014年 06月号 [雑誌]

これからの余生を、アートと旅に生きたい私にとって、買わずにいられましょうか!

それにしても、世界中には、本当に見るべき(行くべき)ところがタンとありますね。特に表紙にもなっている、ロバート・スミッソンが塩の湖に描いた巨大な渦巻き「スパイラル・ジェティ」には、目を奪われました!ユタ州グレート・ソルトレイク(塩水湖)に1970年に作られたこの作品は、いったん湖面に沈んだが、2002年から再び現れるようになったそうです。淡いピンクの湖面が原始的で、まるで地球の始まりを目撃しているかのようです。あの渦巻きの中心に立ってみたいものですね~。

「アートスポット」とは、なかなか絶妙な言葉です。取り上げられているのは、上記のような地球を舞台にした壮大な作品から、世界の名だたる美術館、作家のアトリエ、作家が手がけた建築物や屋外作品まで、いろいろ。その分バラエティに富んでいて、とても楽しいです。

世界中…とは言っても、やはりアメリカとヨーロッパが多い、とりわけスイスにアートスポットがけっこうあるのは意外でした。もう少し中東含めアジアも眺めてみたい気がします。私的には、いわゆる遺跡というのも、アートスポットではないかと。ストーンヘンジとか、ナスカの地上絵とか、もっと言えばエジプトやメキシコのピラミッドなんかも…。なんて言い出すと、きりがないですかね~。

日本国内にも、けっこう行ってみたいアートスポットがあります。まずは、イサム・ノグチが構想した北海道の「モエレ沼公園」、十日町もおもしろそうですね。「太陽の塔」の内部は、2,3年の内には見ることができそうで、とっても楽しみです。

時代も空間も超えて、人間の手が創り出すものには、本当に無限の可能性がある!世界中のアートスポット、できるだけ実際に足を運んで、体験したいものだと思いました。 

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キューティー&ボクサー 篠原有司男・乃り子2人展

2014-05-17 | 展覧会

ただいま、阪急うめだでは、「ニューヨークフェア」を開催中。その関連企画として、ニューヨークで活躍を続けるアーティスト、篠原有司男・乃り子夫妻の作品展が9階ギャラリーで行われています。販売催事ではありましたが、有司男さんのまさにライブ感たっぷりの最新作や、乃り子さんの不思議な感覚あふれる版画作品など、なかなかたっぷり楽しめました。

篠原有司男さんは、わがホーム・ミュージアムの滋賀県立近代美術館にある「モーターサイクル・戦士」という作品でおなじみ。今回もミニの作品が出品されていたオートバイシリーズのひとつで、廃材で作られた大きな立体作品(こちらは等身大以上!)は、夏休みなどによく展示され、子どもたちに人気です。グロテスクな女性ライダーの姿からは、いろいろなメッセージが読み取れるような気がします。

有司男さんはまた、ボクシング・ペインティングで有名だそうですが、今回初めてその作品を見ることができました。そして、な・なんと、ご本人も会場にいらっしゃってビックリ!小さなお身体でしたが、エネルギーが詰まってる感じでした。まさにアクション・ペインティングですが、爆発したような絵具の跡は思いの外リズミカルで、美しい印象です。

写真は、過日にライブ・ペインティングされた作品(撮ってよかったのかな?)。黒く見えるのは、スポンジのようなものが仕込まれたボクシング・グローブ。したたる絵具の跡が、臨場感たっぷりでした。きっとエネルギッシュな制作現場だったと想像しますが、作品は色味もあってか幽玄な感じがしますよね。

乃り子さんの作品は、ユニークでおもしろかったですね~。ニューヨーク版物語絵巻って感じで、ストーリーは荒唐無稽のようで実話のようで??描き込まれている英語の文章が、いかにもイタリック体でとっても素敵でした。小さなエッチングは、ちょっと欲しかったです。

昨年公開されたお二人を追ったドキュメンタリー映画「キューティー&ボクサー」は、残念ながら見逃しているのですが、ますます見たくなりました。どんなご夫婦なんでしょうね?今後もご活躍を楽しみにしたいです。

作品展は5月19日(月)まで。催事場のニューヨークフェアも大そう楽しかったです!こちらは20日まで。

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「現代アートの本当の学び方」(フィルムアート社)

2014-05-11 | 

 現代アートの本当の学び方 (Next Creator Book)

フィルムアート社の本は、けっこうよく買います。興味あるところにジャストフィットするタイトルの本が多いので。これは、3月に出たばっかりで、会田誠さんと日比野克彦さんが対談されてるってことで、ぜひ読んでみたかったのです。

今の世の中、「アートって何?」と定義することすら、よくよく考えるほどに難しいように思えます。「アートを学ぶ」って、いったい誰がどんな対象について何を学ぶことなのか。そもそも、アートって学ぶべきものなの?

興味深かったのは、教育機関(美大とそこに至る予備校ってのも)で学ぶアーティストのことがけっこう取り上げられていたこと。アーティストを目指すって、究極の個性の表現を志向しているのだと思うけど、そこに至るために(=美大に入るために)、予備校という場所で、徹底的な技術訓練が施されるという…。画一的とまでは言えないかもしれませんが、おそらく誰もが効率的に学べる方法があるのだと思うと、不思議です。実際、いまだに入試に石膏デッサンは必要なのか?という議論もあるそうです。

対談の中では、会田さんがChim↑Pomを例に、これからは美大に行かずに自分のやりたいことをやって発表しようとする独学系のアーティストが増えていくのではないかと言われていました。今、流行りのアートプロジェクトなども、最近の若者が志向するアートの一分野ではあるけど、そこに必要なのはデッサン力よりもコミュニケーション力でしょうし。

お二人の対談以外の部分は、「子ども時代の学び」「美大における学び」「社会における学び」というテーマについて、複数の執筆者が短い文章を書いておられます。

特に「子ども時代の学び」を面白く読みました。「自己原因性感覚」。これは「自分が何かを成せるという感覚」で、子どものリアルな表現の源泉となっています。しかし、成長するほどに社会と交わるようになると、そのようなリアルな表現は影を潜めてしまいます。大人になってもそのような感覚、自分は誰にも替えられないという感覚は大事で、そのためにアートを学ぶ、つまり自分の表現を試みる必要性があるのではないかと述べられているところは、興味深かったです。

また、実際に作ることをしない自分にとっては、鑑賞や批評のことが書かれていたのも面白かったです。巻末には、アートを学ぶための参考図書もたくさん掲載されていて、興味ある分野への入口としてもよいのではないでしょうか。

アートが人が生きていくのに欠かせないものであると信じている私にとって、「学ぶ」という言葉が適当かはわかりませんが、いろいろなアプローチを示してくれる本だったと思います。興味ある方は、ぜひ。

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