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籔内佐斗司流「仏像拝観手引 日本列島巡礼編」(Eテレ)

2013-04-29 | メディア情報

 

籔内佐斗司流 仏像拝観手引 日本列島・巡礼編 (趣味Do楽)

2011年11月~12月に放映された彫刻家・籔内佐斗司さんナビゲーターによる番組「仏像拝観手引」の続編が放映されています。今度は「日本列島巡礼編」ということで、奈良・京都に留まらず、東北から関東、近畿、四国、九州まで全国を行脚していろいろな成り立ちを持つ仏像を紹介いただけるようです。

中でも第2回で取り上げられていた「十一面観音像」は、琵琶湖周辺のお寺に数多くいらっしゃり、それぞれに美しさと個性を湛えられていることがよく知られています。とても穏やかな本面の頭上には多様な表情の十の面が頂かれています。怒った顔、笑った顔、それぞれの表情には意味があり、救済者としての種々の能力を表しているそうです。

今後の放送も「みちのくのほとけさま」「山岳のほとけさま」「なにわ 庶民信仰のほとけさま」など、バリエーションに富んだ仏様が楽しめそうです。

さて、籔内さんといえば、先日、別の番組で、彼が指導している東京藝術大学 文化財保存学・保存修復研究室の学生さんの1年間の活動を追ったドキュメンタリーが放映されていて、とても興味深く見ました。学生さんたちが、国宝級の仏像の制作技法をそのまま再現する「模刻」を苦労しながら取り組む様子が紹介されていたのですが、古の仏師の技術の高さ、完成への執着心の深さには、その制作過程をなぞっていくことで、改めて驚かされます。

私にとって興味深かったのは、そのような学生さんたちが、学部時代は現代彫刻を行っていたということ。仏像を修復していくことに、どうなんだろう、一般的に考える「創造性」って発揮されないようにも思うのだけど、大学院へ進学したときに、現代アートから仏像へ転換されたその心情って…?学生さんたちが完成させた仏像の模刻は、やはりそっくりそのままではなくて、「その人らしさ」がにじみ出ているように思いました。仏像って芸術家が信仰のために持てる技術のすべてを注ぎ込んで作り上げた芸術作品なのでしょうね。

昨日の日曜美術館で神像が紹介されていましたが、その自由なつくりに較べると、仏像って決まりごとが多いし、より厳格なものである印象を受けました。

「仏像拝観手引」は、毎週火曜日の21:30からEテレで。翌週の火・水曜日に再放送もあります。

前回シリーズの紹介はこちら


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