アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

『ウィリアム・ケントリッジ―歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた・・・』

2009-09-27 | 展覧会
 先日、京都のルーブル展に行ったとき、当然向かいの京都国立近代美術館にも立ち寄ったので、タイトルの展覧会を紹介します。

 ウィリアム・ケントリッジという作家、今回初めて知りました。南アフリカのヨハネスブルグに在住し世界的に活躍しています。ちょっとチラシではよくわからなかったのですが、彼はアニメーション・フィルム作家でありました。なので、会場には、アニメーションの原画といえるドローイングや版画も展示されていましたが、いくつもブースがありたくさんのアニメーションが上映されていました。ひとつひとつは10分程度の短いものですが、いっぱい見ているうちにあっという間に2時間くらいたっていました。
 
 彼のアニメーションは、「動くドローイング」といわれるそうで、木炭やパステルで描いたドローイングを部分的に描き直しながら、その変化を1コマ毎に撮影する気の遠くなる作業で作られています。見ているとパラパラ漫画を見ているようで、しかも思わぬものが次から次へとあらわれたり、画面の展開が予想できなくて、じっと見入ってしまいました。特に初期の作品は、上の作品のように水が自在に登場するものが多く、またその青がとても美しくて印象に残りました。
 彼の作品は自国のアパルトヘイトの歴史や社会状況を色濃く反映した政治色が強いもので、決して楽しいものではないのですが、視覚を駆使した芸術への情熱が感じられていろいろとおもしろい作品が多かったです。

 今回は、美術館と作家の3年にわたる協同作業を経て実現された日本では初の大規模な個展とのこと。10月18日(日)まで。
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ルーブル美術館展(京都編)

2009-09-23 | 展覧会
 シルバーウィーク最終日・・・には行きたくなかったのだが、きょうしか日がなく、京都市美術館で開催のルーブル展「17世紀ヨーロッパ絵画」鑑賞。朝イチがましということだったが、開館15分前ですでに長蛇の列、久々に展覧会で並びました。会場入口にたどり着くまで約30分。それでも中では混雑していたものの、ひとつひとつの作品をけっこうじっくりと見ることができました。

 京都編は、絵画作品ばかり71点、けっこう大きい作品や、巨匠のマスターピースもあって、なかなか見応えあり。何といっても目玉のフェルメールは、とても小さい作品でしたが独特の空気感で、ネットで学芸員さんがおっしゃってたように、実際のサイズの何倍もの大きさの印象を残す作品でした。

 最も感銘を受けた作品は、ジョルジュ・ド・ラトゥールの『大工ヨセフ』。図版では有名なこの作品、光の効果を強調しいかにも絵画的な劇的な演出をしているが、びっくりしたのはその写実性。本物のように見える絵画も、ふつうは眼を近づけると絵の具の痕跡が見えてきて、絵であることが露わになるのだが、この作品は、近寄れば近寄るほど、老人の顔、こどもの顔、ろうそくに透ける指がまるで写真のように本物にみえてくるのです!素晴らしかった。感動した。このような経験は、ホント実際の作品に接してならでは、ですよね。

 それにしても大阪の比じゃない人出でした。けっこう若い方も多かったです。鑑賞中に若い女性が、肖像画の髪の毛にやたら興味を持って「あれカツラかな?」とか「あれは地毛だよね」とか言ってておもしろかったんですが、17世紀の風俗を紹介するという展覧会の主旨からすると良い視点だな~と思いました。
 
 いよいよ27日(日)まで。最終日なんかどれだけ並ぶんだろ・・・
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ルーブル(大阪編)&やなぎみわ@国立国際美術館

2009-09-19 | 展覧会
 さわやかな毎日が続いており、芸術の秋到来!です。終了間際になって、やっとルーブル美術館展、まずは大阪は国立国際美術館の「美の宮殿の子どもたち」に行ってまいりました。やなぎみわの「婆々娘々」も同時開催です。

 過去何度か日本で開催されているルーブル展、さすがにネタが尽きてくるのか、今回は「子ども」をテーマに絞り、絵画作品だけではなく古代エジプトやオリエントの工芸品が多く出品されていました。いろいろと切り口を設けてテーマを分けていましたが、要するに子どもが登場している作品を集めただけ、という感は否めません。
 それにしても、すごい人、人、人!先に書いたように絵よりケースに入った工芸品が多かったものですから、人垣の後ろからはイマイチよく見えませんでしたし、あまり前でじっくり見るのも憚られ、とてもゆっくり鑑賞するという感じではなく残念でした。人気の展覧会はしょうがないですよね・・・。それにしても、作品の前を通るのが目的になって、その作品の真正面にいる人が横向いてるのってどうよ、とか思ってしまうのでした。

 個人的には、古代エジプトの作品が面白いな~と思いました。当時、夫婦の重要性に対して子どもの存在感は小さかったとかで、家族3人の彫刻の子どもが思い切り小さい(大人のひざ位の背丈)のに笑ってしまいました。また、エジプトの彫塑作品での子どもの表現のお決まりとして、髪の毛が片方に垂れて、指をくわえているそうで、並んでいる作品がずらりとそのポーズを取っているのも笑えました。おもしろかったです。
 
 さて、やなぎみわさんの作品展は、以前記事で紹介した「Windswept Women Series」は、かなり巨大で写真立てみたく仕立てられて、部屋の並べられている様は迫力満点でした。
 展覧会のかなりのボリュームを占めている「My Grandmothers Series」がおもしろかったです。この作品たちは、一般公募したモデルの「50年後の自らの理想の姿」を特殊メイクやCGを用いて作られているのですが、人それぞれの理想像があるのだな~と感じ入りました。部屋中に手紙を貼り付けている老婆が「愛する人、また会いましょう」、その横で青空をバックに飛行機を操縦する老婆・・・どちらにも共感できる気がして、いろいろな50年後の姿がすべて自分の姿でもある、ように感じました。
 入り口前では、メイキングのビデオが流れていて、興味深かったです。すごい深い森の中、と思っていたら住宅の中の中庭みたいなところで撮影しててびっくりしました。

 両展覧会とも23日(水祝)まで。
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