アートの周辺 around the art

美術館、展覧会、作品、アーティスト… 私のアンテナに
引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「カンディンスキーと青騎士」展

2011-05-04 | 展覧会
ゴールデンウィークですね!天気も良くて風も気持ちのいい日のきょうは、兵庫県立美術館に若き日のカンディンスキーを鑑賞しに行ってまいりました。

先日のパウル・クレーに続き、豊かな色彩の乱舞で知られるカンディンスキー、彼は抽象画を打ち立てた20世紀の巨匠であります。この展覧会は、彼が抽象表現を切り開いていったその胎動期を、同じ志の仲間「青騎士」のメンバーの作品とともに概観するものです。

まず最初にお目にかかるのは、1901~2年に描かれた小さな油彩画。パレットナイフで描かれたという荒い色の集まりではあるのですが、微妙な色合いも美しく、奥行き感もあるような、なんだか素敵な作品ばかり。その後、色の集まりはもっと点描のようになるのですが、「花嫁」や「日曜日(古きロシア)のためのスケッチ」は、すごくおもしろいなあ!と思いました。素地が垣間見えているところに荒く色を置いたり、輪郭を描いたりしているだけなのだけど、すごく描かれている人や馬が生き生きとしていて、情景が浮かびあがるようなそんな作品。とても不思議だけどすごく魅かれました。

その後カンディンスキーは、ムルナウの街並みや風景を描きながら、どんどんとその実像が失われていくような抽象的な作品を描いていきます。それは、パートナーであるミュンターや友人のヤウレンスキーなども同じなのですが、どの作品も抽象化されていきながらやはり具象的なものがあらわされている、飛び立とうとしても飛び立てきれない、作品を見ているとそんなもどかしさを感じてしまいます。

「青騎士展」を開催した1911年以降は、カンディンスキーの作品のテーマには、例えば「印象Ⅲ(コンサート)」のように音から触発された作品があったりして、視覚だけではないところで画面を生み出し始めたのだなあと感じることができます。それでもピアノや聴衆と思しきものも描かれていて、まだ飛び立ってはいないのです。そしてトレチャコフ美術館にある「コンポジションⅦ」の習作で展覧会は終わりとなります。
ういーー、これからどのようにカンディンスキーは本領を発揮していくのか??そして、どこからこのような作品を描くようになったのか??とても重要な期間を見れるのですが、その来し方行く末がないだけに、ちょっと欲求不満の残る感じでした。

「青騎士」の仲間で、チョー楽しみにしていたフランツ・マルクの作品は3点ありました。とてもカラフルな牛と虎、なにかとても不思議な空気感を醸し出している世界、特に牛たちは本当にほのぼのと幸せ感を感じる躍動感にあふれていました。もっとマルクの作品をたくさん見てみたいなあ!!と思いました。

本展は6月26日(日)まで。マルクの作品に直接会える貴重な機会をぜひ!
コメント (1)
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