今年の初夏は、京都が熱い!3月から始まっているPARASOPHIA(~5/10)はまだ行けてないのですが、他にもKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2015(~5/10)、京都銭湯芸術祭2015(~5/17)、そしてゼッタイ行きたいヤゲオコレクション(~5/31)などなど、アートイベントが目白押しなのだ。
そんな中、見逃せない展覧会として、狩野派の展覧会に出かけてきた。会場は、これまでも伊藤若冲、雪舟、長谷川等伯、狩野山楽・山雪、鳥獣戯画…数々のクオリティ高い展覧会を見せてくれている京都国立博物館、新設された館蔵品ギャラリーである平成知新館への再訪も楽しみだ~!
さて、狩野派は、室町時代から江戸時代にかけて、時代の権力者に寄り添ってきた御用絵師集団である。何といっても知名度ナンバーワンは狩野永徳だが、今回は「後継者」ということで、永徳の作品はなく、光信、孝信、山楽、探幽らを中心とした数々の壮麗な作品が展示されている。
100人程の絵師を抱えた一大工房であったとのことで、先日見たテレビ番組では、美術ライターの橋本麻里さんが「今でいうところのゼネコン」と評していたが、城を始めさまざまな建造物の障壁画、襖、屏風への絵画制作は、どちらかというと「芸術の制作」ではなく、「装飾工事の受注」だったのかも。その中に、驚くほどのクオリティの高いものもあれば、それほどでもないものもあったのだろうし、現存しているものは、本当にごく一部、きっと良い作品だから残ったのだろうと推察する。
特に戦国の混乱の世の中にあって、狩野派は生き残りをかけて、天皇・徳川家・豊臣家といった複数の権力者に対して、それぞれ絵師を仕えさせるという戦略をとったとは驚きだ。豊臣家に仕えた山楽は、豊臣家の滅亡で命の危機にもさらされたが、その後京都に留まり「京狩野」の祖となった。そこで山雪が誕生したと思うと、感慨深いものがある。
装飾的な松や鳥などを描いている襖絵などは、背景も金ピカでいかにも権力を誇示しているような壮麗さにあふれている。一方、洛中洛外図のような街の様子や当時の風俗が描かれている作品は、じっくり見ているととってもおもしろい。いろいろな画家のいろいろな作品があって、ひと口に特徴を述べることは難しいな、と感じた。
最後に展示されていた探幽の作品は、ちょっと他とはちがう独自性を感じて素晴らしいな、と思った。彼は幼いころから画才を発揮し、江戸幕府の御用絵師としての地位を不動のものとしたということだ。
平成知新館では、永徳とライバルであった長谷川等伯の作品が展示されていた。う~ん、私的には絵のおもしろさとしては、等伯に軍配をあげたい…。
それより、ギャラリーの中に絵巻物のお部屋があるのだが、「神仏の霊験」として展示されていた15~16世紀の作品のおもしろかったこと!神仏のありがたさを教える勧善懲悪ストーリーが絵と詞で描かれているのだが、絵がまるで現代の「マンガ」!わかりやすくってユーモアにあふれている。鳥獣戯画だけがルーツじゃないわ~と改めて感心した。ああいうの、いっぱいいっぱい見てみたい!
「狩野派」展覧会は5月17日(日)まで。永徳の作品はないからか?さほど混雑はしていなくてじっくり堪能できました!