ドレッシングルームで、3週間ぶりのメイクを始めながら、いつも後ろから聞こえるサスーンの声が聞こえないことを感じました。
私たちは前に進む・・・でも、そこに彼女はいない・・・取り返しのつかないことが起きたことと、それでもショーは前へと進んでいく矛盾に疑問を感じたり、とても複雑な気持ちになりました。
ショーの1時間前、全員がグリーンルームに集合、“サスーンのために、そして、ショーを愛する彼女の気持ちを胸に・・・”、改めて言葉で聞くことになり、すでに涙が出そうになりました。
まずはドレス・リハーサル・・・準備しながら、身体の中ががたがたしているのを感じていました。
ショー開始1分前のコールで、ロープに吊られた状態でスタンバイした時、落ちたらどうしようかという考えが一瞬頭をよぎりましたが、その瞬間ステージ・マネイジメントのGOがかかり、自分のするべきことに頭が切り替わりました。
私たちの登場と共に、客席中から大きな歓声が上がり、体中が震え始めました。
ポスト&ビームスをしながら、涙が止まりませんでした。
アーティスティック・ディレクターのスピーチ、そしてショー中も常にお客様の歓声が聞こえました。
エピローグでステージが上がっていく間も身体が震えました。
最後はスタンディング・オベーションとなり、観客のみなさんの温かい気持ちが身体中に伝わり、涙が溢れました。
一般のお客様に観て頂く1回目の本番・・・ショーが始まる際、“サラのために・・・”というアナウンスが流れました。
客席はスタンディング・オベーションとなりました。
胸が痛くなりました。
このショーの間、何度もサスーンがバックステージで準備する姿、スタンバイする姿、一緒にアクトをしていた時の姿が浮かんできました。
彼女も私たちと一緒にここにいる・・・そう思うしかありません。
エピローグで、花火を見つめながら一緒に立つアーティストの姿を見て、決意なのか、誇りなのか、信念なのか・・・みんなに何か強い芯のようなものがあるように感じました。
もちろん悲しみが消えた訳ではありません。
それでも、悲しみや怖さに負けず、強い意志でトレーニング、ショーに戻ったメンバーの強さ、そして自分たちの仕事へのプライドを感じました。
そんなメンバーとここで仕事できる私は本当に有難いです。
サスーンは私たちの心の中でずっと生き続けている・・・そして一緒にステージに立ち続ける・・・
悲しみが消えることはありませんが、ステージに立つことを愛した彼女の気持ちを胸に、温かいKAファミリーと共に、進んでいきたいです。