歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

『知的生産の技術』について補足。

2006年08月06日 | 本とか雑誌とか
『知的生産の技術』に「日記と記録」という章が立てられていて、具体的な事実の記録としての公家日記の伝統にふれ、「日本の宮廷貴族の業務日記の伝統をこそ、われわれはうけつぐべきであると、わたしはかんがえている。」と述べる。その前の「手紙」の章には後陽成天皇が清原秀賢に宛てた手紙の話が出てきて、林屋辰三郎さんの説が言及されている。京都大学の人たちは専門がちがってもこんなふうに互いに情報交換が活溌だったんだろう。

「ペンからタイプライターへ」という章は、1960年代、知的生産を仕事としていた働き盛りの学者の、日本語タイプライターへの焦がれるような渇望が縷々つづられている。ワープロ時代をへて、いまやパソコンでもって自由に文章を「生産」できる環境を与えられているわれわれの幸福を、しみじみと感じさせられる。

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