歌わない時間

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ラター『イギリス・マドリガル集』

2011年03月03日 | CD ルネサンス-イギリス
Flora gave me fairest flowers - English madrigals
Members of the Cambridge Singers
John Rutter
COLCD105

1987年ごろ録音。60分16秒。Collegium。メンバーはソプラノ5人、アルト4人、テナー2人、バス3人がクレジットされていますが、この編成で歌っているわけではなく、各パート1人か2人くらいのアンサンブル。メンバーにはキャロライン・アシュトン、ルース・ホルトン、ジェラルド・フィンリー、チャールズ・ポットなど、ほかでも名前を聞く人が歌っています。とくにジェラルド・フィンリーというのは、その後ガーディナーの『魔笛』やホグウッドの『リナルド』などオペラ録音で堂々たるソリストぶりを聞かせることになるあの人ですね。

古楽に通じ、ソリストもやれる、声の出る人たちが、肩の力を抜いて心地いいアンサンブルを聴かせてくれるバランスの取れた録音との印象を持ちました。全21曲。〈My bonny lass she smileth〉ではじまり、〈Hark all ye lovely saints above〉〈Fyer, Fyer〉〈A little pretty bonny lass〉〈Now is the month of maying〉〈This sweet and merry month of May〉〈Adieu, sweet Amaryllis〉〈Sleep, fleshly birth〉などをへて、最後は〈The Silver Swan〉で終わる。

イギリス・マドリガルのCDとしては、よく知られるキングズ・シンガーズのもののほかに、ヒリアー指揮ヒリヤード・アンサンブルのものやコンソート・オブ・ミュージックのなどがあります。キングズ・シンガーズのは何よりも彼らのテクニックと洒脱なアンサンブルに驚嘆。ヒリヤードやCOMのはよくも悪くも古楽プロパーの団体らしく、地味ながらそれぞれの個性がよく出ている。このラターのは、幅広いレパートリーを歌いこなす有力合唱団のメンバーによるものだけに、きれいに仕上がっていて聴きやすい。ただ聴きやすい分だけ、個性が薄いとも言える。

当然、他のグループによる録音と重なる曲も多くあるわけですが、他の録音と聴きくらべるとほんとに普通なのね。普通に巧い、という言い方を、ついしたくなる。でも合唱をやってる人たちにとっては、実演の参考になるのはたぶんこのラター盤のほうですよ。

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