歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

『図書』2008年3月号

2008年03月18日 | 本とか雑誌とか
■『図書』2008年3月号。だいぶ遅くなりましたが、書きたくなったので。岡村喬生(egbridge一発変換!)「島国のDNA」。「数年前の夏、ロッシーニの故郷ペーザロで」、切手を買いに郵便局に行った岡村さんは、応対した中年の女性に、「すみません。日本はアフリカのどのあたりにあるのですか?」と尋ねられた由。また、去年の夏ウイーンのホテルでの朝食で、和食コーナーになかった生卵を注文した岡村さんに対して、ウェイトレスといっしょにコックが目を丸くして奥から出てきて、卵かけご飯を啜る岡村さんを見てびっくりしていたそうです。岡村さんは「彼らにとって生卵を飲むのは蛇と同じなのだろう」と書いている。そういう感じかもしれませんね。ただしですね、ペーザロの件については「まあそういうこともたまにはあるでしょう」と思うし、ウイーンの件については、いくら和食コーナーがあったにせよ、夏に、外国で生卵はよしたほうが安全なんぢゃないでしょうかと申しあげたい。

■中井久夫さんの連載3ページ分の次のページ、同じ見開きの左側に鶴見俊輔さんのこれも1ページの連載が載る。鶴見さんは「探偵小説家」の中井英夫と同じ小学校で同級生だったそうで、さらに軍隊でジャワに行ったとき、英夫の父である中井猛之進という人と関わりがあって親切にしてもらったことを書いている。鶴見さんによると、中井猛之進と英夫の父子の間はうまくいっていなかったらしい…。で、中井久夫と中井英夫の関係や如何に? こんなことは今はネットで検索すれば──関係があるにしろないにしろ──すぐに答えが見つかるんでしょうが、わざとほっておくことにします。鶴見さんが「探偵小説家」ということばを使っているのがちょっとうれしい。

■中央公論美術出版の広告で、坂本満他編著『南蛮屏風集成』、2月刊行とのこと。税込み50,400円…。

■4月刊行予定。十川信介『近代日本文学案内』岩波文庫。