■木下是雄さんといえば何はさておき『理科系の作文技術』(中公新書、1981)かもしれないけれど、木下さんはその後、より一般向けの文章技術の本として『レポートの組み立て方』(筑摩書房、1990)を出した。ちくまライブラリーというソフトカバーのシリーズの1冊で、その後ちくま学芸文庫にも入りましたが、もとのちくまライブラリー版もいまなお生きているようです。わたしはさきに文庫本で買って、後からライブラリー版を買い直したんですが、どうもライブラリー版のほうが読みやすい気がする。ライブラリー版は、大学あたりの教科書として需要があるのではないかしらん。わたしの手もとのライブラリー版は、2005年の24刷です。
■ほんとうにねえ、わたしもこういう教科書を使った授業を、学生時代に受けたかったですよ。現に木下さんは──この方は物理学のえらい先生なんだそうですが──勤めていらした学習院大学で、文科系の一般教育の「表現法」という授業を担当して、その経験をもとにこの本を書いたそうです。木下さんははじめのほうでこう書いています。「つまり、レポートに書くべきものは、事実と、根拠を示した意見だけであって、主観的な感想は排除しなければならないのである。」(ちくまライブラリー版、p.2)そらまあね、今だったらわたしだって、これは当然のこととしてわきまえてますよ。狭義のレポートだけに限った話ぢゃありませんよね。われわれが日常の業務で書くほとんどの文章がそうだ。でも、学生時代のわたしは、まあなんとなく雰囲気としては、「事実と、根拠を示した意見だけ」で勝負しなくちゃならん、と気がついていたとは思う。けれどやっぱりこの木下さんの本のように、はっきり明文化して教えてほしかったね。
■ほんとうにねえ、わたしもこういう教科書を使った授業を、学生時代に受けたかったですよ。現に木下さんは──この方は物理学のえらい先生なんだそうですが──勤めていらした学習院大学で、文科系の一般教育の「表現法」という授業を担当して、その経験をもとにこの本を書いたそうです。木下さんははじめのほうでこう書いています。「つまり、レポートに書くべきものは、事実と、根拠を示した意見だけであって、主観的な感想は排除しなければならないのである。」(ちくまライブラリー版、p.2)そらまあね、今だったらわたしだって、これは当然のこととしてわきまえてますよ。狭義のレポートだけに限った話ぢゃありませんよね。われわれが日常の業務で書くほとんどの文章がそうだ。でも、学生時代のわたしは、まあなんとなく雰囲気としては、「事実と、根拠を示した意見だけ」で勝負しなくちゃならん、と気がついていたとは思う。けれどやっぱりこの木下さんの本のように、はっきり明文化して教えてほしかったね。