歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

COM『モンテベルディ/マドリガーレ集第4巻・第5巻』

2006年08月29日 | CD モンテベルディ
Monteverdi
Quarto libro dei madrigali
Quinto libro dei madrigali
The Consort of Musicke
Anthony Rooley
POCL-4429/30

1981,83,84年録音。76分15秒/73分17秒。Decca/Oiseau Lyre。モンテベルディのマドリガーレ集。第4巻、第5巻の全曲に、もともと別のアルバムとして出ていた第7巻、第8巻からの4曲が添えられている。

あらためて聴いてみて、その繊細な仕上がりに感心した。コンソート・オブ・ミュージックのモンテベルディを時代遅れのように言う人がいるが、誤りだ。イタリア人の演奏するモンテベルディが最近つぎつぎに出ていて、それはそれでけっこうなことである。それらはCOMの演奏よりもたしかに色彩ゆたかで情熱的だ。しかしCOMの演奏には、ういういしさというか、みづみづしさというか、他の演奏では聴くことのできない新鮮な感動が横溢している。技術がしっかりしていて、そのうえでむやみに濃厚でなくむしろ薄味に仕上げてある。だから繰り返し聴いても飽きない。解釈ではなくモンテベルディの音楽そのものに集中できる。

このなかでわたしが歌ったことのあるのは『第4巻』の"Ohimé, se tanto amate"と"Io mi son giovinetta"なのだが、"Ohimé, se tanto amate"のほうはハーバードのグリークラブ編の男声合唱版で歌った。あの"Ohimé"みたいな曲を日本の大学生が男声合唱で歌うなんて、無謀なことをしたもんだ。実際、みんな、恥ずかしがりながら歌っていた。

CD1の最後は第7巻からの"Tempro la cetra"で、テナーのポール・エリオットが独唱している。わたしが最初に聴いたエリオットはこれだったか、それともホグウッド指揮の『メサイア』だったか、憶えていないのだが、とにかくこれはポール・エリオットの名唱の一つで、わたしはこの"Tempro la cetra"と『メサイア』の"Comfort ye, my people"にあこがれて、古楽のテナーになることを決めたのだ。エリオットはCD2最後の"Ogni amante é guerrier"でも歌っている。