歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

日本最初のヘンデル。

2006年08月14日 | 音楽について
こちらのページによると、ペリー艦隊の乗組員が死んで、横浜のお寺に葬られ、その葬儀の際に『サウル』の葬送行進曲が演奏されたのだそうである。さらに調べると、死んだのはミシシッピ号に乗っていたロバート・ウィリアムズという24歳の水兵で、マストから甲板に転落死した。これが1854(安政元)年で、彼は横浜村増徳院内に埋葬され、これが今日につながる山手外国人墓地のはじまりとなった。

ということは日本で最初に演奏されたヘンデルの音楽は『サウル』第3幕の葬送行進曲である可能性が出てきた。「可能性が出てきた」などと歯切れの悪い言い方をするのは、出島の問題があるからだ。出島にはオランダ人がいたわけだが、なにしろオランダの首都アムステルダムというと、ヘンデルの(というかヘンデルに限らずバロック時代の)楽譜出版ではしょっちゅう名前が出てくるところだ。出島のオランダ人なんて、することもなくて暇で暇で死にそうだったに違いない。中には楽器を弾くのが趣味、なんてのもいたに違いないから、ヘンデルのトリオ・ソナタあたり、出島で鳴ってた可能性もあると思うのだ。石崎融思あたりの長崎派の絵には蘭人演奏図、とかいうのはなかったかしらん。