歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

アーノンクール『皇帝マクシミリアン一世の宮廷音楽』

2006年01月26日 | CD 中世・ルネサンス
Music at the Court of Emperor Maximilian I
Wiener Sängerknaben
Chorus Viennensis
Concentus Musicus Wien
Nikolaus Arnoncourt
474 233-2

1963年録音。57分36秒。ARCHIV。アーノンクールの、『皇帝マクシミリアン一世の宮廷音楽』。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのメンバーによる器楽合奏がメインで、4曲のみ、合唱が加わる。コンツェントゥス・ムジクス、ウィーン少年合唱団、コルス・ビエネンシスというとバッハのカンタータ全集と同じ組み合せですな。しかしここでは器楽はごく小ぶりで、イザークらフランドル楽派の音楽を味わい深く聴かせる。大部分は1963年録音ですが、トラック8、10、24の3曲のみ2003年初出、というのがどういう事情なのか気になる。63年に録音してボツにしていたテイクを復活させたってことですかね。

ウィーン少年合唱団はアルトが「のど声」ですが、このアルバムの場合はそれが独特の古雅な味になっていて、さほど気にならない。「インスブルックよ、さようなら」もざっくりとしていて、しかしコクのあるよい演奏だと思います。

やはりアーノンクールは60年代からすでにアーノンクールだった。スタイリッシュ、とか洗練、とかいうことばからは遠いけども、一曲一曲のよさが聴く者の心にしっかり届く演奏。噛めば噛むほど味が出る。60年代にしては古楽器演奏のレベルはたいへん高く、まったく危なげなし。