特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」ボストン美術館に行ってきました。
■プロローグ コレクションのはじまり
☆狩野芳崖「江流百里図」
風景画なのですがなんともエロティックな印象。風景なのですが山の隆起したフォルムがちょっとあり得ない形。かつ画面からは妙な色気を感じてしまう。
■仏のかたち 神のすがた
このコーナーの嬉しいところはガラスケース越しではなく、額に入った状態のものが見られたこと。もちろん、その手前に踏み込めない段差があるもののガラスケースに比べたら作品が近くで見られるというのはよかったなあと。
☆毘沙門天像
付き従う眷属たちの表情がどれも生き生きとしてて楽しい。
☆一字金輪像
仏の頭頂の徳を人格化したものだそう。白い円のなかに浮かぶ姿は他の神仏画に比べ頭のなかに残るのです。
☆重命「四天王図」
状態の悪いほうは正直厳しいのだけど、ちゃんと残ってる部分は力強く威厳がある。
■海を渡った二大絵巻
☆吉備大臣入唐絵巻（部分）
これ、びっくりするくらいに長かった！四巻を一挙公開。
遣唐使で唐に渡った吉備大臣。着くや否や鬼が出るという高い楼閣に幽閉されてしまう。だが、その鬼が吉備大臣以前に唐に渡った安倍人麻呂の霊だった。人麻呂の子孫の活躍を聞いて吉備大臣を助けることに。鬼の超能力を借りて、唐の皇帝の出す難問をクリアしてくという物語。
人物のフォルムがひょろっとしてて味がある。見ててニコニコしちゃうんですよね。
あと幽閉された楼閣がすごい。正面の階段がほとんどはしごってくらいの傾斜。
囲碁対決で碁石を飲み込むズルをして勝つほうもだけど、それを怪しんで下剤飲ませて、鼻をつまんで検分してる役人たちもいとおかし。
☆平治物語絵巻 三条殿夜討巻（部分）
画面の描きこむ密度が高い。ひとひとひと。それも戦をしてるので火災も起きてるしひとも死んでいる。きらびやかな色彩なれど描くシーンは凄惨。ここのコーナーが一番ひとが多く見るのに時間がかかりました。でも、頑張って見る甲斐のある内容です。
■静寂と輝きー中世水墨画と初期狩野派
☆伝楊月「枇杷に栗鼠図」
モノトーン。この栗鼠がこわいのだけど、鮮烈に印象に残ります。
☆狩野元信「白衣観音図」
宙に浮かび座禅を組む。頭の周りにはオーブが輝く。
白衣にしっかりとした黒の線が生きている。
下の波濤のしゅるるとした描写もよし。
■アメリカ人を魅了した日本のわざ
このコーナーは刀剣と着物がいっぱい。
でも刀についてはやはり個々の区別がつかず。
もちろん、装飾を施された鞘などは見入ってしまいますが。
小袖なんかは素敵だと思うけど、このクラスなら東博の常設で見られるじゃんてことで！
■華ひらく近代絵画
☆長谷川等伯「龍虎図屏風」
虎の毛の描きこみ、龍の不敵な笑み。崖のエッヂのマジック（マッキー！）みたいな描写。
そして、あの署名がまさに等伯ですね～。
☆尾形光琳「松島図屏風」
宗達の描いた「松島図屏風」の右隻をもとに描かれたもの。
そう言われると宗達のオリジナルが見たくなりますね。
この実在する景色のエッセンスの抽出と抽象化。按配たるやお見事！
緑と金色が印象に残るもののじつは濃い青が隠し味。
そして何よりも気になるのは波の位相。
画面上方の中央から左にかけての処理が謎！！
空の向こうに波が浮遊している。
ここまでになるともう金雲で隠れてるというレベルではないように思いました。
☆伊藤若冲「鸚鵡図」
この鸚鵡のシリーズは何点も見てるけども毎回気になるのはこの台座の構造。
実体に見えるものの下の先っぽはとんがっちゃっててなんとも不安定。
このあたりは今後とも見続けて分析してみたいところです。
☆伊藤若冲「十六羅漢図」
これはまるで見たことなかったので大興奮！！
やっぱりこういうキャラもんは強いです、さすがの若冲。
思ってたよりも墨の黒が濃くて黒々としていました。
十六羅漢とはいうものの展示されていたのはそのうちの4点。
中央の2点は木のうねうねした描写が面白かったです。
■鬼才 曾我蕭白
☆曾我蕭白「風仙図屏風」
この黒い渦で描く風の描写があり得ない！
こんなの見たことない。
今回はそんな蕭白の絵が11点も並んでて卒倒もんですよ～。
☆曾我蕭白「雲龍図」（部分）
圧巻です。頭と尻尾の間の胴体部分は失われてしまったとのことで見たかったです。
気になったのは波濤の描写。歪んでるんですよ。横長の襖絵だったのでその構成上、そのように描写したのでしょうか？横が少し詰まることで縦のバランスが活きるとか？
日本にあったら国宝ってなくらいの超奴級のすんごいのが来ています。
必見です！！！
6/10まで。
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