詩のノォト fossil in blue

生涯にわたる詩のブログ、生と死に揺らぐ詩、精神の暗く重い音のない叫びの詩

緑の部屋

2004年10月24日 | 90.1.8~95.7.17
自分が住むマンションのベランダ側の一室を
まるで植物園のように植物でいっぱいにしたからといって
わたしはその部屋の住人には成り切れない

テレビや食卓のあるこちらの部屋から
時々出かけてゆくお客あるいは
隣りのいっぱいの緑を時々
眺める人

せっせせっせと買ってきては観葉植物
コーディネイトして
水をやり葉の手入れをし鉢変えなんかもしたりして
自分で作った一番参加していたい部屋に
わたしは一致し得ない
情緒は緑のさわやかさに介入出来るほど
なってない

わたしの情緒はこちら側の
24時間電気の点いている暗い部屋に横になるか座るかして
自ら出現させた緑一色の隣りの部屋を
おずおずと遠慮がちに眺める
わたしの睡眠は崩れるに任せたままだから
昼も夜も区別なく24時間いつでも電気が点いているのよ
ベランダに洗濯物を干しに行く時は
体の移動と共にこちらの部屋から連続する見えない通路が出来てきて
情緒はただ通行するだけ
洗濯物を干し終わるとここに帰ってきてまた
座る

猫のチャーリーはそれでも緑の部屋を自分の住処の一部と心得ているようで
彼が緑の部屋で座ったり横たわったり眠ったり遊んだり外を眺めたりしている自然体の姿を見るときは
彼に見とれてしまう
嫉妬もする
自分には出来ない緑の部屋への同化を
彼は何事も感じさせないで一瞬のうちに果たす
わたしは気後れしたままいつものように
電気のつけっ放しの暗い部屋から
憧憬の緑を眺めている

95.6.8 pm4:10




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