高校時代の友人に誘われて、「吉野路探訪会」から高取城跡に行った。
壺阪寺の裏手から急な登坂に入る。頭上の若葉が、緑の影を作ってくれているものの、余りの急な登りに、足元しか見つめられない。登山杖と、空いた手で傍の木をしっかり捕まえて、口から心臓が飛び出しそうにはぁはぁいいながら登る。
まず出会ったのは、山肌の岩に彫られた五百羅漢の石仏群である。ここは、壺阪寺の奥の院といわれている。
説明によると、1596~1614年に本多因幡守が高取城築城の折、石工などに命じて彫らせたものとされているとのことである。長い時の推移の中で過ごした仏たちの姿が、なお今の世を見つめているようだ。 (切花 コウホネ)