「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

墨攻!

2007年02月06日 23時26分43秒 | 人々


 10年前にこのマンガを読んだときにこういうのが映画になったら面白いだろうなとおもった確かな記憶がある。
 でも日本で作るとキャスティングが嘘っぽくなるし、中国じゃこんな大がかりな映画は作れないだろうし、尚かつ京劇の役者みたいな人が出てきた日にはぶち壊しになってしまうと思ったものだ。
 それにこのマンガの凄いところは人間の「死」というものの描き方がリアルで、女子供も容赦なく殺されていくし、結構良い脇役だった人が、それなりに格好良く死ぬんだけれども後になって水ぶくれの水死体にウジが湧いてる恰好で出てきたりする部分があるわけである種のメッセージ性があったと言える。到底映像には出来ないわけで、そういう意味でこの作品の映像化は僕の妄想で終わっていた。でも僕と同じように妄想してしかもそれを実現してしまう輩が日本ではなく中国にいるって言うことが嬉しくなってしまうね。

 春秋戦国時代は僕の大好きな時代で、世界史上でも人間が最もバラエティに富んだ時代ではなかったかと思う。
 後世に与えた影響から言えば孔子の「儒家」が一番だろうけど、僕は諸子百家の「縦横家」と「墨家」は謎めいていて好きなんです。

 僕は「縦横家」は心理学者。「墨家」は中小ベンチャーの共同体と思ってます。新しい発見や技術を実践できる場所を命がけで求めてさまよう集団。上手くいけば普遍的な技術として世に広まる。映画では「守城」が主に描かれているけれども、戦争を総合的に捉えていたはずで、そうすると実際の戦闘の前にいくらでもやることはあったわけで、軍事訓練、マインドコントロール、経済指導、農業指導もマニュアルをもっていたのではないかと思われるのです。

 映画でどこまで表現できているか知らないけれども、主人公が格好良すぎることを除いて楽しみなのは確かなのです。