僕たちの仲は遅々として進んでいないような気がしていました。
相変わらず手も繋がないデートが続いていました。
彼女はそれでなんともないのです。
二人で動物園に行ったとき、出口が見えてきたとき、僕は
「手を繋いでいい?」と聞きました。
彼女は「嫌。」と小さな声で言いました。
僕にはそれが恥ずかしいからなのか、それとも僕に対する嫌悪感なのか、その声のトーンからは判断がつかなかったのです。
彼女は僕の気持ちを既に知っています。
それを承知の上で拒否するのは、どういう心理からくるのか、僕の理解はそこに及ぶまでのセンサーを持ち合わせていませんでした。
ひょっとすると、僕はまた今度も「いい人」のままで終わってしまうのかという怖れを抱き始めてました。
「いい人」という言葉は僕にとってある種の「宣告」とも言える表現です。
僕が好きになる人は僕が勇気を振り絞って本心を告げようとすると、必ず僕の先回りをして、僕に「いい人」という烙印を押します。
そうしてそれ以上の進入を阻止してきました。僕が目一杯に膨らませた勇気と思いは口を開かれたゴム風船のように不規則な回転をさせて飛んでいってしまうしかないのです。
結論を知りたがらないのは臆病者のパターン行動の一種なのでしょうか。
僕はそのとき、それ以上の強気を見せることが出来ませんでした。
相変わらず手も繋がないデートが続いていました。
彼女はそれでなんともないのです。
二人で動物園に行ったとき、出口が見えてきたとき、僕は
「手を繋いでいい?」と聞きました。
彼女は「嫌。」と小さな声で言いました。
僕にはそれが恥ずかしいからなのか、それとも僕に対する嫌悪感なのか、その声のトーンからは判断がつかなかったのです。
彼女は僕の気持ちを既に知っています。
それを承知の上で拒否するのは、どういう心理からくるのか、僕の理解はそこに及ぶまでのセンサーを持ち合わせていませんでした。
ひょっとすると、僕はまた今度も「いい人」のままで終わってしまうのかという怖れを抱き始めてました。
「いい人」という言葉は僕にとってある種の「宣告」とも言える表現です。
僕が好きになる人は僕が勇気を振り絞って本心を告げようとすると、必ず僕の先回りをして、僕に「いい人」という烙印を押します。
そうしてそれ以上の進入を阻止してきました。僕が目一杯に膨らませた勇気と思いは口を開かれたゴム風船のように不規則な回転をさせて飛んでいってしまうしかないのです。
結論を知りたがらないのは臆病者のパターン行動の一種なのでしょうか。
僕はそのとき、それ以上の強気を見せることが出来ませんでした。