新・本と映像の森 9 加藤文三『学問の花ひらいて』新日本出版社
加藤文三『学問の花ひらいて ー 「蘭学事始」のなぞをさぐる ー』新日本出版社、1972年初版~2003年新装版第2刷、238ページ、定価本体1400円
有名な「蘭学事始」を題材にして、学問・科学というものの楽しさ・むずかしさを探っていく。
江戸時代の基礎的解説書のひとつとしても、最適だろうと思う。
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著者は中学教師で歴史研究者。1930年生まれ。
ボクは加藤文三さんが「うつ病」に苦しんだということから「同じ病いにかかったことのある」「同志」という親近感をもつ。
「蘭学事始」そのものの研究である「第1部 花ひらいて」と、時代を探る「第2部 風雨多し」の2部構成。
この2部のタイトルは、杉田玄白の次の詩から取られました。
「君見ずや、人生百年の人なし
百歳の人は、なかば風塵
去年花ひらいて、風雨多し」
< 目次 >
はじめに
第1部 骨ヶ原で腑分をみる、三年半の年月にたえて、仲閒たちの力、世界と日本をみつめる、民衆文化の花ひらくとき
第2部 「蘭学事始」という本はなかった、「蘭学事始」にはまちがいがある、「田沼時代」のイメージは変わった、玄白がだした問題をめぐって、嵐のなかでどう生きるか
おわりにー学校でも学問の芽を