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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

 フォトリーディング

2011年07月05日 | 中学受験 合格力随想

子供たちの読書の状況を見ていると、よく読む子と全然読まない子に、はっきり分かれる傾向があります。これは、大人の方でも同じかもしれません。 小学校の低学年のころは、どの子も読書好きです。しかし、学年が上がるにつれて、本を読む層と読まない層にだんだん分かれていきます。 年齢が上がるにつれて本を読まない子が増える理由は、低学年のうちに読んでいた本が易しい本で、易しい本しか読まないために学年が上がると難しい本が読めなくなるからです。そして、さらに本を読まないので、ますます読む力がなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

本を読まないことについては、学習が忙しいからという理由がよく使われます。実際にはそれほど忙しいわけではなくても、そう言えば通用する風潮があります。 調査によると、小学生は平均して一週間に二冊の本を読んでいます。一日五十ページ読んでも週に一冊は読めるので、一週間に二冊というのは、毎日五十ページから百ページを読んでいるということです。すると、年間では五十冊から百冊の本を読んでいるということになります。

しかし、この一日五十ページ読むのに、時間は三十分から六十分かかるでしょうから、学習が忙しくなったり、読書の内容が難しくなったりすると、読書は後回しになってしまいます。これは大人でも同じです。 しかし、忙しくなっても読書を後回しにしない方法があります。それが速読です。

通常、人間が普通の努力をして無理なくできる速読は、分速1200字程度です。それ以上の3000字、4000字というような速読は、普通の速読ではなく、特別の練習で無理をして読むような速読です。ですから、そのような速度で読めるようになった人も、その後ずっと日常的にそういう読み方をするわけではなく、次第に普通の速度に戻って読むようになってしまうようです。

これに対して、フォトリーディングという本の読み方があります。これは、ページを開いて視野に入ったものは、たとえ文字として読まなくても、頭に入るというはずだという考えに基づいています。少なくともその人にとって必要なものは、頭に入るという考えです。 読むという考えではなく、頭に入れるという考えですから、あまり無理がありません。もちろん、ところどころは読むのですが、全部の文字を猛スピードで読むという読み方ではないので、それほど苦しくはありません。難しい点があるとすれば、そういう読み方でもいいのだと納得することぐらいです。

実際、読書というものは、積んでおくだけでは、何の役にも立ちません。ページを開かなければ何も始まらないというのが読書です。そして、ページを開いて、たとえ一ヶ所でも自分にとって何か得る箇所が見つかれば、それは何も読まなかったことよりも、はるかに価値のあることになります。 また、そのようにして急いで読んだ本についても、興味があれば、あとでゆっくり読み返すことができます。大事なのはまず積んである本を開いて読むこと、そして、できるだけ毎日読むことです。

そのためには、自分には速読ができ、一冊の本を急げは十分または二十分で読める、というような見通しのあることが必要になってきます。 時間がないと本が読めないというのは、読書は時間がかかるものでそれがどのくらいかかるかは読んでみないとわからないという気持ちがあるからです。ならば、フォトリーディングを使った読書を付箋をはって再読する読書に結びつけるとより効果的ではないか考えました。

このやり方であれば、読書を宿題扱いにすることもできます。毎週、図書館の借り出しを行い、何しろ週に一冊は読んでくるようにします。忙しいときは、フォトリーディングを使って十分か二十分で読んできます。面白そうな本なのでじっくり読みたいというときは、そのあと自分の好きなペースでゆっくり読み直すことができます。 そして、読みながら印象に残った箇所に付箋をはっておき、その付箋の箇所を後で付箋をはがしながら再読するというようなやり方です。

フォトリーディングのような、これまでの読書の概念と異なるような読み方は、考え方の柔軟な年代の方が抵抗なくできるような気がします。 フォトリーディングという読み方を覚えると、いつか読もうと思って積んであった本もすぐに読めるようになります。何しろ、早ければ十分でひととおり読めるのですから、時間がなくても読む気になれます。

また、付箋をつけて読むので、途中で読むのを止めても、あとで読みかけの場所から再開することができます。更に重要なことは、一度読んで印象に残ったところに付箋がはってあるので、その部分を再読できるようになることです。 この再読が、実は読書の中で最も重要な価値をしめることは明らかです。



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