ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

義務教育の自由化

2015年06月30日 | 中学受験 合格力随想

教育の問題を考えるとき、多くの人が共通して挙げる対策は、教育の自由化です。朝日新聞(2015年5月20日)に、「義務教育を学校に限らず認めるという法案が、超党派の議員でまとめられた」という記事が載っていました。この流れは、これから加速していく様相を呈しています。

ところが、、今の学校で行き詰まっている問題を、民間の創意に任せれば解決するかというと、事はそれほど単純ではありません。今現在でも学校外の教育のほとんどは、学習塾によって担われています。その学習塾は、成績を上げるプロですから、これまでの学校よりも成績を上げるという一点では能率のよい教育ができるかもしれません。

しかし、本当の問題は、成績を上げるというときの成績そのものの前提が問われているというところにあるのです。教育の本来の目的は、人間が自立して社会に創造し貢献することができるようになる力を育てることのはずですが、受験競争の影響によって、教育の目的は、差をつけるための試験で上位の成績を取ることに置かれるようになっています。

簡単に言えば、仕事や人生のための教育ではなく、成績のための教育になっているところに、今の教育の根本の問題があります。その教育を支えているのは、学習塾の先生です。多くの先生方は、成績を上げるためのプロであるかもしれませんが、仕事や人生のプロではありません。この領域は、やはり公的に収入と身分が担保された形の学校の先生が担うべきです。その余裕と識見が経済活動に左右されないからこそ、収斂できるのではないでしょうか。

教育の自由化を考えるときに大事なことは、まず、教育によって何を目指すかというところから自由に考える必要があるということです。もちろん、それは成績を否定することではありません。成績も含めたより大きな目的を教育の目的として考えていく必要があるはずなのです。



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